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第四章 明日へ続く世界 ー結衣の変化ー

 結衣の変化を、加奈子は一番近くで感じ取っていた。


「結衣、最近何か楽しそうだね」


「そう? そんなことないよ」


 加奈子の指摘を、結衣は笑って受け流した。


「いや、そんなことあるよ」


 加奈子は、陸上用のシューズの靴ひもを結ぶ結衣を校舎の壁にもたれながら見ていた。


「それに最近、更にタイム速くなったんじゃない?」


「あ、それはその通り」


 靴ひもを結び終わり、結衣は立ち上がった。


「また速くなったよ」


 言いながら、背中を後ろに反らせて軽くストレッチした。


「やっぱり。早紀ちゃんのおかげだね」


「え? わかる?」


 ぎくっとしたような結衣を、加奈子は組んでいた腕をほどいて指差した。


「わかるかわる。わかりやすすぎるくらい」


「あー。そっか」


 結衣はぺろっと舌を出した。


「ばれちゃったか」


「ほんとに。良かった」


 加奈子は自分のことのように嬉しかった。


「良かった良かった。早紀ちゃんと仲直りして。私は心配だったのだよ。結衣さん」


「ありがとう加奈子」


 加奈子は壁から背を離した。


「あ、でも七海にはあまり良くない展開だったかも」


「七海?」


 後輩の名を口にした加奈子を、結衣は不思議そうに見た。


「彼女、結衣のこと好き…、みたいでさ」


「そっか」


 女子から告白されることは、結衣にとって格段珍しいことではなかった。


「七海、結衣と早紀ちゃんがまた仲良くなったことに関して落ち込んでるから、フォローいれときなよ」


「うん」


「まあ、結衣と早紀ちゃんのこと引き裂こうなんてこれっぽっちも七海は思ってないみたいだし」


「わかってる。七海、いい子だもんね」


「そう。逆に、そう思う自分を責めてる部分もあるから」


「わかった。うまいこと振る舞うよ」


「さすが結衣。さ、行くよ。練習」


「うん」

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