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喪喪太郎  作者: 茨城真珠
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喪喪太郎 第二話

喪喪太郎 第二話

三日の後、喪喪太郎は一人ではなかった。犬と猿と雉を携え、悠々と森を歩いていた。

「一度休憩する。お前らは何か食えそうなものを採ってこい」喪喪太郎はそう言うと、木陰にドッと腰掛け、いささかの躊躇もなく眠り始めた。

 三匹は喪喪太郎から離れると、談笑を始めた。

「第一さぁ、喪喪太郎の奴、あいつイカれてんだよ。俺の名前"迅雷月光狼"だぜ?無理あるだろ!呼び辛えしさ!まず、俺柴犬じゃん!」そう言うと、月光狼はため息をついた。

「でも、柴犬って遺伝子的には狼に近いんだろ?それに比べて俺なんて"鳳雛飛影"だぜ?俺、どうせならリエゾン・F・サンダーバードとかの方がよかったよ....」そう言うと、飛影はため息をついた。

「いや、サンダーバードって若干俺の名前と被ってんじゃん...」月光狼は鼻で笑った。「てかそもそもFってなんだよ」

「フェニックスのFに決まってんだろ!馬鹿かお前?」

「馬鹿はお前だ。フェニックスならPだろ」

「F××K」飛影の言葉は何かにかき消されたかのように、はっきりと聞こえなかった。

「まあまあ」秀吉は飛影と月光狼をなだめた。「皆さんはまだマシっすよ...。僕なんて"霊長秀吉"っすよ?なんかもっとこう、斉天大聖とかの方がよかったのに、僕三匹目だったし....」そう言うと秀吉はため息をついて続けた。「それに、僕らのスカウトの仕方も、あれダメっすよね?」

 月光狼も秀吉の言葉に同調する。「そうだよ!仮にだぜ?『お腰につけたきび団子、1つ私にくださいな』ってこっちから言うなら分かるぜ?けど俺らが腹空かせてるタイミング見計らって道に置いてあるの食わせやがった!」

 月光狼の語調が荒くなるのに従って、飛影もまた、声を荒げた。「しかもあの団子、ぜってぇやべえモン入ってるよ!俺あの団子食った時、視界がカラフルになってさ、一瞬、自分が孔雀であること疑わなかったたもん!」

「索子の1になっちゃったっつってな」月光狼は高笑いした。

「うるせえよ。」

「でも、あれ、美味かったよな.....」三匹の声は必然か偶然か、揃った。

「ああぁぁぁぁぁ」秀吉は指を咥えながら、小刻みに身体を揺らし出した。「団子ぉ...!団子ぉ!」そして目を血走らせ、涎をボタボタと垂らしながら発狂した。

「落ち着け!秀吉ッ!」飛影は叫んだ。

「大体よぉ!あいつ、イラつくんだよ!俺らがミスした時に、自分の言葉足らずを棚に上げてー」秀吉はピタリと発狂するのを止めるとキョトンとした顔で、喪喪太郎の声を真似た。「はぁ、お前らには俺の言葉の"機微"が分からないか....」そう言い終えると再び発狂し、「とか言いやがるんだ!」と吠えた。

「落ち着けって、霊長!」月光狼は必死になだめる。

「落ち着けるか!あいつ、その時な....」月光狼と飛影はゴクリと唾を飲み込む。「お腰につけた、きび団子撫でてやがった...」秀吉がそう言うと、「あぁ....」と言って月光狼と飛影は顔を歪めた。

 ヒューと風が木々の間を通り抜け、どこかで鹿の鳴く声が聞こえた。

「てか、そろそろ飯探さねぇとやべーよ」月光狼が言うと、飛影は「だな」と言って、三匹は食料を探しに動いた。

 かくして各々が食料を集めると、喪喪太郎の元へと戻った。

 喪喪太郎は地面にドカっとあぐらをかきながら、脚を小刻みに揺らしていた。「てかさー、お前らさ馬鹿なの?犬と雉はさ、手が使えないんだからさ、秀吉に持たせりゃいいじゃん」そう言って、一度大きくため息をついた「俺、鍋パーティーとかも取り箸欲しい派なんだけど?普通そこまで考えない?なんかそういうところ察する機微がないよね、機微が」そして、喪喪太郎は腰の袋を撫でた。

 月光狼は足に噛みつき、飛影は眼をつつき、秀吉は顔を引っ掻きたくなる気持ちを諌めた。

「てかさ、山菜ってのもさ、イケてないよね。肉は?肉、最低でも魚でしょ?何?え、怖いんだけど。俺だったら絶対そのへん持って帰るけどね?へー、お前らって思考停止タイプ?どうなの月光狼?あんま俺の"お手"を煩わせんなよ」

「いや、そうっすねー。でも山菜も結構栄養あるんで....」

「肉からしか得られない栄養もあるだろって言ってんだよ。そのへんを察する"機微"がないよな。機微...が....」

「でも....あれだな!最悪、雉食っちまえばいいのか!肉団子にしてよ、雉団子だよ、雉団子!」喪喪太郎は声を大にして笑った。次の瞬間、はたと真顔に戻り「おい雉てめぇ、チッ、ちゃんと返せよ!チッ、俺が滑ったみたいになってんだろうがよ!?チッチッ、あん?本当に雉団子にしてやろうか?お前の代わりの鳥なんていくらでもいるんだぞ?チッ」喪喪太郎は舌打ちを随所に織り交ぜながら飛影に詰問した。

「や、やだなぁ、喪喪太郎さん!焼き鳥で頼みますよー。最後は焼き鳥になれって遺言があるんすよー」

「チッ、あん...?なんだそれ?」

「もう、喪喪太郎さんっ!焼き鳥だけに塩対応じゃないですか!」

「チッ、んあ?」

「あっ、今の発言"トリ"ミングでお願いします」

「チッ、んあ.......?ヘッ!鳥とトリミングかよ。たまには悪くねぇ返しすんじゃねぇか」

「喪喪太郎さんのパスありきですよぉー」

「ヘッ!さっさと肉か魚取って来いよ!」

 三匹は勢いよく返事をすると、再び食料を探しに出かけて行った。

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