第157話 悪役令嬢、新しい命を知ります
数日後。
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私はいつものように厨房へ向かった。
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焼きたてのパンの香り。
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温かなスープ。
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香ばしいベーコン。
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いつもなら大好きな匂いだった。
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けれど。
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その日だけは違った。
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「……っ」
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思わず足を止める。
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急に胃がむかついた。
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香りが強すぎる。
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「アメリア様?」
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見習いが心配そうに声を掛けた。
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「大丈夫ですか?」
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「ええ……」
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そう答える。
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だが。
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今度は焼き魚の匂いが流れてきた。
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途端に気分が悪くなる。
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「すみません……少し外へ」
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私は慌てて厨房を出た。
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◇
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「無理をするな」
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低い声。
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アルフレッドだった。
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結局。
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私は医官の診察を受けることになった。
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そして。
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「おめでとうございます」
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医官が微笑む。
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「ご懐妊です」
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時間が止まった。
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私が?
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本当に?
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胸の奥が熱くなる。
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嬉しい。
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信じられない。
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私はそっとお腹へ手を添えた。
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そこには。
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新しい命がいた。
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◇
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部屋へ戻る。
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「どうだった」
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アルフレッドが立ち上がる。
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私は少し笑った。
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「殿下」
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「赤ちゃんがいます」
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静寂。
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アルフレッドが固まった。
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珍しい。
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本当に珍しい。
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そして。
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ゆっくりと近付いてくる。
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「本当か」
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声が少し震えていた。
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「はい」
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私が頷く。
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すると。
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アルフレッドは私をそっと抱きしめた。
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壊れ物を扱うように。
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優しく。
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とても優しく。
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「ありがとう」
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小さな声だった。
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私は思わず目を見開く。
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アルフレッドがこんな風に感情を見せるのは珍しい。
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彼はゆっくり身体を離した。
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そして。
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震える手で私のお腹へ触れる。
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まるで宝物に触れるように。
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優しく。
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とても優しく。
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「俺の子が」
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アルフレッドが呟く。
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「ここにいるのか」
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その瞳は信じられないものを見るようだった。
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嬉しそうで。
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幸せそうで。
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少しだけ泣きそうだった。
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私はそっと彼の手に自分の手を重ねる。
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「はい」
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アルフレッドは何度もお腹を撫でる。
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そして。
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小さく笑った。
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「楽しみだ」
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私は目を瞬く。
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アルフレッドがこんな風に笑うのは珍しい。
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「早く会いたい」
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その言葉に胸が温かくなる。
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「男の子でも」
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「女の子でもいい」
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アルフレッドは優しくお腹を撫でた。
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「元気な子ならそれでいい」
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私は思わず微笑む。
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「はい」
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◇
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そして。
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知らせはあっという間に広がった。
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「本当なの!?」
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王妃様だった。
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目が潤んでいる。
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「本当に?」
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「はい」
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私が答える。
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すると。
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王妃様は両手で口元を押さえた。
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「おばあちゃんになるのね……!」
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ぽろぽろと涙がこぼれる。
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「母上」
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「だって嬉しいんだもの!」
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王妃様は泣きながら笑った。
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◇
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「義姉上!」
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今度はルシアンだった。
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後ろにはセシリアもいる。
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「おめでとうございます!」
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セシリアが嬉しそうに言う。
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「ありがとうございます」
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私も笑った。
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「義姉上が母親かぁ」
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ルシアンが感慨深そうに言う。
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「何ですかその顔は」
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「いや」
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ルシアンは笑った。
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「絶対いいお母さんになるなって」
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セシリアも大きく頷く。
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「私もそう思います」
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思わず照れてしまった。
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◇
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国王も静かにやって来た。
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そして。
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私のお腹へ目を向ける。
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「そうか」
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短い言葉。
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だが。
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その表情は優しかった。
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「おめでとう」
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「ありがとうございます」
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国王はゆっくり頷いた。
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その横で。
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王妃様はまだ泣いている。
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「可愛いわぁ……」
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「まだ生まれてません」
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ルシアンが言った。
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「分かってるわよ!」
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王妃様は元気だった。
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皆が笑う。
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温かな笑い声が部屋に響いた。
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私はそっとお腹へ手を添える。
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たくさんの人に愛されている。
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この子はきっと幸せだ。
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そう思うと。
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胸がいっぱいになった。
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窓の外では柔らかな春風が吹いていた。
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新しい幸せが。
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静かに始まろうとしていた。




