3章2節
テントに戻り、緋音は昨日のコリウスの話について尋ねた。
「コルのところにベクル先生いた?」
「いたよ!」
「どうだった?」
そして、コリウスは今日のことを話し始めた。
◇◇◇◇
コリウスは緋音と別れた後、ベクルに連れられて10人ほどと一緒に別の広場へと行った。
「早速だが、全員の実力を見させてもらう。あの人形に向かって、攻撃してくれ」
剣士たちはそれぞれの愛剣を手に、順に人形へ攻撃する。
コリウスの番がやって来た。
彼女も愛用の短剣を持って、人形に走り寄る。
下段からの斬り上げ。そのままの勢いで、上から首元を目掛けて振り下ろした。
刃が当たった首に瞬間、人形に付いた魔石が赤く光った。
それを見てコリウスは動きを止めて下がり、次の人と交代した。
全員分が終わると、ベクルが前に出て話し始めた。
「見たところ、まだスピードが出し切れてなかったり、姿勢が崩れていたりしてる。まずは、速く、長く走れるように、走り込みするぞ」
ベクルは数十メートルの距離を開けて置かれている旗を指す。
「ここからあそこの旗まで走れ。目安としては、この人形に追い付かれないことだ。ちなみにだが、徐々に速くなるからな。始めっ!」
ベクルの掛け声とともに、全員が一斉に走り出した。その後ろを音もなく人形が追いかける。
向こうの旗まで行くと、折り返してまた走る。
それを何周か繰り返していると、だんだんと人形に追い付かれる人が出てきた。
「越された!?」
コリウスも人形に追い付かれた。
前方ではまだ数人走っていたが、もう何周かすると全員が人形に抜かされた。
「休憩したら、もう一回だ」
座っているコリウスの横に、1人が来た。学院の制服を着ているが、知らない生徒だ。
「先輩から聞いてたけど、こんなにもキツイんだな。流石は、地獄の3日目」
「それ、ボクも聞いた!」
「え、何!? 『地獄の3日目』って」
反対側から声をかけられた。
どうやら、冒険者たちには広まってないようだ。
「合宿の5日間の内、この職業別の3日目が1番大変だから、そう言われてるんだよ」
「なるほど〜」
「2回目するぞ〜!」
ベクルが言うとすぐに全員が立ち上がり、彼のもとへ行った。
その後は何回かして、午前は終わった。
午後はひたすらに素振りをした。
姿勢が崩れると、いちからやり直し。
「走るよりキツイ……」
「腕が千切れるかと思った……」
最後にもう一度、人形へと攻撃を加えた。
コリウスも始めと同じようにしたが、少しだけ速く人形へと到達し、正確に首元を狙えた。
全員分が終わると、ベクルは前に出た。
「今日の演習は終わりだ。良く頑張った」
◇◇◇◇
「大変そう……」
「うん、めっちゃ疲れた」
「そういえば、『地獄の3日目』って、昼の休憩中に私も聞いたよ」
「魔法使いの方も大変だった?」
「う〜ん……そんなに大変じゃなかったかな? むしろ楽しかった!」
「アカネは楽しめる方だった……」
その後も少し話し、テントに入った2人はすぐに眠りについた。
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次回更新は9月12日(土)です。
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