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悪役令嬢ですが、王宮厨房から王太子妃になりました  作者: 星乃茶々


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158/160

第158話 悪役令嬢、家族に支えられます

妊娠が分かってから数日。


---


私の周りは、


少しずつ変わっていた。


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「アメリア様」


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エマだった。


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「それは私が持ちます」


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「でも」


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「駄目です」


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即答だった。


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いつになく真剣である。


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「少しくらいなら」


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「少しでも駄目です」


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強かった。


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私は思わず笑う。


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「分かりました」


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すると。


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エマはほっとした顔をした。


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厨房でも同じだった。


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「アメリア様!」


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「重い鍋は私たちがやります!」


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「味見だけお願いします!」


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「立ちっぱなしは駄目ですよ!」


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見習いたちまで張り切っている。


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「ありがとうございます」


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そう言うと。


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皆が嬉しそうに笑った。


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料理長も腕を組む。


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「厨房は我々に任せてください」


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「でも」


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「無理は禁物です」


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有無を言わせない声だった。


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どうやら味方はいないらしい。


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「アメリア!」


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勢いよく扉が開く。


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王妃様だった。


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「体調はどう?」


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「大丈夫です」


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「ちゃんと食べてる?」


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「食べています」


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「寝てる?」


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「寝ています」


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王妃様は満足そうに頷いた。


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だが。


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それだけでは終わらない。


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「今日は少し冷えるわね」


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次の瞬間。


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ふわり。


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肩にショールが掛けられた。


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「母上」


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アルフレッドが呆れたように言う。


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「何か問題あるかしら?」


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「ない」


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即答だった。


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どうやら共犯らしい。


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昼食の時間。


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「生ものは駄目よ」


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王妃様。


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「無理も駄目」


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王妃様。


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「冷えも駄目」


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王妃様。


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「寝不足も駄目」


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王妃様。


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「母上」


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アルフレッドが口を開く。


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「何だ」


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「私も同じことを言った」


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「なら安心ね!」


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全く反省していなかった。


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ルシアンが吹き出す。


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「兄上と母上、同じこと言ってる」


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「当然よ」


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王妃様は胸を張った。


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「大事なんだから」


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その後。


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私は思わず笑ってしまう。


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「皆さん心配しすぎです」


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すると。


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王妃様が優しく微笑んだ。


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そして。


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そっと私の手を握る。


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「当たり前でしょう?」


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「あなたも」


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「お腹の赤ちゃんも」


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「私たちの大切な家族なんだから」


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その言葉に。


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胸がじんわり温かくなる。


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その時だった。


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「そうだな」


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低い声。


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アルフレッドだった。


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いつの間にか隣へ来ている。


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私は思わず笑った。


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「殿下まで」


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「心配性ですね」


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「そうか?」


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「そうですよ」


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アルフレッドは少し考えた。


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そして。


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私のお腹へそっと手を添える。


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優しく。


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壊れ物を扱うように。


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「大事だからな」


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静かな声だった。


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私は目を瞬く。


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「お前も」


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「お腹の子も」


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「私にとって大切だ」


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胸の奥が温かくなる。


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「ありがとうございます」


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私は幸せそうに微笑んだ。


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周りを見渡す。


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エマ。


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料理長。


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見習いたち。


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王妃様。


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ルシアン。


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セシリア。


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そして。


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アルフレッド。


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たくさんの人が支えてくれている。


---


たくさんの人が、


生まれてくるこの子を待ってくれている。


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私はそっとお腹を撫でた。


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この子は幸せだ。


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まだ生まれていないのに。


---


こんなにも愛されているのだから。


---


春の陽射しが窓から差し込む。


---


穏やかで。


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優しい時間だった。


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