褒められる以外の賞賛
「ふぅ…」
(なんだろう…急に…視線を感じなくなったけど…
誰だったんだろ…?まぁ…いっか…?)
「さてと…」
(彼女たちには良いって言われたけど…
ほかの人の意見も聞きたいんだよな~…)
部屋を見回しながら考える。
すると目に入ったのは…
「あっ…」
(陽くん…)
陽が視界に入った。
(でも彼なら…違う意見くれるかな…?)
見つめたまま考えたのがいけなかった…
視線に気づいた陽が席を立って近づいてくる。
(でもやっぱり他の人にしようかな…?)
それに気づかず考え込む月華。そして…
「なんか用事か?」
唐突に話しかけられる。
「ふぇ!?」
「いや『ふぇ!?』じゃなくて。ずっとこっち見てたじゃねぇか」
「あ、いや、その…えっと…」
戸惑う月華。ふと…陽の視界に月華の描いた絵が入る。
(あ…)
「上手だな…」
「えっ…?」
「あ…!」
慌てて口を塞ぐ。だが時すでに遅し。
「私の絵のこと?」
「…あぁ…」
「そっか…」
「嫌だったか?」
「ううん…嬉しいよ…」
笑顔でそう答えた。…だが言葉には影があるような気がした。
「…」
「陽くん?」
「もっと綺麗に描けるんじゃないか…」
「ふぇ?」
「あー、絵には詳しくねーし、具体的にこれだとは偉そうに言えないんだけどさ。お前ならもっと綺麗に描けるだろ?」
「えっと…」
「ただそう思っただけ。んじゃ…」
「あっ…」
陽は立ち去ろうとする…が足を止めて。
「もっと頑張って描いた絵を見せてくれたら…違う言葉かけてやるよ」
そう言って自分の席に戻って行った。
「…」
月華はしばらくボーっとしてから
「…ありがとう…陽くん…」
彼には聞こえないようにそうつぶやいた。




