52ー回復
遅くなりました。
首都オーランドに着いた、ハヤミ一行はバンガードの状況を聞き、愕然としていた。
バンガードの街は、壊滅し、住民の8割も死傷者を出したそうだ。オーランド王国が建国して始めての歴史的敗北にオーランドの街は沈んだ雰囲気を漂わせていたが、戦争という物は、そう簡単に終わる事もなく、既に反撃をする体制をオーランド王国は整え始めていた。
兵士達が、街中を忙しく動きまわり、武器やら食糧やらを広場に運びこんでいた。
俺たちはそんな兵士達を見ながら、オーランドの街の住民から宿屋を聞き、疲れを癒すのであった。
イリー、シャルはバンガードの状況を聞き、ひどく落ち込んでいたが、連日の逃避行のせいもあり、宿屋に着いたら眠ってしまった。
俺も、色々と考える事もあったが、知らぬうちに寝てしまっていた。想像以上に身体と精神が疲れていたのであろう。昼頃に宿屋に入ったのに目が覚めたのが、翌日の朝であった。
充分、睡眠をとった俺は、腹が猛烈に空いた事を自覚し、食堂に向かう。食堂には、シャルとイリーが既にいて、黙々と食事をとっていた。同じだったなと思い、俺も黙々と頂いた。
「シャル、イリー、疲れは取れたかい?」食事が終わり、3人で一服していた。
「もう大丈夫だよ、バンガードの話を聞いた時、想像以上に悲惨な状況になっていたから驚いたけどね…」
「私も、驚いたけど、こうして今、私達は生きているわ!それだけで充分よ」
シャルもイリーもどうやら吹っ切れたようだ。俺達はバンガードの状況を見る事もなく、街を出たせいで悲惨な状況を見る事が無かったのが幸いしたと思う。
バンガードの住民は気の毒に思うが、俺は戦争という行為の中、親しい仲間に犠牲が出る事なく、現場から逃げれた事を神様に感謝した。人間は、都合よく神様に感謝し、敬愛する。いつも裏切られているのはすぐに忘れて・・・。
「シャル、イリー、聞いてくれ」俺は2人に今後の予定を話し始めた。
「俺は、この街を拠点にして冒険者を続けようと思うんだがどうだろう?」
『勿論、ハヤミについていくよ』2人はそう言ってくれた。
「ありがとう、でも前も話をしたけど、俺の出身地の人間が襲ってくる可能性が高い。しかもバンガードを襲った国はバンガードを落としただけでこのままって事はないと思うんだ。何となくだけどね、あの国には俺の出身地の人間が関わっている気がするんだ…それでもいいかい?」
「何言ってるのさ、私達の出身地が襲われてそのままって訳にはいかないわ!兵士にはなりたくないけどこの国を守る事なら喜んでやるわよ」
「そうよ、シャルの言う通りだわ、ハヤミの出身地の人間がいようがいまいが関係ないよ、この国が危機に瀕しているなら戦うまでよ」
シャルとイリーのバンガードでの悔しさは想像以上にあると思われた。冒険者は本来、国との関連性は低いが、戦争となると話は変わる。国は冒険者を兵士として徴兵するであろう。冒険者側から反対があっても国の存亡の時に冒険者規定もなにもない。俺は平和な日本という国から転生したから戦争という物を知らないが、国を守るという意識はわかる気がした。バンガードの街があのような事にならなければ気づかなかったかもしれないが、国同士の戦いに戦う事も出来ない民間人が犠牲になるという事が戦争なのであろう。
俺が守れるのは知っている人物だけかもしれない、いやそれすら守れないかもしれないが、せめてこの2人だけは俺の命をかけても守るつもりだ。この2人には感謝してもしたりないほどだ。
2人が口論しているのを見ながら、俺は改めて2人だけは守ろうと誓った。
話し合いが終わった後は、冒険者ギルドに3人で向かった。
流石は首都というべきか冒険者ギルドは3階建の大きな建物で中に入るとかなりの冒険者達で賑わっている。
俺達はカウンターに行き、ギルド員に話掛けた。
「すいません、俺達、バンガードから来たんですがカードの更新をお願いします」
「あんたらバンガードから来たか…大変だったな…ああ、カードの更新だったな」
既にバンガードの冒険者達が何人かオーランドに入っていたのか質問責めにあうこともなくカードの更新をしてもらった。
俺達はカードを確認した後、宿屋に戻る事にした。
シャルもイリーもまだ疲れが取れていない様子だったし、俺も依頼を受けようという気分にならなかったからだ。
2人には折角、王都に来た事だし暫くは王都巡りをする事を言い気分転換をはかる事を提案した。
2人とも、俺の提案に笑顔でうんと答えてくれた。
字誤・脱字 お許しください。
一部修正を入れました。




