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自己紹介を終えた後、早速活動内容について話を移す。詳しく、と言っても難しいのでいつもの部活動風景を見せてもらう事になった。今日は触りと言う事で花ちゃん先輩が旅行を発表してくれるらしい。
日本地図をバサッと机に広げ、「今日はここ!」と指さしたその場所は。
「ここは……大阪?」
「そう、大阪。もう何回も旅行してるんだけどね」
地図の上だけど、と言いつつ小さな車の模型を取り出す。その模型を地図上に滑らせながら順繰りに道を進んでいった。
「車で行くのですか?」
「今日は車だね! その時によって違うんだけど、車なら道中色んな所に寄れるし。新幹線なら駅弁食べたり出来て面白いんだよー」
卓上旅行って、こんな風に進めていくのか。花ちゃん先輩は車を移動させると、道頓堀だとか城だとか某ユニバーサルなテーマパークだとか(この世界にも普通に存在してた)を巡る。ホテルや料理屋なんかもきちんと指定しながら進めていて、俺はほうほうと感心しながら覗き込んだ。
きっちり移動時間も計測し、そのまま地図の上だけの2泊3日を終えた。
「椛の旅行は、人混みが多い傾向だな」
「だって人が多い場所って楽しいもん。言っておくけど、ホテルだってそこそこ安くて、近場に美味しい料理がある所選んだりしてるんだからね」
「確かに、ホテルの近くのこの料理屋…前に行きましたけど、とても美味しいですよ」
1人が旅行を終えると、他の2人がそれについて様々な意見を出し合っていく。成程、こういう部活なんだな。
俺はTRPGだとか、ディスカッション的なものは大好きだったので見ながらついワクワクしてしまった。
しかも、大阪までの旅費や宿代、城の入館料まできっちり計算してある。もし大阪まで行くことになっても、参考に出来そうな程にしっかり調べ尽くしてあった。
「と、まあ今日は椛の旅行だけを見てもらったんだけど……どんな感じ?」
「はい、とっても楽しいです。本当に大阪へ行ったような気分になりました」
「でしょ! 時間をかけてちゃんと纏めると、本当に行った気になれるから凄く楽しいんだよ!」
「俺と聡はまた次回に発表するけど……傾向はみんな違うから、それを知るだけでも勉強になるし。とっても楽しいと思う」
「美味しい店の事だったら聡に聞くのが一番だよねー!」
そう口々に言う。いやあ、知らなかったけど凄く楽しそう、卓上旅行!
自分なりに旅行を纏めて、どんな風に旅行するかを発表する。たったそれだけの事なんだけどそれがまた奥深い。
と、俺がそんな事を思っているとは露知らず、部長が何やら困ったような顔をしていた。
「それで、その……男しか居ない部活なんだけど。実は5人じゃないと部活にならないんだ…その…だから」
「あ、はい。入部します」
「そっか、そうだよな…こんなムサい所嫌だよな……って、え!?」
「入部してくれるの?! 有難う伊織ちゃん!」
「西原さん、どうも有難う。とても嬉しいよ」
わああ! と4人で盛り上がる。何だかスポーツ漫画の最終回みたいになってるけど、この部活ガチガチの文科系だ。
部長たち曰く、今年の部活動紹介の沈黙っぷりで半ば新入生の入部を諦めていたそうだ。だけど、先代の部員たちが卒業して4人になってしまうと、部活動として存続不可だったのでかなり頭を悩ませていたらしい。
そんな時に俺が来たもんだから、賭けていたんだと。そう教えてくれた。
「本当に有難う。この部室使えなくなっちゃうと、どこも貸してくれなくて……」
「しかも伊織ちゃん良い子だし! こんな子が部員になってくれてとっても嬉しいよ」
「これから卓上旅行研究部の一員として、宜しくね」
「はい、宜しくお願いします」
こうして俺はこの卓上旅行研究部の新たなメンバーとして加わった。
右も左も全く分からない状態だけど……でもまあ、みんな良い人ばかりだからとりあえず部活選びは成功、かな?




