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悪役令嬢ですが、王宮厨房から王太子妃になりました  作者: 星乃茶々


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153/160

第153話 悪役令嬢、王妃様にからかわれます

ローゼリア家から戻った翌朝。


私は朝食会場へ向かっていた。


---


「おはようございます」


---


席へ着く。


すると。


---


「アメリアさん♪」


---


王妃様だった。


---


嫌な予感がする。


---


「はい?」


---


王妃様は楽しそうに微笑んでいる。


---


「実家はいかがでした?」


---


「とても楽しかったです」


---


「そう」


---


王妃様は満足そうに頷いた。


---


「ご両親もお元気だった?」


---


「はい」


---


思い出すだけで自然と笑みが浮かぶ。


---


その時だった。


---


「それにしても」


---


王妃様がにこりと笑う。


---


「あなたたち、本当に仲が良いわねぇ」


---


私は固まった。


---


「え?」


---


「この前も庭園で見たわ」


---


嫌な予感しかしない。


---


「アメリアさんが躓いたでしょう?」


---


私は思い出した。


---


庭園の小道。


---


少しだけ足を取られた。


---


その瞬間。


---


気付けばアルフレッドに抱きとめられていた。


---


「危ない」


---


低い声。


---


ほんの数秒だった。


---


だが。


---


「素敵だったわぁ」


---


王妃様がうっとりしている。


---


「母上」


---


アルフレッドがため息をつく。


---


「だって本当だもの」


---


「抱きとめて、そのまま離したくなさそうだったわ」


---


「違います!」


---


思わず声が出た。


---


ルシアンが吹き出す。


---


「兄上そんなことしてたの!?」


---


「黙れ」


---


「図星だ!」


---


全然黙らない。


---


国王は静かに紅茶を飲んでいた。


---


「アルフレッドは昔からああだ」


---


全員が国王を見る。


---


「子供の頃から、気に入ったものはいつも大事そうにしていたな」


---


ルシアンが吹き出す。


---


「兄上らしい」


---


「剣もそうだった」


---


国王が静かに続ける。


---


「毎日手入れをしていたな」


---


「それも兄上らしい」


---


王妃様がくすくす笑う。


---


「大切なものを大事にするのは昔からなのね」


---


「そうだな」


---


国王は静かに頷いた。


---


その時。


---


「兄上さ」


---


ルシアンがにやりと笑う。


---


嫌な予感しかしない。


---


「義姉上に目がないんだから」


---


静寂。


---


私は固まった。


---


王妃様が吹き出す。


---


「まあ!」


---


「ルシアン」


---


低い声。


---


「はい」


---


だが全く反省していない。


---


むしろ楽しそうだった。


---


「だって本当じゃん」


---


ルシアンは肩を竦める。


---


「義姉上が転びそうになったら飛んでいくし」


---


「体調崩したら真っ先に気付くし」


---


「褒められたら自分のことみたいに嬉しそうだし」


---


そして。


---


にやりと笑う。


---


「見てられないね」


---


王妃様が肩を震わせる。


---


「確かに」


---


「母上まで!?」


---


私は思わず声を上げた。


---


アルフレッドは小さくため息をつく。


---


そして。


---


「妻だからな」


---


一瞬。


---


空気が止まった。


---


王妃様。


---


歓喜。


---


「きゃああああ!」


---


ルシアン。


---


机に突っ伏す。


---


「ほら出た!」


---


私はもう限界だった。


---


恥ずかしすぎる。


---


本当に。


---


朝から何をしているのだろう。


---


その横で。


---


アルフレッドだけが平然としていた。


---


「事実だろう」


---


それが一番困るのです。


---


どうにか朝食を終えた私は、逃げるように厨房へ向かった。


---


「おはようございます」


---


いつものように挨拶する。


---


すると。


---


見習いの女の子が、こっそり近付いてきた。


---


「アメリア様」


---


「はい?」


---


「朝食会で何かありました?」


---


私は固まった。


---


「なぜですか?」


---


「顔が真っ赤です」


---


早い。


---


料理長まで振り返る。


---


「本当だな」


---


「熱でもあるのか?」


---


「違います!」


---


即答した。


---


すると。


---


「殿下ですか?」


---


見習いの女の子が首を傾げる。


---


「違います!」


---


「その言い方は絶対そうです」


---


周囲が笑い始めた。


---


私は思わず顔を覆う。


---


その時だった。


---


「何の話だ」


---


低い声。


---


アルフレッドだった。


---


私は思わず振り返る。


---


「殿下!」


---


見習いの女の子が嬉しそうに言う。


---


「アメリア様が朝から真っ赤なんです」


---


「そうか」


---


アルフレッドが私を見る。


---


「大丈夫か」


---


「誰のせいですか!」


---


即答だった。


---


厨房に笑いが広がる。


---


料理長まで吹き出した。


---


「殿下」


---


「何だ」


---


「心当たりは?」


---


数秒。


---


「あるな」


---


認めた。


---


認めた!?


---


「やっぱり!」


---


「仲良しですね」


---


見習いたちが笑う。


---


その時だった。


---


見習いの女の子が、ぽつりと呟く。


---


「いいなぁ……」


---


「え?」


---


思わず聞き返す。


---


すると。


---


「とても大切にされていて羨ましいです」


---


少し照れながら笑った。


---


「私にも、いつかそういう人が現れないかなぁって」


---


私は思わず微笑んだ。


---


「きっと現れますよ」


---


見習いの女の子の顔がぱっと明るくなる。


---


「本当ですか?」


---


「ええ」


---


「アメリア様が言うなら頑張れそうです!」


---


料理長が笑う。


---


「まずは仕事を頑張れ」


---


「はーい!」


---


厨房に笑い声が広がった。


---


その横で。


---


アルフレッドだけが不思議そうだった。


---


「何がおかしい」


---


料理長が肩を竦める。


---


「殿下」


---


「何だ」


---


「奥様が羨ましがられてますよ」


---


数秒。


---


アルフレッドはアメリアを見た。


---


そして。


---


「そうか」


---


それだけだった。


---


だが。


---


どこか少し嬉しそうだった。


---


私はますます顔が熱くなる。


---


見習いの女の子が小さく笑った。


---


「やっぱり仲良しですね」


---


私は何も言えなかった。


---


こうして悪役令嬢は――


今日もまた、優しい夫と穏やかな仲間たちに囲まれて過ごすのだった。

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