30ー旅立ち
朝、1の鐘がなる頃、私は支度をして部屋をでた。
「女将さん、ご主人、お世話になりました。また来ます」
「体に気をつけてね~」
「また待ってるぞ」
と声をかけられ、「ありがとうございます」と宿をでた。
ワーレンさんに会う前に、オリドさんにお礼を言ってから街を出たかったのだ。
冒険者ギルドに入り、オリドさんがいないか、スタッフさんに聞いてみたがいないとの返答だったので、 しばらく待っていたが、現れる様子もなかったので、東門に向かった。
東門には大型な馬車が2台止まっていた、周りを見てみるとワーレンさんが、小太りなおじさんと喋っていたので挨拶しにいった。
「おはようございます、昨日はありがとうございます」
「来たなハヤミ、今、こちらの依頼主、パフェットさんにお前の件を話終えたところだ」
「よろしくお願いします。パフェットさん」
「確かに優秀そうな若者だ、改めて、パフェットだ。こちらこそ、よろしく頼むよ」
「あとはワーレンと打ち合わせしてくれ、私は最終の荷物検査があるんでな」手を振って馬車のほうに戻っていった。
「ワーレンさん、私はどうすればよろしいでしょうか?」
「ハヤミ、とりあえずは他の護衛を紹介しよう。長旅になる事だ、気張らずにいこうぜ!」
護衛は私を含めて5人。
隊長のワーレンさん、犬の獣人でラズさん(女性)ロッテさん、ロズベルトさんの4人だ。
荷物は鉱石関連との事だった、このラークス街は開拓村から掘り出される鉱石の集積場でもあるらしく、それを首都オーランドで加工するとの事だった。
ラークスに来るときは食料関連と木材が主で、パフェットさんは首都オーランドとラークスを往復する商人で有名らしい。
東地区は魔物が襲ってくるよりは盗賊、山賊の部類が多く、その撃退、討伐が主な仕事内容であると言われた。
無論、魔物が出る地域もあるから一概には言えないがなと言われ、今更、人間相手はできないとも言えないのでわかりましたと答えた。
皆さんに紹介してもらい、準備の手伝いをしていたら、ワーレンさんが馬を4頭連れてきた。
こちらに来て、馬を初めてみたが、サラブレッド的な馬ではなく、北海道とかのばんえい競馬で、出てくる馬に似ている、足が短く、胴が長い、力強そうな馬だった。
4頭とも、性格が大人しいのかワーレンさんに素直に従って、馬車に繋がれている、 その馬車も特徴的だった。
典型的な馬車の形はしているのだが、窓がなく、四角い箱をそのまま荷車に乗せた感じだった。その箱には鉄の板が張り付けられていて、丈夫そうに見える。
「ずいぶん頑丈な、作りですね~」と剣士風なロッテさんに尋ねてみると、「頑丈だけが取り柄の馬車だからな、人が乗るような物じゃねーよ」馬車とか見たことないの?って感じで私を見ていた。
「田舎育ちなものですから~初めて見ました」とごまかし、馬車に触れてみると、 鉄の板らしいところは結構、ボコボコな傷が多数あった。
傷の部分を触れていると、「それは矢とか槍の傷だ」とロッテさんが教えてくれたので 要するに人間相手が多いって事ですね?と聞くと頷いてた。
最終点検も終わり、パフェットさんと縁者の方が馬車に乗りこんで出発するとワーレンさんが宣言した。
東門からゆっくりと馬車2台が出ていく、 私は最後帯を任されたので後ろから着いていくことにした。
街を出てしばらくして、街の思い出が蘇る、 結局、オリドさんに別れの挨拶ができなかったなと、気持ちが沈んだが、また会いに来ればいいとラークスの街を振り返り見た。
すると東門に、オリドさんが立って、手を振っていた。
「ハヤミ!今度は飲みにいこうぜ!」とオリドさんの声が聞こえた気がする。
私は、立ち止まり、深々と礼をして馬車を追いかけた。
オリドさんはわざわざ、私の為に見送りに来てくれたのであろう。
オリドさんに助けて貰って、この街に来て、オリドさんに見送られて、この街を去る。
オリドさんに最後に声をかけることができなかった。
オリドさんも私に声をかけてもらいたくはなかったのであろう。
「オリドさん、ありがとう・・」涙声で呟くのであった。
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