51ー戦いの後
遅くなりました。
ハヤミ達一行はオーランド王国の周辺の村に夜遅く到着した。
「ようやく着いたな」
「うん、眠いよ〜」イリーは喉が渇いたと言って持っていた日本酒を飲んでから、フラフラしながら歩いていた。
俺もシャルも疲れていたので、着いてこれるならとほったらかしにしながらようやく村に着いたのだ。
シャルに泊まれる家がないか村に聞きに行ってもらって、俺はイリーの日本酒を取り上げ、背中を押して村の集落に押して行った。
この村は、オーランド王国南方面の村でまだバンガードで起きた事件について何も知らなかった。
俺達は、バンガードで起きた事を教えたが、村長を含め、村人も誰も懐疑的な感じでとても信じて貰っていない事を感じた。
何はともあれ、今夜は家を借りる事もでき、ゆっくりと寝せて貰った。
俺達は次の日、早々とオーランド王国の首都「オーランド」向かい、歩き始めた。勿論、弁当と水筒は買わせて頂いた。
その頃、バンガードの街では火事も収まり、煙も見えない状態になっていた。
「どうだ?順調か」赤い鎧を着た男が灰色のローブを着た男に話しかけていた。
「万事順調ですよ〜、リュウジさんも少しは手伝ってくださいよ〜」灰色のローブの男は、魔法陣の中に座り、瞑想しながら、リュウジと呼ばれる男に返事をしている。
「バカヤロウ、俺は昨日からず〜と働いていただろうが!そもそもな〜ウキタの傷が治るのが遅えから時間掛かったんだろ」
リュウジは灰色のローブの男ウキタに向かい、文句を言っていたが、目を瞑っている相手に文句を言っても釈然としないのか、ウキタの返事を聞かずにその場を後にした。
「リュウジさんは短気だなぁ、俺だって怪我したくてしたんじゃないのになぁ」
ウキタは瞑想を解き、周辺にいた兵士に向けて指示を出した後、腕の傷後を見ながら今日までの事を思い出していた。
ウキタ ヒロシはバンガードを攻略する為に、ようやく育てたゴブリンキングをバンガードに向けて突撃させた。バンガードの冒険者達を壊滅に追い込む事は出来なかったが、当初の目的であったギルドの主要メンバーを殺す事は出来た。しかし、俺を発見し、尚且つ傷を負わせる冒険者がいた事に驚きを隠せずにいたのも事実だった。ま〜あれだけ魔法使っちゃ、バレちゃうかなぁ〜でも、あの矢を受けなければもう少し、キングを援護し、より簡単にバンガードを攻略出来たんだけどなぁと矢を放った男の顔を思い出していた。
あの顔はいわゆるアジア系の顔だった、多分、転生者であろうと推測したが、今のバンガードを見て、もはや生きていないと確信し、リュウジの所に合流する事にした。
リュウジと呼ばれていた男は、バンガードの壁があったと思われる場所に腰をかけ書物をしている。
一通り書き終わったのか、兵士に手紙を渡し、指示をした後、ウキタの姿を確認した後、一緒に森に消えた。
兵士の1人が、大きな旗をバンガードの街に掲げた。
旗の絵は、オーランド王国の物ではなく、シェラード王国という昔滅びた国の紋章であった。
国の歴史は戦いの歴史である。
オーランド王国は40年ほど前より、他の国を攻めて国の版図を広げてきた。シェラード王国はオーランド王国と同盟関係にあったが、東の帝国との戦争が長引き、オーランド王国の消耗が激しくなっていた時、当時のオーランド王国の王はシェラード王国を恐れたのだ。
シェラード王国の王と官僚を巧みに騙し、殺害した。勿論、犯人は帝国という事になっているが…。
シェラード王国は、国としての機能を失い、迷走する事になった。それを助けるという事でオーランド王国がシェラード王国内部に侵食し始める。
スケープゴートを作りだし、帝国との裏同盟をでっち上げて民衆を騙した。民衆にとってはもはや国はどこでもよかったのかもしれない、豊かな生活さえ保障してくれればだが、オーランド王国は豊かな生活ができる事を強調し、シェラード王国の基盤を壊し、オーランド王国に移行して行った。
シェラード王国は、そうして滅んだ。いや滅んだのだが、民衆から忘れられた国なのである。滅んだ事さえ忘れられた国、それがシェラード王国である。
前シェラード王国の街【シェブロン】、その領主館にいた男は、リュウジと呼ばれていた男の手紙を読み、呟いた。
「次は首都オーランドか、俺も出なければなるまいな」
バンガードを巡る戦いは、まだ序盤でしかなかったである。
字誤・脱字 お許しください。




