配達クエスト
城に戻り、キョウチクトウを見てギョッとする大臣に経緯を話した。
「それで、キョウチクトウを買ってきたのですか……。まあ、アリかもしれませんね」
「ツケですけどね! 僕は無一文ですよ」
「わかりましたよ、魔法使いには花代を支払っておきます」
「そもそも、花屋が毒花売ってていいんですか!?」
「人食い花より、害は少ないですからね……」
「ああ……」
妙に納得してしまった。
「ところで今、王様は?」
「現在、ペンギン会長と氷大陸散歩コース設立の会議中です。とりあえず、王妃様に花をお願いします」
「僕が行くんですか?」
「ボーナスつけますよ」
「行ってきます」
記憶に新しい魔王城の中、裏口から迷わず魔王の間に着いた。
相変わらず王妃は、椅子に座っていた。
「あら、どうしたの?」
「これ、王様からの贈り物です……」
おそるおそるキョウチクトウを見せた。
「まあ!」
意外にも、王妃の瞳が輝いた。しかし、手は出さず目を閉じ首を振った。
「……でも、受け取れないわ」
「やはり、毒花はマズかったですか!?」
「いいえ」
王妃様は優しく微笑む。
「……ここにいると、あの日のことを思い出すわ。
あの日、あの人は格好良く剣をたずさえ、その花を持って、膝を折って逞しい体を下げ、魅惑の声で、わたくしにプロポーズしたの。
だから、その花はあの人からしか受け取らないわ」
「プロポーズでこの花選ぶのまずくない?」
「抜けてるところも、可愛いわよね」
王妃は可愛く笑い、信じられなかった。
「それにしても、王妃様はそんな昔からここの椅子に座りに来てたんですか?」
「来てたというか、そもそもここがわたくしの実家みたいなものですわ」
「えっ?」
「以前は、ここで魔王を勤めておりましたの」
「……いや、もう驚かない。薄々予想はしてた……」
僕は、魔王城を後にした。
【知らなくても困らない話・王様とペンギン会長】
「氷大陸、散歩コースなんじゃが、海中コースを入れるのはどうじゃ」
「クエクエっ」
「やはり、危険か?」
「クエっ」
「なら、花畑スポットはどうじゃ?」
「クエっ」
「そうか、そうか。たしか、おぬしの奥さんが大切に育ててる花があったのう。それを、植えるのはどうだ?」
「クッ、クッエー!」
「ほっほっほっ」
「クエっクエっクエっ」
【知らなくても困らない話・元四天王に聞いてみた】
Q:王妃様が「あの日、あの人は格好良く剣をたずさえ、その花を持って、膝を折って逞しい体を下げ、魅惑の声で、わたくしにプロポーズしたの」と言ってましたが、本当ですか?
A:
戦士「やーねっ! 本当に決まってるじゃない! ロマンチックよねぇ」
魔法使い「僕は寝てたから知らない」
大臣「ワシ、その時いなかった……。てか、王様逞しいか? 魅惑の声か?」
メイド「…………」




