46-防衛戦
森の中からこんなにもいるのかって程のゴブリンが出てくる。
南門に集まった冒険者からはどよめきが起こっていた。こんな数どうするんだ?抑えられるのか?など不安を感じる言葉があちこちで聞こえ始めた。
「お前ら、ゴブリン如きにビビッてんじゃねーぞ!ビビッているなら冒険者なんてやめちまえ!」
ギルド長のサザンが大声を張り上げ、グレイモアを振りまわしている。
「冗談じゃねーや、子供でも倒せるゴブリン相手にビビる訳ねーだろ!」
サザンの横にいた冒険者がそう声を張り上げるとまわりの冒険者たちも追随し始め、士気が上がっていくのがわかる。やらせだとわかっていてもこの人達がいるなら大丈夫だと思うのは気のせいだろうか、俺もなんか湧き出す力を感じていた。
「盾隊!無理に前にでるなよ!とにかく抑え込めばいい!抜けられた箇所はすぐに隣がフォローしてくれ!」
サザンが指示をだしている。
「さて、前はサザンさんに任せて俺らの仕事しようや、射程距離に入ったら順次撃ちまくれ、狙わなくても当たるからドンドン撃っていけよ!」使い込まれた弓に2本の矢を引きながら片目の男がそう言った。
『了解!』弓部隊から声が揃って皆、矢を引き始める。
「この戦いは数の戦いだ!死ぬ気で撃ちまくれ!」片目の男そういい矢を放つ。
2本の矢は、先頭を走っていたゴブリン共に当たり、転がって後続のゴブリンの中に消えた。
それを合図に弓部隊の矢がゴブリン共に降りそそぐ。およそ40人ほどの弓部隊の冒険者からの一斉攻撃が始まった。俺も皆に歩調を合わせるよう矢を撃ちまくる。
矢は、ゴブリンに当たり、ゴブリンが消えていくを繰り返していたがついに盾の部隊までゴブリンが達した。
「ドゴーーン」無謀ともいえるゴブリンの突撃に盾を構えていた冒険者達は後ろに吹き飛び体制が崩れ始めていた。シャルとイリーの様子が気になったが、矢を撃ち続ける他なかった。
その様子は盾部隊全員が吹き飛んだのではなく、中央部分だけ崩れた格好になっていた。そこにサザンを中心にした高ランクの冒険者達がすばやく突撃をかけていく姿が見える。
「ゴブリン共が!」サザンを中心にした20人近くの冒険者達が一斉になだれ込むゴブリンを薙ぎ払っていく、まさに力まかせの行為だが、効果はあった。ゴブリン共の勢いが止まり、左右の盾部隊が押されなくなっていた。中央部分に穴ができた個所までゴブリンを押し戻すことに成功し、その場で未だに暴れている突撃隊。サザンが剣を上に掲げたと同時に引き返す姿は長年パーティを組んだもの達じゃないのかと疑うばかりであった。突撃隊が引き返すと同時に吹き飛んだ盾部隊が穴を埋める。
ゴブリンが押してくるのを盾部隊がいなし、部分部分で突撃隊が意図的に穴を作り突撃をするという行為を繰り返し行っていた。俺ら弓部隊は延々と矢を撃ちまくる。そんな事をどのくらい繰り返したのであろうか、時間がどれくらい経っているのかわからない。そこら中から血の匂いが充満しはじめていた。
時間の経過とともに、盾部隊に綻びが生まれ始めていた。時折、盾部隊の中からゴブリンが侵入する機会が増え始めたのだ。ゴブリンは他のゴブリンの死体の上に飛び乗り、抜けてきている。突撃隊が抜けてくるゴブリンを始末しているが、余裕があるように見えなかった。
これはまずいんじゃないかと思ったとき、門から魔術部隊が一斉に魔法を放った。四方八方にあらゆる魔法が飛び交う。属性によって使い分けているのかゴブリンの後方に火、水、風、土の攻撃が煌びやかに光ってはゴブリンが吹き飛ぶという光景が目に入る。
それを合図にサザンは盾部隊の隊列を下げるように指示をし、怪我人を後方に下がらせ始めた。
俺ら弓隊も水を飲めと言われ、知らない内に置かれた水筒を手にして渇いた喉を潤した。いくら攻撃されてないとはいえ、想像以上に疲労していることに気づかされた。矢を引く腕は痙攣をおこし始めていたのだ。
「ここが正念場だ、もうひと頑張り頼むぞ!」サザンはそういい、皆が『オウ!』と答える。
魔法によって穴ができた個所は既にゴブリン共が埋め尽くしていた。
ふと森のほうを見ると黒い大きなゴブリンが大きな大剣を掲げながらこちらに向かってくるのが見えたのだった。
誰かが「ゴブリンキングだ…」と呟いた。
片目の男が、「サザン!キングが来た!」と叫ぶと、サザンは額の汗を拭いながら、「やっと来やがったな」と笑い、「キングのお出ましだ!最終局面が近い、踏ん張れよ!」と声をあげるのだった。
「グオオオオ!!」キングらしき個体が声をはりあげると、モーゼの如く、ゴブリンが中央地帯から左右に散っていく!キングの周りにいるゴブリンより大きい個体がその中を突進して来ていた。
どうやら第2幕の開始のようだ。
「中央のホブコブに狙いをつけて撃て!」片目男がそういいつつ矢を放っている。
皆無言になり、矢を放ち続ける、ホブコブリンは、矢を受けても鎧を装着しているらしく、なかなか倒れてくれない、俺達は意識的に頭部を狙って放っていく。それでもホブゴブリンは数の暴力で盾隊に突入して行った。
中央の盾隊は、先程より激しく、吹き飛び仰向けに倒れている冒険者達が多数出ていた。ホブゴブリンの第2波が、中央の空いた場所に突入しようとしている時、こちらの魔法による第2波が、突入しようとしたホブゴブリンを粉々にしたのだった。
冒険者と魔物との南門の死闘が、繰り広げられている。
魔法による殲滅をした場所に、突撃隊が、15人程、逆突撃をかけている。俺達、弓部隊は突撃隊の進路を塞ぐゴブリンに狙いをつけて撃て続ける。突撃隊はゴブリンキング付近まで接近し、ゴブリンキング周辺にいるホブゴブリンより大きい個体の魔物を相手に接近戦を開始している。
「あの距離では、弓での効果は薄い、俺達、弓部隊も接近する!ついて来い!」片目男はそういい、壁を下り始める。俺達は、キングを倒さなければ、負ける事を言われなくてもわかっていた、誰もが反論する事もなく、片目男についていく。
ゴブリンキングの周辺では壮絶な戦いが繰り広げられていた。キングに対しては、サザン、他2人の冒険者が3身一体となり、戦い、他の冒険者はキングの親衛隊らしいゴブリンを相手どり、キング戦の邪魔をさせないよう相手の剣をいなしている。無理に攻めずに邪魔をさせない戦法らしかった。
俺達も有効射程距離まで近づき標準を定める。周りのゴブリン共が、俺達に向かってくるが弓隊の半数が盾を持ち迎撃体制を整えてくれていた。
安心して弓を撃てることに感謝し、俺は、キングに空きが生まれないか狙いを定めていた、その時、誰かが放った矢が、キングの首元に刺さる、サザンがその隙を見逃すはずもなく、キングの剣を上から押さえ、絶妙のタイミングで2人の冒険者が、剣を繰り出す。
俺はその光景を見た時、勝ったと思った…が、2人の冒険者の剣はキングには届かなかった…
その冒険者達は、魔法による攻撃を喰らい、弾け飛んだのだ。
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