2章3節
―お知らせ―
「外伝・朱炎のアカネ 〜氷星〜」を連載を開始しました。
シリーズ名「ガーデニア」か、作者マイページの作品一覧から読めます。
緋音はテントに戻ると、昨日と同じようにコリウスと夕食の準備をした。
火にかけた鍋のシチューを混ぜながら、コリウスが緋音に話しかける。
「アカネ。明日はペアじゃなくて、同じ職業同士で演習をするらしいよ」
「そうなの!?」
緋音は合宿中はずっとペアでいるものだと思っていた。
「うん。エイラ先生は魔法使いだから、色んなこと教えてもらえるよ。ボクはベクル先生に教えてもらいたいなぁ」
「ベクル先生は剣士なの?」
「そうだよ。元A+ランク冒険者『雷翔のベクル』って聞いたことない?」
「……聞いたことない」
緋音は首を横に振った。
「そっか。でも、ベクル先生が冒険者だったのって何年も前だから、知らなくてもしょうがないか。……アカネ、シチューできたよ!」
コリウスがシチューを器に入れて緋音に渡し、それに礼を言って受け取る。
「ベクル先生って、どんな冒険者だったの?」
「ボクも実際に見たわけじゃなくて、聞いた話なんだけど……」
コリウスはそう前置きしてから、話し始めた。
「まず、ベクル先生の異名『雷翔』の由来は、剣に雷を纏わせて高速で翔けるから、だって。ちなみに、先生の剣は雷属性の魔石が付いた剣らしいよ」
「魔石が付いた剣……」
「そう、ダンジョンで出てきたらしいよ。それを使うまでの動きも速かったけど、魔石付きの剣を使ったら、もっと速くなったんだって」
「魔石でそんなに変わるものなの?」
魔石付きの武器は凄い、ということは聞いたが、普通の武器とどれほど違うのか緋音にはあまり分からなかった。
「めっちゃ変わるよ! 例えばベクル先生の剣だったら、ただ斬るだけじゃなくて魔石の効果を、雷の衝撃を与えられるんだよ。だから、少しだったら離れた場所からでも攻撃できるんだよ」
「……遠距離攻撃ができる近接戦闘……」
ふと、そんな矛盾した言葉が出てきた。
「うまいこと言うねぇ。ボクも魔石付きの武器を使ってみたいなぁ……」
「持ってないの? コルなら、自分で作りそうなのに」
「ボクにはまだそんな技術がないからね。でも、いつかは作りたいなぁ」
「ねぇ、コル」
緋音は魔法の鞄からそれを取り出して、コリウスに見せた。
「魔石付きの武器。私、持ってるよ」
「これは、火属性の短剣!? どうしたの、これ!?」
「前にストリのダンジョンから出てきたんだよ」
「良いなぁ……」
「持ってみる?」
「良いの!? ……やっぱり、ダメ!」
コリウスは短剣に伸ばしかけた手を引っ込め、自分に言い聞かせるように首を横に振った。
「アカネ。魔石付きの武器は貴重なんだよ? あんまり人においそれと見せないほうが良いよ」
「そうなんだ……。分かった」
緋音はコリウスの言葉に素直に頷き、短剣を魔法の鞄にしまった。
食事の終わった2人は食器を片付け、明日に備えて早めに眠りについた。
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次回更新は8月29日(土)です。
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