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悪役令嬢ですが、冷徹王子の胃袋を掴んだら溺愛されました  作者: 星乃茶々


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第46話 悪役令嬢、寝不足の朝に妹から追及されます

翌朝。


私は鏡の前で、自分の顔を見てため息をついた。


「……ひどい」


寝不足である。


原因は明白だった。


昨夜の舞踏会。

庭園での会話。

枕元の紙片。


思い出すたびに心臓が騒ぎ、結局ほとんど眠れなかった。


「アメリア様、お顔色は悪くありません。むしろ少し艶があります」


侍女ミラが冷静に告げる。


「それは寝不足です」


「恋煩いでは?」


「違います」


即答した。


その瞬間、扉が勢いよく開く。


「お姉様ーー!」


セシリアだった。


朝から元気である。


淡い桃色のドレス姿で、抱きつく勢いのまま駆け寄ってくる。


「待って、転びます」


「転びません!」


危なかった。


私は受け止めながら苦笑する。


「もう朝食の時間ですよ。どうしたの?」


「どうしたの、ではありません!」


セシリアは頬を膨らませた。


「昨夜のこと、全部聞かせてください!」


嫌な予感しかしない。


「何の話かしら」


「舞踏会の後、殿下とお庭へ行かれましたよね?」


ミラが横を向いて肩を震わせている。


裏切り者である。


「べ、別に大したことは」


「ではなぜお顔が真っ赤なんですか?」


「朝だからです」


「意味が分かりません!」


鋭い。


セシリアは椅子に座り、身を乗り出した。


「お姉様、殿下に何か言われたのでしょう?」


「何も」


「嘘です」


「なぜ分かるの」


「お姉様、嬉しい時だけ口元が緩みます」


妹、観察眼が高い。


私は言葉に詰まった。


そこへミラが追撃する。


「昨夜は眠れなかったご様子でした」


「ミラ!」


「まあ……!」


セシリアの目がきらきら輝く。


敵が二人になった。


「違うの、ただ寝つきが」


「殿下のことを考えて?」


「違います!」


声が裏返った。


セシリアは両手を胸元で組み、うっとりと言った。


「素敵……」


「何が」


「恋です」


「違います」


断固否定した。


だが誰も信じていない顔である。


その時、扉の外から侍従の声が響いた。


「アメリア様、セシリア様。朝食のご準備が整いました」


助かった。


私は即座に立ち上がる。


「行きましょう」


「逃げましたね?」


「逃げていません」


逃げた。


食堂へ向かう廊下を歩く途中、セシリアが腕を絡めてくる。


「お姉様」


「なあに」


「昨夜、とても綺麗でした」


私は足を止めた。


セシリアはにこりと笑う。


「ずっと自慢のお姉様でしたけれど、昨日はもっと素敵でした」


不意打ちだった。


涙腺に悪い。


「……朝から泣かせないで」


「泣いてません」


私の真似まで上手い。


食堂の扉が開く。


中には王族たちが揃っていた。


そしてアルフレッドが、いつもの無愛想な顔で座っている。


……いや。


目の下に、うっすら隈がある。


私は思わず瞬いた。


まさか。


アルフレッドもこちらを見て、一瞬だけ視線を逸らした。


セシリアが小声で囁く。


「お姉様」


「何?」


「殿下も寝不足です」


私はその場で固まった。


ルシアンの明るい声が響く。


「兄上も眠れなかったんだってー!」


「ルシアン」


「ひっ」


本日も一喝である。


私は顔が熱くなるのを止められなかった。


こうして悪役令嬢は、寝不足の朝に――妹から容赦なく追及されるのだった。

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