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2章1節

―お知らせ―

「外伝・朱炎のアカネ 〜氷星〜」を連載を開始しました。

シリーズ名「ガーデニア」か、作者マイページの作品一覧から読めます。

 翌朝。

 緋音は日が昇るころに、コリウスに起こされた。

 寝ているテントは魔法具らしく、何も敷かなくても寝心地が良かった。


「おはよう、アカネ」

「……おはよう……コル……」

「おっと、寝ないでね。アカネは朝が弱いのかな?」


 緋音はコリウスに手を引かれテントの外に出て、大きく伸びをした。

 早朝の少し低い外気にさらされ、眠気も吹き飛ぶ。


「こんな朝早くにどうしたの?」

「絶景、見に行かない?」

「絶景……!」

「そう! ……でも、期待させて悪いけど、絶対に見れるとは限らないからね」


 木々の間から微かな陽光が降り注ぐ森を、緋音はコリウスの隣を歩く。

 それからしばらく進むと、開けた小高い丘に出た。

 眼下では、陽光を照らし返している緑葉が風に揺れている。

 見上げると、どこまでも澄んだ青空が広がっている。


「今日は見れないねぇ……」


 コリウスはそう言うが、緋音には十分絶景に思えた。


「これが絶景じゃないの……?」

「たしかにこの景色も綺麗だけど、見せたい景色はもっと凄いんだよ!」

「それじゃあ、明日も見に来よう!」

「そうだね」


 2人は顔を見合わせると、にっこりと笑い合った。



 ◇◇◇◇



 太陽がすっかり昇りきった頃、広場に参加者たちが集まった。

 ベクルが台に乗って、辺りを見渡す。


「おはよう、みんな。それぞれ互いに仲良くなれたみたいだな。さて、今日は模擬戦をやってもらう。自分とは違う戦い方を知ると良い」


 ベクルがそう言って台を下り、王立学院の教師たちが数ペアずつ模擬戦ができる広場へ連れて行く。


「その腕輪を着けている者同士での攻撃は、腕輪により張られた結界に全て吸収されます。勝敗の判定は、腕輪が赤く光った方の負けになります」


 緋音たちを連れて来た女性教師が、腕輪を指しながら説明した。

 それを聞いて、緋音は思った。


(ほんと、魔法具って色々規格外だよね……)

「アカネ、ボクたちも始めようか」


 緋音とコリウスは広場の空いている場所へ移動し、それぞれ杖と短剣を構えて向き合った。


「それじゃあ、行くよ!」

「いつでも良いよ!」


 緋音が先に魔法を放った。


「火球(ファイア・ボール)」


 火球がコリウスの頭上に現れ落ちていくが、それをコリウスは素早く動いて躱した。

 そのままコリウスは身を低くして、緋音に駆け寄ると、短剣を振り上げた。


「抵抗(レジスト)」


 その短剣を弾き返して、緋音は火刃(ファイア・ブレイド)をコリウスへ向けた。

 火刃に切られないように、コリウスは距離を取った。


「火壁(ファイア・ウォール)」


 緋音は先ほどのように距離を詰められないよう、2人の間に幅が広い火壁を展開した。


「やるねぇ、アカネ。でもっ!」


 コリウスは数歩下がってから、助走をつけて勢いよく跳んだ。

 相手の姿がわずかに見える程度の高さの壁だったので、まさか超えて来るとは思わなかった緋音の動きが一瞬止まった。

 その隙をついてコリウスは短剣を振り下ろす。

 それを防ぐ暇もなく、短剣が緋音に当たる――その直前で結界が攻撃を吸収した。


 見ると、緋音の腕輪が赤く光っている。

 短剣は首付近に下ろされたため、結界がなければ致命傷になっていただろう。


「私の負けだね」

「ボクの勝ちだね。それにしても、頭の上に火球が出てきてびっくりしたよ」

「余裕で躱してたのに?」

「いつも魔物相手に戦ってるからね」

「もう一回しよ、コル!」

「良いよ、アカネ」


 再び2人は向かい合って、杖と短剣を構えた。

お読みいただきありがとうございます。

次回更新は8月15日(土)です。

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