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第397話 魔法学園2

就寝前


テネシア、イレーネとベッドで横になりながら、話し合いをする。


僕「魔法学園なんだけどさ、人気があり過ぎて、応募が殺到してるんだよ」

テネシア「やはりそうだろ。魔法は人気が出るに決まってる!」

イレーネ「私達の目は正しかったです。ふふ」


僕「応募が多いということはな。それだけ競争倍率も高くなるんだ」

テネシア「うちの子供は三才から勉強してるんだぞ。落ちるわけない!」

イレーネ「その通りです!」


僕「でもなあ、確認したら二十倍だったぞ。これは厳しいぞ」

テネシア「でも王立学園に受かる力があれば大丈夫なんだろ?」

僕「王立学園でもそこまでの倍率にならないな。合格するか未知数だ」


イレーネ「でも、()()()()がつくる学校ですよね?」

僕「ああ、そうだな……」

イレーネ「なら、最悪、どうとでもなりますよね」


確かにどうとでもなる。しかし……


僕「僕は()()()合格して欲しいんだよ」

イレーネ「それは私だって、実力がいいに決まってますけど……」


僕「何と言うか、学校の試験というのは適性を見るお見合いみたいなものだ。必ずしも受かるのがいいとは限らないんだ」


テネシア「どういうことだい?」


僕「例えば、適性も無いのにその道に進んでしまった場合、後で苦しむのは本人だ。だから、その道に進んでいいか否かを見極めるために試験があるんだ。仮に落ちても、適性が無いことが早く分かって良かったという話なんだよ」


テネシア「つまり実力で試験を受けて魔法学園に落ちたなら、その適性がないから、別の道に進んだ方がいいということかい?」


僕「二人がまだ受かるか落ちるか分からないけど、深刻に考える必要はないんだよ。別に落ちても、王立学園があるんだし」


イレーネ「魔法学園はアレス様が直々に関わっていますよね。王立学園しか無かった時は選択肢が他にありませんでしたから、何も言いませんでしたが、今回は話が別です。子供達になるべく父親の近くにいさせたいと思うのは自然な気持ちです」


そうか、魔法科目の習得だけでなく僕と子供達を近くにいさせたかったんだな……


僕「君達の気持ちは十分よく分かった。試験で贔屓することはできないけど、勉強の手伝いぐらいはしよう」


 まあ、数字上の倍率は凄いことになってるけど、おそらく大多数はそこまでレベルが高くないと思う。でも甘い見通しは周辺に一切口外していない。それは子供達に真剣になってもらいたいからだ。学園生活は王宮のぬるい環境からの目覚めにもなるだろうが、その第一関門である試験で世の厳しさを体験してもらいたい。それは後々の人生にきっと役に立つだろうから。


――――

――――――


今日は魔法学園と魔法研究所の学科試験の日だ。


 会場は王立学園で、試験監督は学問省の役人に依頼した。試験問題はレネアが素案を作成し、僕と王立学園教員が加筆修正した。今回は受験者が多いので、学科試験を難しくして相当数をふるいにかける予定だ。


 学科試験では一般科目、実技試験では魔法科目、面談では性格や適性を見る。どんなに優秀な成績でも、性格が悪かったり、適性が無ければ遠慮なく落とすつもりだ。たいていは面談で仮面を被って、良い子を演じるんだろうが、僕には【鑑定】スキルがあるから、嘘は一発で見抜く。


学科試験では僕の出番は無いので、実技試験まで待つとしよう。


どれぐらい残るかな。


――――

――――――


さて、実技試験の日となった。


 学科試験の難易度をあげたことにより、魔法学園と魔法研究所の定員の三倍ぐらいまでに絞り込んだ。僕も学科試験の作成には携わっているが、あれは相当難しい。僕はたくさん本を読んでるから、何とか理解できたが、そうでなければ試験開始と同時に筆を持って茫然とするところだろう。


 しかし、これで魔法適性のある者が落ちてしまったら、本末転倒になってしまう。だから、入室時に『魔法適性を判断するアイテム』により、一人一人チェックしてもらった。これは【鑑定】スキルを応用して【創造】した物だが、水晶玉に手を乗せると、魔法適性が数値化されるという優れものだ。四大属性等、基本情報も分かってしまう。学科試験の出来が悪くても、魔法適性に光るものがあれば落とすことはしない。ただ、この魔法適性がある者は本当に少数だったけどね。



 ◇    ◇    ◇



 さて、実技試験が始まった。持てる魔法スキルを一通り試験監督に見せるスタイルだが、ここで魔法がまったく使えない者はいくら学科試験の成績が良くても不合格となってしまう。つまり実質的にこの実技試験こそが本番と言っていいだろう。ちなみに王立学園、クライスナー学園には実技試験は無い。だからペーパー試験に慣れた受験生はやりづらいだろうな。



校庭に受験生が横一例に並ぶ。


試験監督「それでは風魔法を発動して下さい!」


 試験監督の号令を受け、生徒達が思い思いに術式を展開しようとするが、半数以上がまったく発動しない。(まあ、予想通りだが)


「ここで半分以上は落ちそうだな」


試験監督「次に火魔法を発動して下さい!」


こんな感じで、風、火、水、土、光、闇の順で魔法発動の試験が実施された。


 一応、僕も試験監督の端くれなので、受験生を【鑑定】でチェックしていく。ここで言う【鑑定】は魔法スキルの鑑定、いわゆる属性鑑定というものだ。僕のつくった水晶の鑑定アイテムでも十分だが、個人的にも非常に興味があったので、個別に気になる受験生を見ているんだ。


 いつも僕の子供達を見てきたから、あれに慣れてしまっていたけど、一般人の魔法は仮にあっても生活魔法レベルがほとんどなんだよな。



「うわあっ凄い!」

「なんだ!あの受験生は!」

「こんなの見たことないぞ!」


大きな声が聞こえてきたので、そちらの方を向くと、


トアラとテセルスだった。


トアラ「ファイヤーボール!」


テセルス「エアーインパクト!」


 他の受験生と比較したら、魔力が明らかに段違いだ。ほとんどが的に届くのがやっとなのに、二人は簡単に的を撃破している。


試験監督A「あの二人は合格でしょう」


試験監督B「他と次元は違いますね」


試験監督C「きっと素晴らしい育ちなのでしょう」


 ・・・


 試験監督は学問省の役人だから、僕の子供ということも知ってて、たぶん、僕に聞こえるようにわざとらしいお世辞を言ったんだろうが、お世辞でも嬉しいよね。やっぱり親バカだなぁ。ははは。


 他に目ぼしいのはいないかな。それでは倍率の厳しい魔法研究所の実技試験の方に行ってみるとしよう。少しワクワクする。


――――

――――――


 魔法研究所の方は魔法学園と違い、成年(十五才)以上という緩い年齢制限のため、応募が多かったが、ここはより高い水準を求めるため、競争倍率は相当厳しくなっている。学科試験も実技試験も魔法科目に特化してるが、要求度合いは段違いに高い。


 ここでも魔法学園と同様に、風、火、水、土、光、闇等、一通りの属性魔法を試しているな。どれどれ一人一人見ていくとしよう。


受験生「ライティング!」


ポッ (うわっ小さ!)


 う~ん、一応、手のひらの上で少し光ってるけど、そのレベルじゃ厳しいなぁ。別に戦闘用の強い魔法を求めているわけじゃないけど、魔法研究所の求めるレベルには達していないな。



受験生「大いなる光!光の精霊レムよ! 我はその高貴なるご尊名を唱えて奉らん! その偉大なる御力をこの大地に顕現せしめたまええええ――――――!」


ポッ (えっ小さ!)


 大げさな詠唱な割にはこれもイマイチだなぁ。



受験生「よし、この線はこう書いて、ここはこう書いてと、これでいいか」


 こっちは地面に魔法陣を書き出してるなぁ。でも、この魔法陣って本当に使えるのか?


受験生「光の精霊よ!出でよ!」


シ―――――ン (あらら)


……まあ、そうなるよな。


 やはり魔法学園の受験生レベルと大して変わらないな。受験者は人間が多いが、どうも人間は本や知識重視の傾向があるから、学科試験をクリアしても、実技試験では、イマイチな感じなのが多いな。いや、本と知識も大事なんだけどさ、問題はそれが実際に活用できるかなんだよな。


 僕も禁書庫の魔法関連の本は読破したが、半分以上は使えそうになかったからな。特に詠唱と魔法陣は魔法発動のきっかけに過ぎないから、その断片的なテクニックだけ頭で覚えても意味がないんだろう。


 こりゃ、魔法研究所の方は二十人どころか、一人も要求レベルに到達しそうなのはいないんじゃないか?まあ、最悪、僕とレネアがいるから、どうにでもなるけど、さすがに研究員が一人もいないんじゃ寂しいよな。


受験生「ライティング!」


ピカ――――!


 おお!この小柄な受験生の光魔法をしっかり出てるな。これはいいぞ。これはチェックだな。ちょっと【鑑定】しておくか。


「【鑑定】! 種族:ドワーフ、女性か。いいんじゃないか」




おっ、こちらは亜人種だな。見るからに魔力が高そうだ。期待できそう。


受験生「ライティング!」


ピカ―――――――!


おお!これは中々、獣人かな?獣耳と大きな尻尾があるな。これも【鑑定】だな。


「【鑑定】! 種族:狐獣人、女性か。」




今度は……うん? エルフか? でも肌の色が濃いなぁ。魔力はありそうだが。


受験生「ライティング!」


ポッ


あれっ、見かけほど大したことないな。


受験生「私は闇属性の方が得意なんです。ダーク!」


うわあ、昼なのに周りが暗くなったぞ。これは中々だな。


「【鑑定】! 種族:ダークエルフ、女性か」




受験生「えっ違う魔法でもいいんですか? それなら……」


受験生「サンダーボルト!!!」


その瞬間、大きな落雷が光る。


これはなかなか凄い。んん? でも、この魔法は見覚えがあるな。


 顔をじっくり見て思い出す。ああ!昔、総ギルドマスターに依頼されて、Aランク冒険者の講義に行ったが、その時、対決した女性冒険者の一人だ。確か得意技は雷魔法だったかな。


それなら鑑定するまでもないが、一応。


「【鑑定】! 種族:人間、女性だな」



 その後も一通り、実技を見たが、魔法研究所で合格水準に達したのは、ドワーフと狐獣人とダークエルフ、そして人間の女性四人しかいなかった。目標よりだいぶ少なかったけど、いただけ良しとしよう。しかし人間の僕としては少し複雑な気分、やはり人間は亜人種より平均して魔力が弱いんだな。受験生全体の数は人間が圧倒的に多いのに、結果がこれだからね。


 その代わり、魔法学園の方は人間の子供が多いようだから、これから頑張って成長してもらうとしよう。持って生まれた才能は人それぞれだが、どんな才能でも努力無しで輝くことは無い。


 しかし、えてして才能に溢れる者がその才能に溺れて、努力を怠り、思ったほどの成果を出せない場合もある。本当に勿体ない話だ。逆にさほど才能が無くても、努力により、成果を出している場合もある。もし自分が神様だったら、間違いなく後者を応援するだろう。


 なぜなら才能は神様からのギフトであり、それを無為にする行為は神意に反するだろうからね。僕だったら憤慨してギフトを取り上げるかもしれない。一方、神様がギフトをあげなかった者が頑張っていたら、「申し訳ないことしたなぁ。ちょっと助けてあげるか」と思うんじゃないだろうか? 


 まあ、人の身で神意を理解するのは僭越だろうし、きっと無理なんだろうが、才能(神のギフト)と努力(人間の前向きな行動)には何らかの関係があると思うんだよな。



※参考※

最後に登場した女性については

第332話 冒険者対決 をご参照下さい。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、いいね、評価、ブックマークをして頂けると大変有難いです。

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