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第三章 再び、あの場所へ ー シャワー ー

 練習後、シャワーで汗を流すために風呂場へ二人は向かった。


 手早く済ませるためにいつも二人で同時に入る。


 そんな、結衣と過ごすひとつひとつが、早紀にはたまらなく幸せだった。


 結衣もそれは同じことだった。


「早紀ちゃん、また胸大きくなったんじゃない?」


 自身の豊満な胸をちらつかせながら、結衣は早紀の胸をつつく。


「もう。おねえちゃんのエッチ」


 毎日のように同じ会話を繰り返す。


 でも、それも嬉しい。


 早く大人になりたいと、以前の早紀は思っていた。


 早く大人になって、自分の好きなところで、自分の好きな世界を築いて暮らしたいと。


 学校は、早紀を縛り付ける檻以外の何者でもなかった。


 ただの学生の早紀に、その檻から逃れる手だてなどない。


 早く大人になり、自立して、誰にも後ろ指を指されること無く、自分の人生を生きたい。


 風呂上がり、そんなことを結衣に話すと、結衣は早紀の髪の毛をタオルで拭きながらにべもなく答えた。


「急がなくてもいいよ。大人になるのなら」


「そうかな?」


「なるたけゆっくりがいい。だって、今でしか出来ないこと、知り得ないことが、いっぱい、いっぱいあるんだよ」


「そう?」


「こうやって毎日練習することも、もしかしたらできなくなるかも知れないよ? 私は、いま、このときを精一杯楽しむんだ。早紀と一緒に」


 結衣は少し夢見がちな表情を覗かせた。


「ね。楽しもうよ。早紀」


「うん」


 お姉ちゃんといると、暗い気持ちなんて、すぐにどこかへ吹っ飛んでいってしまうな。


 早紀の気持ちは、結衣との会話で、毎日、少しづつ、本当の明るさを取り戻していった。

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