74 新築
「こ、これは…」
驚いているベネッサの目の前には教会があった。場所としてはリアの店の割と近く。つまりはそれなりに人通りも多い場所だ。
昨日、教会の引っ越しを決めて家に案内した後、商業ギルドでお婆ちゃんに事情を説明。家の近くに土地を買って整地して着工。そして、夜が明ける前に完成させた。
「とりあえず教会建てたから、ここで生活して良いよ」
「いやいや、建てたって…。前から準備を?いや、こんな所に建ってたら見逃す訳も無いし…」
「いや、昨日あの後に建てたよ」
引っ越し時、1匹の召喚獣を召喚した。土の精霊のノームだ。実はノームは土の魔法だけでなく、魔法を使った建築も得意としていた。そして、前の教会の構造を見て貰って把握してもらい、新たな土地に再現してもらった。細かな調整に時間がかかったが何とか朝までに完成した。ちなみに防音も魔法で完璧だった為、街の人たちも起こさずバレていない。
「リアさん…。いや、リア様。あなたは神の使者なのですか?」
「は?紹介したでしょ。ほぼ商人の市民Aだって」
「しかし、コレは…」
「まぁまぁ、中で今後について話そう」
そう言ってベネッサを連れて教会の中に入る。造りとしては前と同じ。ただ新たに建てた為、ひび割れなどは無い。さらに見えないがノームの前で現代建築について口に出してしまい、中に鉄筋が入っている。つまり鉄筋コンクリート造りレンガ風である。そのうちコンクリートも自作しそうだ。
「中の造りは今までの物と同じなんですね」
「他の教会を知らないし、宗派の違いとかも分からないから同じにしてあるよ」
見た目だけですけど…。ついでにノームが私を模して作った石像を置こうとしていたので止めた。
「あと裏に庭も用意してるから、一区画以外は好きな物を育てて良いよ」
「一区画以外とは?」
「ベネッサの性格的になんか遠慮しそうだなと思ってね。その一区画で薬草を育てて欲しいんだ。それを私が買い取るから。私は労働力で返してもらう。あなたは労働力で借りを返して、育てた薬草分のお金が手に入る」
元々、消耗品の商品が欲しいと思っていた。薬草が揃えばポーションが作れるし、これで労働力も確保した。
「分かりました。リア様に恩を返すために誠心誠意働かせていただきます」
「ごめん、様付けは止めて貰えると嬉しい…」
周りに迷惑にならない様に一晩で教会を建てたし、シスターに様付けされてたら、なんか信仰の対象になりそうだし。




