王様クエスト
「これで、天界とのコネができた」
王の間に戻り、王は嬉しそうに言う。
「さあ、行こう」
「王様、そろそろご招待されていた、猫集会のお時間です……」
大臣が入ってきてそう言った。
「おお、そうじゃった!」
「いや、もういいだろ! 行くぞ!」
また脱線しようとする王を捕まえて、やっと魔王城へ向かった。
魔王城の椅子に、王妃はまだ座っていた。
「やっと来たのね」
「待たせてすまなかった……」
ここでやっと王妃は立ち上がった。
「まずは、わたくしの怒りを受けて下さい」
「どんと、来い!」
王妃の往復ビンタ!
王は2ダメージを受けた!
風圧が起こり巻き添えで、僕は500ダメージを受けた!
僕はダウンした!
王妃は不満を唱えた!
王は耐えた!
「これに耐えるなんて、やりますわね」
「そりゃ、愛するお前と一緒にいるために、ワシは強くなったのじゃからな」
「あっ、その言葉……」
王妃は戦闘態勢を解いた。
「ん?」
わかってないであろう王の靴を、ツンツンと叩いた。
「……王……様。は……な……」
掠れた声で、何とか伝える。
「鼻?」
「……毒花」
「おお! そうじゃった。この花……可憐で危険で王妃のようじゃの」
王は、キョウチクトウを王妃に手渡した。王妃は頬を赤らめる。
「まあ、あなたったら……」
「王妃よ、帰ってきてはくれぬか? ワシは、お前と一緒に人生を過ごしたいのじゃ」
王は、まっすぐ王妃を見つめる。王妃は微笑んで頷いた。
「……はい。わたくしもです。そのために、魔王を辞めたのですから」
「では、帰るとするか」
「はい、あなた」
王妃は、王に寄り添って歩く。
「帰ったら、夫婦喧嘩の時壊した城の修繕作業を一緒に進めてくれぬか?」
「柱2本分でしたっけ?」
「いや、柱3本と床10タイルと天井2㎡じゃ」
「やりすぎてしまいましたね」
「いやいや。本気を出したら、城丸ごとなくなっていただろう」
二人はそう話ながら、魔王城を出て行った。
「僕の……、いた意味って……」
僕は、薄れいく意識の中、それだけ呟いた。
Normal End?
【知らなくても困らない話?・新魔王】
「そういえば、あなたと出会ったのもここでしたね。あなたは記憶をなくしてて……」
「そうじゃったな。お土産屋で剣のキーホルダーを持ったところまでは覚えていたのじゃが……」
「後から知りましたが、北の大陸でお使いクエストばかりの勇者として有名でしたよね」
「まったく覚えておらんのじゃ。だが、きっとお前との思い出に比べたら、取るに足らん記憶なのじゃろ」
「まあ、あなたったら……」
王と王妃はそう話ながら、城へ帰っていく。
それと入れ違いに、魔王城に魔族の娘がやってきた。
「ここが、長年主がいないという魔王の城ね! 今日から、ここがわたくしのお城よ!」
娘は最深部まで来ると、誰か倒れているのを見つけた。
「こら! わたくしが支配する前から、勝手に倒れるなんて許さないわ」
返事はなく、気を失っているようだった。
立派な剣を持った、モブ顔の少年だった。




