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2章3節

 服屋はロカのオススメの店に行くことになった。

 なんでも最近、若い女性を中心に人気を集めているらしい。

 しばらく歩くと店が見えてきた。

 店は通りに面しており、煌びやかな服が飾られているのが見える。

 店内は大きな窓から陽光が差して明るく、微かに香の匂いがした。


(わぁ……! 服がいっぱいある。それに良い匂いがする……)

「どれにしようかなぁ〜」

「アカネさんがよければ、わたしたちが選んでも良いですか?」

「良いんですか!? お願いします!」


 ロカの提案に緋音は快く了承した。

 ロカとエリカが店内にある服を見る。


「やっぱり、アカネといえば赤色か?」

「そうですね。あっ! これはどうですか?」

「じゃあ、これと合わせて……後は……」



 ◇◇◇◇



 服を選び終わった2人が、店内を歩き見ていた緋音に声をかける。


「アカネさん、試着してみてください!」


 試着室に入り、2人が選んだ服に着替える。

 緋音は鏡に映る自分を見た。


 トップスには白色のフリルブラウス。

 裾に赤色の刺繍が施された、黒色のミニスカート。腰のベルトには、小さな四角のポーチが付いている。

 足元は黒色のニーハイソックスとショートブーツですっきりと纏められている。

 その上からは、黒色から赤色へ変わっているマントを羽織り、足首まで覆われている。


(着やすくて動きやすいのに、めっちゃ可愛い……! 2人ともセンス良いなぁ……)


 マントの端をつまんで広げながら、鏡の前でくるりと回った。


(ブーツなんてあんまり履いたこと無かったけど、ローヒールだから歩きやすい)

「着替えられましたか?」


 外からロカが声をかけた。

 緋音はカーテンを開けて、2人に姿を見せる。


「どうですか?」

「すごく似合ってます!」

「ありがとうございます!」


 素直に褒められ、緋音は照れたように笑う。

 そういえば、と続ける。


「このポーチって何ですか?」

魔法の鞄(マジック・バッグ)です」

「ポーチ型だったらベルトに付けれて、両手が空いて良いかなって思ったんだ」


 ただ緋音に似合う服を選ぶだけでなく、実用的な所まで考えてくれたのが緋音には嬉しかった。


「あぁそうだ。この店は冒険者カードを見せたら、安くしてくれるんだ」

「冒険者割りですね」


 緋音は銀貨2枚を払い、店を出る。

 制服と杖は魔法の鞄(マジック・バッグ)にしまった。



 ◇◇◇◇



「アカネってこの後、予定あるか?」

「いえ、ありません」

「それなら、ギルドで一緒にご飯でもどうだ?」

「ギルドで……?」

「ギルドの食堂は安くて美味しいのです」


 緋音はギルドの食堂で食べられていた料理を思い出す。


「行きましょう!」


 昼もだいぶ過ぎていたこともあり、緋音は頷いた。



 3人はギルドへと戻って来た。

 食堂には、すでに戻っていたらしいケイとレニアがいた。


「よぉ、アカネも一緒か」


 緋音たちは同じテーブルの開いているイスに座る。


「これ、好きに食べていいよ」


 レニアに言われ、テーブルの上にある料理を見る。

 肉と野菜がゴロゴロと入ったシチュー。

 焼き目の付いた大きなソーセージ。

 肉がぎっしりと詰まったミートパイ。

 そして、5、6個の空のジョッキ。


「まだ全然飲んでないのか」

「俺たちもさっき来たばっかりだからな。このパイ美味いぞ」


 ケイがそう言いながら、ミートパイを取り分ける。

 緋音は渡された皿を受け取り、一口食べる。


「――! 美味しい!!」


 パイはサクサクとしており、スパイスの効いた肉が口の中に広がる。

 ソーセージのパリッとした皮を噛むと肉汁が溢れ出る。

 しっかりと煮込まれた肉と野菜は柔らかく、優しい味が体を温めてくれる。


「お口に合って良かったです」

「酒も美味いぞ!」

「もう2杯も飲んだんですか? エリカったら飲み過ぎですよ」


 そう言うロカも既に3杯ほど飲んでいる。


「そうだ、アカネ。2階は図書室になってるから、時間ある時に行ってみな」

「冒険者についてや地図もありますから、一度読んでおいたほうが良いですよ」

「そうなんですか。明日にでも行ってみます!」



 ◇◇◇◇



 ベルキアと共にギルドを出ると、もう日は傾き辺りは薄暗くなっていた。


「アカネ、この宿だ」


 エリカがギルドの隣の建物を指さしながら言った。

 この宿は一泊食事付きで銀貨1枚と、破格の安さであることから新人冒険者ご用達だと言う。


「皆さんもここに泊まるんですか?」

「いえ、わたしたちは少し離れたところの宿に泊まります」

「あたしらも前までは泊まってたんだが、新人に譲れって追い出されちまった」


 宿の前で緋音はベルキアと別れる。


「困ったことがあったら、いつでも頼ってくれ!」

「女神カトレア様のご加護があらんことを」

お読みいただきありがとうございます。

次回更新は4月25日(土)です。

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― 新着の感想 ―
異世界の日常が描かれていて素敵ですね! 地に足着いた物語で安心して読めます。
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