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王様クエスト  作者: シャム吉


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7/10

情報クエスト


 薄暗く湿っぽい地下牢への階段を踏みしめる度に、音が反響する。

 そして、一つだけ中に人が立っている牢屋があった。


「あなたが、お掃除ロボットの前任者ですか?」


 中の人が振り返る。それは、笑顔のメイドだった。


「ええ、そうよ」


「メイドのあなたが、何でこんなところに?」


「大臣が、私のこと気に入らないからって、ここに閉じ込めたのよ」


「そんな理由で……」


 あの大臣も横暴だなと、メイドに同情する。


「私に、何か聞きたいことでも?」


「あの、王様と王妃様の喧嘩の原因知りませんか?」


「ああ、それね!」


 メイドは頷いて、笑顔のまま話し始めた。


「とーっても、凄かったのよ」


「……」


「あれは、3日前の午後2時57分。王様と王妃様のお二人しか知らない隠し部屋で、秘密のおやつタイムを毎週火曜日にしているんだけど、その日は王妃様の大好きなトコロテンを、王様が用意して良い雰囲気だったの」


「……」


「で、一週間前の朝5時19分に寝室でお二人が話していた、玉座のクッションの話になって、王妃様が青って言ってたのに、王様が注文したのが緑と知って、王妃様イラッとして、右のこめかみに青筋立てたら、王様が君のこの青筋みたいに綺麗な青色だよって言って、王妃様が王様をグーパンしようとしたら、王様がギリギリで避けて、殴らせろ、何でじゃーと言い争いになったのよ」


「……」


「王様、クッションの色間違えたことに気づいてなかったのよ。王様、女性の気持ちわからないのよね」


「……とりあえず僕は、君を牢屋に入れた大臣の気持ちはわかったよ」


 早く地下から出たいなと思っていると、メイドは牢屋の柵まで寄ってきた。


「ねえ、教えてあげたんだから、大臣にせめてご飯くらい持ってくるように言ってー。誰も持ってきてくれないのー」


「それは、さすがに可哀想ですね。一応、言っておきます」


 僕はまたメイドに少しだけ同情しつつも、逃げるように地下牢を後にした。



【知らなくても困らない話・投獄】


 メイドは鼻歌を歌いながら、掃除をしていた。そこへ、大臣が通りかかる。


「大臣、最近白髪増えました? 30年と7ヶ月と6日前は、全然でしたよね? 特に、左のこめかみ付近が右より12本ほど多いですね。その内、2本は根本に色が戻ってきてるので、安心して下さい」


「そんな情報いらん」


「それとも、王様と王妃様の17時間39分前の夫婦喧嘩の件で、頭を悩ませてるんですか? 仲裁するのに、57分時間かかってましたよね。秘密裏に、王様名義で王妃様に花を贈る計画立ててますもんね」


「そんな一気に白髪は増えんだろ。それと、何故その秘密をお前が知ってるんだ?」


「……」


「何故、ここで黙る!」


 すると、たまたま兵士が通りかかった。


「そこの兵士、メイドを地下牢に入れてきてくれ」


「メイドをですか?」


「ひどーい!」


 兵士は驚き、メイドは抗議の声をあげる。


「メイドが何かしたのですか?」


「気に入らないからじゃ」


「えー、私は何もしてないのにー。ただ、大臣のことを事細かく心配していただけなのにー。それに、私がいなくなったら、誰が掃除をするのよー」


「大丈夫じゃ! 新しくお掃除ロボットがきたからな」


 メイドは、大人しく兵士に連れられ、地下牢に入った。

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