50ー神託3
目の前に現れた物は、生前に見た物であった。
「缶詰か…」
そう、日本のスーパーでよく買っていた缶詰の詰め合わせだった。それと同時に日本酒が1本【越乃寒梅】中身が入っている状態で現れた。
「完全にツマミセットじゃねーか」
「なんだいそれ?」シャルは缶詰を指でつついている。
「どうやって出したの?」イリーは突然、商品が出た事に驚いたようだ。
「ああ、済まなかったね、俺のスキルでね、月に1度、こういう風に物を出す事が出来るんだよ」
なんでもかんでもスキルの所為にして置く事にした、理解して貰うには時間がないからね。
『なんか凄いね〜』2人は見た事がないのであろう商品の数々を手に取り、何これ?を繰り返していた。
「2人とも、場所が場所だから簡単に説明するよ、これは缶詰といって食料が腐敗しないようになっている物で、その液体は酒だ、丁度お腹も減った事だし、食べて見ようか?」
俺は、缶詰の1個を取りパリパリと引き金を引き中身を2人に見せた。
『なんだい、それ?』
「これはさんまの蒲焼って言って、さんまという魚の保存食だな、食べればわかるよ」
俺は、2人にさんまの蒲焼の缶詰を目の前に出すが、2人とも顔を見合わせて食べる気配がない。
「どうしたんだい?美味しいと思うよ」
俺は2人が食べないので試しに食べて見た。
「う〜ん、久々に食べたな」
生前に酒のツマミに結構、食べていたので感動してしまった。
「ハヤミが美味いというんじゃ食べて見ようかな」シャルはさんまのブロックを1個手に取り口に入れた。
「シャルどう?」イリーはシャルが食べてる姿を見て不安そうにしている。
「ハヤミ!なんだいこれ!」シャルは、俺に詰め寄り、興奮していた。
「不味かったかい?」俺もシャルの興奮した姿を見て日本の魚は異世界の人々には合わないのかなと思ったのだが。
「美味いよ!こんな美味い物始めて食べたよ!」シャルは俺から缶詰を奪いとり、口にパクパク入れ始めた。
「シャル、私にもちょうだい」イリーはシャルの缶詰から1個のブロックを奪い口に入れた。
「なにこれ!美味い!」イリーも興奮したようにシャルが持っていた缶詰を奪おうと動き始める。
「シャル!もう無いじゃない!私は1個しか食べてないのに…」
「イリー、ごめんよ、余りに美味しくて、手が止まらなかったよ」シャルはイリーに頭を下げている。
「2人とも、落ち着けよ、まだあるからさ」
2人がそこまで興奮するとは思わず、少し引いてしまったが、ま〜生前の商品が美味いと言ってもらえるのは嬉しいものがある。2人に色々な缶詰を開けて渡し、俺も食べた。
2人は、色々な缶詰を食べては、何これ?を連発し、興奮しっぱなしで食べ続けている。
結局、缶詰は全て食べ終わってしまった。周りには缶詰の空き缶が20個程転がっている。2人が何でそんなに興奮していたのかというと、そもそも魚を食べた事がなかったという事と味付けが今までに食べた事がない味だったという点が挙げられる。
2人はまだ興奮してあれが美味かった、これも美味かったなど興奮して話している。
缶詰だけで大して腹も満たされなかったが、味が濃い目だったのがよかったのか、食べた感は残った。
「2人とも、そろそろ行こう」興奮している2人に俺の探知は暫く使えない旨を伝え、オーランド方面に向かう事を伝える。
日本酒の瓶を回収し、オーランド方面に向かった。
シャルを先頭に警戒して貰い、俺を真ん中に弓を手に持ちながら歩く。イリーは最後に日本酒を俺から奪って瓶を撫でながら続く。
どうも、見た事がない形状な瓶がどうしても気になったらしく、貸して貸してと駄々をこねるので渡したのだ。イリーは子供ぽいところがあるな…。
今回の神託が空瓶じゃなくて、よかったと思う反面、どうも神王様の趣味が送られている感が否めないなと神託の意味を改めて考える俺であった。
食事をとった俺たちは、歩速を速め、順調に進んで行った。
そしてようやく、オーランド方面の村に着いたのであった。
字誤・脱字 お許しください。




