城探索クエスト
「何かつまみ食いできないかな……」
匂いにつられて厨房にやってきた。料理長が、一人で切り盛りしている。
よだれ垂らして見ていると、料理長と目が合った。
「これは、勇者さんじゃないか。こんなところで、どうしたんだ?」
「えっ、えーっと。王様と王妃様の喧嘩の理由を探ってて……。料理長は、何か知りませんか?」
「さあ、俺はお二人に美味しい料理を作るのに、夢中だからな……」
「まあ、そうっすよね。ところで、今何を調理中ですか?」
「ああ、ステーキだよ」
「5000G!」
「あ?」
「いえ、何でもないです。王様の昼ご飯ですか?」
「いんや、今日の王様のご飯は、たまごかけご飯だ。これは、庭の犬用だ」
「……」
「勇者さん、どうせ庭にも探索に行くんだろ? ついでに持っていってくれ」
犬のランチを手に入れた。
庭にやってくると、尻尾を振って犬がやってきた。ステーキをやると、美味しそうにがっつく。
「お前はいいよな……」
「?」
犬は不思議そうに見上げてきた。
「なあ、お前は王様と王妃様のこと、何か知らないか?」
「ワン、クーン……ワフ、クーンクーン!」
「おっ、知ってるのか?」
「ワワン、ワン……ワフワフ、ガウ、ガウガウ、キャン!」
「……うん。何て言っているかわからん」
次は訓練場まで来た。休憩中のイケメン兵士に声をかけた。
「あのー、お疲れ様でーす」
「これは、勇者殿。どうされましたか?」
「何か、王様や王妃様の噂話とか、聞いたことありません?」
「兵士足るもの、主君の噂話などするものではない。城の者、皆それを心得てる」
「そっ、そうですか」
そそくさと、退散した。
「何だ、あのイケメンムーブは? 悔しいけど、カッコいい」
入って良いのかわからないが、王様の寝室に来た。掃除機の音がすると思ったら、お掃除ロボットが掃除中だった。
「ロボット!?」
「ワタシハ、イツモ、ココノ、オソウジヲ、シテイマス」
「さすが、異世界。ロボットも喋るんだ。……なあ、王様と王妃様の喧嘩の理由知らないか?」
「ワタシハ、オソウジスルノガ、オシゴト。ヤッカイゴトニハ、マキコマレタクアリマセン」
「ロボットまで、厄介事って言われてる……」
「ワタシノ、ゼンニンシャ、ナラ、オハナシ、デキルカモシレマセン」
「その人はどこに?」
「チカロウデ、ハンセイチュウ、デス」
「前任者、何しでかしたんだよ…」
地下室に、向かうことにした。
【知らなくても困らない話・ステーキ】
料理長から、預かったランチを犬は美味しそうに食べ続ける。
「犬がステーキなんて、贅沢だよな……。ちょっと味見……」
横からかじってみた。
しかし、味付けはされていなかった。
「ぐるるる!」
犬は唸り声をあげる。
「わっ、悪かったって! すみません!」
犬に追いかけられ、訓練場に逃げ込んだ。




