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悪役令嬢ですが、王宮厨房から王太子妃になりました  作者: 星乃茶々


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155/160

第155話 悪役令嬢、妹の婚約をお祝いします


翌日。


王宮の厨房は朝から賑やかだった。


「アメリア様!」


見習いが駆け寄ってくる。


「本当ですか!?」


「何がですか?」


「ルシアン様とセシリア様です!」


あっという間に広まっていた。


私は思わず笑う。


「本当ですよ」


「きゃあああ!」


歓声が上がる。


厨房中が拍手に包まれた。


「おめでたいです!」


「良かったですね!」


皆、自分のことのように喜んでいる。


私も嬉しかった。


大切な妹と。


大切な義弟。


二人とも幸せそうだったから。


「今日は特別なお祝いを作りましょう」


私がそう言うと。


厨房がさらに盛り上がった。


「賛成!」


「作りましょう!」


料理長まで笑っている。


「腕の見せ所ですね」


その時だった。


「お姉様」


振り向く。


セシリアだった。


少し照れたような顔。


でも。


とても幸せそうだった。


「おめでとう」


私は微笑む。


「ありがとうございます」


セシリアも笑った。


そして。


「何かお手伝いさせてください」


「今日は主役ですよ?」


「でも」


少し困ったように笑う。


「じっとしていられませんの」


分かる気がした。


私も昔そうだった。


「では一緒に作りましょうか」


セシリアの顔が明るくなる。


「はい!」


その時。


「義姉上」


また声がした。


今度はルシアンだった。


「何ですか?」


「セシリア見なかった?」


目の前にいる。


「いますよ」


「いた」


ルシアンがほっとした顔をする。


セシリアの頬が赤くなった。


見習いたちがこそこそ話し始める。


「見ました?」


「見ました」


「探してたんですね」


「探してましたね」


二人ともニヤニヤしている。


「違うから!」


ルシアンが慌てる。


「違いませんわ」


セシリアが小さく笑った。


ルシアンが固まる。


厨房が爆笑した。


その時。


「きゃああああ!」


聞き覚えのある声。


王妃様だった。


「仲良し!」


「母上!?」


「婚約って素晴らしいわ!」


王妃様は今日も絶好調だった。


厨房中に笑い声が広がる。


そして。


数時間後。


「完成しました!」


アメリアが最後の飾りを置く。


厨房から歓声が上がった。


婚約祝いの特製ケーキ。


ふんわりとした白いクリーム。


淡いピンク色の花を模した飾り。


真っ赤ないちご。


可愛らしくて優しい雰囲気は、


どこかセシリアを思わせた。


「綺麗……」


セシリアが思わず呟く。


「お姉様……」


その瞳が少し潤んでいた。


アメリアは優しく微笑む。


「おめでとう」


「ありがとうございます」


セシリアも嬉しそうに笑った。


そして。


お祝いのお茶会が始まる。


王妃様。


国王。


アルフレッド。


ルシアン。


エレノア。


皆が揃っていた。


「いただきます」


最初の一口。


セシリアが目を見開く。


「美味しい……!」


嬉しそうな笑顔。


アメリアもほっとする。


すると。


「義姉上」


ルシアンが真面目な顔で言った。


「おかわりある?」


早い。


まだ食べ終わっていない。


セシリアが吹き出した。


王妃様も笑う。


「ルシアンらしいわね」


「だって美味しいし」


開き直った。


その時。


「兄上は?」


ルシアンが聞く。


アルフレッドは静かにケーキを食べていた。


「美味い」


短い一言。


だが。


アメリアには十分だった。


自然と笑顔になる。


「良かったです」


王妃様が嬉しそうに言う。


「本当に幸せね」


国王も静かに頷いた。


「そうだな」


温かな笑い声が広がる。


私はその光景を見ながら微笑んだ。


大切な妹。


大切な義弟。


そして。


大切な家族。


これから先も。


こんな時間が続いてほしい。


そう願いながら。


私はそっと紅茶へ口を付けたのだった。


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