人食い花クエスト
戦士に5000Gを払っていると、どこからか人々の悲鳴が聞こえた。
「何か、あっちは騒がしいな?」
「あっちは、ちょー優秀な魔法使いちゃんのお花屋さんよ」
戦士が指差した方から、町人が走ってくる。
「大変だー!! 花屋の人食い花が、腹すかせて、また暴れてるぞー!! 一人食べられたー!」
「あらー、またご飯あげ忘れたのねー」
戦士は何てことなさそうに言う。
「は?」
「よくあることよ。この前、鍛冶屋の親父さんがペロリと食べられちゃってー」
「いやいやいや! 不味いだろ! 止めないと」
「あの人食い花は、魔法使いちゃんと同等の力があるの。アタシにはムリよ」
「そんなに強い魔法使いなのか?」
ゴクリと唾を飲む。
「あの子も、元魔王軍四天王の一人で一番の実力者」
「何故そんな奴が!?」
「どうせ、あの子も食事忘れてお腹すかせて倒れてるわよ?」
とりあえず、騒ぎが起こっている花屋に来た。
巨大な花の横に、ローブをきた子どもが倒れていた。
「おい! 大丈夫か!?」
子ども抱き起こすと、うっすらと目を開けた。
「ひもじい……お腹空いた……」
「何か食べたいものは?」
「ステーキ……」
「……」
「高級ステーキ……」
「……」
「高級ステーキ食べないと、花を止められない……」
「……」
僕は花屋の向かいの肉屋の前に立っていた。
「高級ステーキ1枚5000Gだよ」
「僕の1万Gが……」
所持金が0Gになった。
子ども=魔法使いは、ステーキをモグモグ食べた。
「いや~、生き返った!」
魔法使いが、人食い花に手を翳すと、花は親父さんを一人ペッと吐き出した。
「まったく、実験に熱中するのも良いけど、自分と花の食事くらいちゃんとしなさいよねー。また鍛冶屋の親父さん食べられてたわよ?」
戦士が魔法使いを嗜める。
「本当にあの花、鍛冶屋の親父さんが好きなんだよね」
「もう50回くらい食べられてるわよねー」
「でも、鍛冶屋の親父さん、毎回復活してるから」
「それもそうねー」
「……ところで、何で戦士は、涙目のモブ顔の子と一緒にいるの?」
魔法使いが僕の方をチラリと見る。
「僕の1万G……」
「あんたのせいで、一文無しになったんだから、彼の仲間になってあげなさいよ」
「仲間? 何の?」
「そういえば、聞いてなかったわ。勇者ちゃんは、何のために仲間集めてたの?」
「魔王……倒すため……」
戦士と魔法使いは顔を見合わせる。
「……今、魔王いたっけ?」
「アタシたちの知らない間に、現れたのかしら?」
涙目のまま魔法使いを見つめる。
「……わかったよ、ステーキ分の働きはしてあげるよ」
「5000G分……」
こうして、魔法使いが仲間になった。
【知らなくても困らない話・花屋の日常】
「大変だー! 花屋で、人食い花が暴れているぞー!」
戦士は、元四天王仲間の魔法使いの花屋に遊びにきた。
「あら、なかなか強い花ね」
戦士は、花の横を通りながら、奥で倒れている魔法使いを見つけた。
「あなた、なにやってるの? さっさと、あの狂暴な花止めなさいよ」
「ひもじい……お腹空いた……」
「今、マカロンしか持ってないのよね。それでいい?」
「ステーキ食べなきゃ、花、止められない……」
「アンタ、そんな仕様ないでしょ」
戦士は、魔法使いの口にマカロンを放り込んだ。魔法使いは少し不満そうにもぐもぐ食べる。
「足りない……」
「でも、魔力はあるでしょ」
魔法使いは、人食い花に手を翳した。すると、花は大人しくなり、ペッと人を吐き出した。
「あれ、人食べてたんだ?」
「さっさと止めないからよ」
「この親父さん、誰?」
「鍛冶屋かどっかの人じゃなかったかしら?」




