表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

2章2節

 椅子に座りスケッチをしているマリーにエリカが声をかける。


「マリーちゃん。オレットさん呼んで来てくれるか」

「分かりました」


 しばらくすると、マリーがオレットを連れて店の中に戻って来た。


「決まったか?」

「大きさと色は決まった」

「マリーとデザイン考えとけ。それが終わったらもう一回呼べ」


 それだけ言うと、また裏へと行った。


「では、デザインを考えましょうか」


 マリーがそう言いながら、紙を広げる。


「まずは大まかなデザインから考えましょう。いくつか描くので、気になったのがあったら教えてください」


 マリーが数種類のデザイン案を描く。

 本体が直線のもの、曲線のもの。石が本体の内側にあるもの、外側にあるもの。

 緋音は、本体上部が曲線になっているデザインを指さしながら言う。


「あっ! この上の部分が丸いのが良いです!」

「このデザインでもう少し描いてみましょう」



 ◇◇◇◇



「では、このデザインで決定ということで良いですね?」

「はい!」

「お父さん呼んできますね」


 マリーに呼ばれたオレットが、赤色の丸い石がいくつか入った箱を持って店の中に来た。


「どの赤色にする」

「同じ赤色でもたくさん種類があるんです」


 オレットの言葉にマリーが説明を加えた。

 緋音は箱の中の石を見る。

 濃い赤色、薄い赤色。鮮やかな赤色、くすんだ赤色。澄んだ赤色、濁った赤色。


「これ……」


 その中でも特に緋音の目を引く石があった。

 それは鮮やかな赤色をした、だが、中心に向かうにつれてオレンジ色へと変わっている――まるで炎を閉じ込めたような石だった。


「お前、良い目をしてるな。こいつはこの中でもとびっきり魔力との親和性が高いんだ」


 オレットが石と一緒に持ってきた木を台に置く。


「石の次は本体だ。どれにする」

「――私の直感がこれだって言ってます!」

「そうか。削ってくるから待っとけ」


 オレットは緋音の選んだ石と木と、マリーの描いたデザイン画を持って裏へと行った。



 ◇◇◇◇



 オレットを待っている間。


「そういえば、エリカさんとロカさんの杖ってどんなのですか? よく見てなかったので……」

「あたしの杖はこれだ」


 エリカが見せてくれた杖は、薄い茶色の本体の上部に黄色の石が付いた、柄の短い真っ直ぐな杖だった。


「透き通った黄色だ……!」

「わたしのは大きい杖です」


 ロカの杖は、()()()()()()()に、桃色と水色の2つの色が混ざった石が上部で絡まるように付いた杖だった。


「これって金属ですか?」

「はい。中は木で出来ていて、周りを金属で覆っているんです」

「こっちの方が丈夫になるんだ」

「そうなんだ……。そういえば今更ですけど、杖って何の為に使うんですか?」


 杖が無くても魔法は使えたけどなぁ、と思いながら緋音は2人に尋ねる。


「杖……というより石が魔法を使う時に魔力制御を補助してくれるんだ」

「石だけのままだと扱いにくいから、杖の形にしてるんです」

「この補助があるだけで、必要な魔力量が半分以下になるんだ。石と相性が良かったら、もっと少なくて良い」

「そんなに重要だったのか……」


 エリカが緋音を見ながら言う。


「そういや、アカネって変わった服着てるよな」

「それ、わたしも気になってました」


 2人に言われ、緋音は自分の服を見る。

 白色のブラウスに紺色のブレザーとチェック柄スカート、少し緩めのネクタイ――どこの高校でも着られているような制服だ。

 ただし異世界でなければ、だが。


「この服は私が前に住んでいた所の服なんです。でも、ここだと変ですよね」

「後で服屋でも行くか?」

「行きたいです!」



 ◇◇◇◇



 話しながら待っている間に削り終えたらしいオレットが店の中に入って来た。


「これでどうだ」

「凄い! イメージ通りだ!」


 石を付けてくる、と言ったオレットは裏へ行き、しばらくすると戻って来た。


「杖に魔力流してみな」

(魔力を流す……こう……?)


 緋音の魔力が流れた杖が一瞬光った。その光は石へと集まっていく。

 光を内包した石は本物の炎のような煌めきを放っている。


「……こいつ、親和性が高すぎる」


 オレットが誰にも聞こえない小さな声で呟いた。

 緋音は完成したばかりの杖を見る。


「これが私の杖……!」


 全体的に細身の濃い茶色の杖。花の模様が彫られた長い柄。その上部には三日月型の飾りがあり、その内側に固定された炎の石。


「大事にしろよ」

「はい!」



「そういえば、杖のお金っていくらですか?」

(払えなかったらどうしよう……)

「そうだなぁ、銀貨5枚……いや、1枚だ」

「流石の私でも冗談だって分かりますよ?」

「アカネさん、本当です」


 マリーが言った。それはもう真剣に。

 だから、緋音はつい頷いてしまった。


「はい、分かりました」


 緋音は銀貨1枚を払い、店を出る。


「これからも『ラナン装備』をご贔屓に!」


 マリーがそう言いながら礼をする。

 緋音は杖を片手に、手を振って応えた。

お読みいただきありがとうございます。

次回更新は4月18日(土)です。

よろしければ、ブクマと評価お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
何か値下げしてもらったみたいですね…?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ