3章1節
―お知らせ―
「外伝・朱炎のアカネ 〜氷星〜」を連載を開始しました。
シリーズ名「ガーデニア」か、作者マイページの作品一覧から読めます。
合宿3日目の朝。
緋音はコリウスに起こされ、昨日と同じ場所に行った。だが、コリウスの言う絶景は見れなかった。
朝食を食べ終わり広場に行くと、昨日と同じくベクルが台に乗った。
「今日はペアじゃなくて、同じ職業の者同士での演習をする」
コリウスが昨夜言っていた通りだった。
緋音はコリウスと別れると、エイラに別の広場へと連れられた。
一緒に来たのは10人ほどで、冒険者と学院生徒が半分ずつくらいいる。
「おはようございます、わたしは王立学院教師のエイラです。では早速ですが、皆さんの一番得意な魔法を見せてください」
1列に並び、順に魔法を見せていく。
そのほとんどは攻撃系で、少し離れたところに置かれた木製の人型人形に向かって放っている。
水球、雷球、風刃、土壁。抵抗、独創魔法。多彩な魔法が繰り広げられる。
緋音の番がやって来た。杖を構えて、詠唱。
「火球」
人形の上に魔法陣が展開され、そこから火球が現れた。
それは、結界が張られた人形を頭から焦がしながら、落ちてくる。
そして、全身を炭に変えた人形はその場にどさりと崩れ、火球も消えた。
そのことに、周りがざわついた。あの魔法具の人形は壊れるものなのか、と。
「えーと、その……恐らく結界が緩んでいたのでしょう」
エイラが苦し紛れにフォローした。
その言葉に、緋音も全力で頷く。
魔法の鞄から新しい人形を取り出して、エイラが言った。
「それでは気を取り直して、続けましょう」
緋音の後ろに並んでいた魔法使いたちが魔法を放つ。だが、結界が張られた人形が壊れることはもちろんなかった。
◇◇◇◇
全員分の得意魔法を見終えたエイラは人形をしまい、前に立つ。
「見たところ、余分な魔力消費が多いです。まだまだ削れますね。次は、できるだけ少ない魔力で魔法を使ってみましょう」
言いながら、人数分の的を等間隔に置いていく。
「それぞれの得意魔法を……攻撃系は魔力消費量1から順に上げていって、的を壊してください。防御系も同じように消費量を1から上げていって、的を守ってください。的にはEランク魔物相当の攻撃が加わるようになっています」
それぞれ的から数メートル離れたところに立ち、ステータス画面を開いて、杖を構える。
(たしか前に見たときの火球1発の消費量は3だったから……)
「火球」
緋音がそう詠唱すると、小さな火球が的の上に現れ、上部をわずかに黒く焦がして消えた。
次は、魔力量は変えずに少し大きくした火球を放った。
大きさの分だけ焦げた範囲は広がったが、茶色く焦げるにとどまった。
(同じ魔力量だったら、小さいほうが強くて、大きいほうが弱い、と)
続けて、魔力量2の的と同じ大きさの火球を放つと、的を半分ほど燃やして消えた。
「上手ですね、アカネさん」
「エイラ先生!」
いつの間にか近くに来ていたエイラに、声をかけられた。
「今の消費量はどれくらいですか?」
「2です!」
「そ、そうですか……10以下になれば良いと思っていたのですが……。では、少し的の強度を上げてみましょう」
途中に小声で言った言葉は、緋音には聞こえなかった。
エイラが自身の腕輪に触れると、腕輪と的に付いている魔石が淡く光った。
「その調子で頑張ってくださいね」
「はい!」
エイラは緋音の元を離れ、隣の学院生徒のところへ行った。
◇◇◇◇
それからエイラが何度か来て、緋音の的はさらに強度が上がっていた。
それでも、壊すための魔力量は3を超えることはなかった。
「皆さん、今日の演習は終了です。こちらに集まってください」
日が傾き始めた頃、エイラに呼びかけられ、始めの広場へと戻った。
「アカネ!」
緋音を見つけたコリウスが名前を呼びながら、駆け寄って来た。
ちょうどベクルも台に乗って、話し始めた。
「全員集まったみたいだな。明日からはまたペアで演習だ。以上、解散」
そう言うとベクルは台を下り、緋音とコリウスもテントへと戻った。
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次回更新は9月5日(土)です。
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