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次の目的地は『天都』

 翌日。朝起きて朝食を食べ終えると、俺はリコリスを連れて「ユニスの店」に向かった。ガンホルダーの進捗状況を確認する為にだな。そろそろ出来上がっていると思うが……。

「こんにちは、ユニスさん」

「こんにちは、レオンさんにリコリスさん。ご注文の商品は出来上がっていますよ」

 挨拶もそこそこに、ユニスが一旦店の奥へ向かい、何やら小さな箱を持って戻ってきた。

「こちらになります。ご確認ください」

 ユニスが箱を開けると、そこには真新しいガンホルダーがあった。

 リコリスがそれを手に取り、色々な角度から眺めたり、肌触りなどを確認したりしている。

 確認が終わると、リコリスはガンホルダーを自身の右太ももに装着し、拳銃を収納した。

「……これは、素晴らしいでありますな。感謝いたします。ユニス殿」

 ガンホルダーを装着したまま、少し体を動かしたリコリスは、満足げな笑顔でユニスに礼を述べる。

「いえ、お気に召して頂けたのなら良かったです」

 やはりユニスの仕事は素晴らしいな。聞き馴染みの無い品でも、ほぼ完璧に仕上げるのだから。

 目的の品を手に入れ、俺達は一旦家に戻った。そこで次にやるべき事を思案する。

「北の方は、しばらく動きが無いだろうし、今取り組むべき問題は『天都』関連くらいかな? ダンジョンもつい先日攻略したばかりだし、今すぐに挑む必要も無い……と思う。どうだろうか?」

 家に戻ると、早速家族会議を開催し、今後の予定を詰めていく。俺としては、この『天都』関連も早めに決着をつけたいのだが……。

「そうですね。この先の事を考えるのならば『天都』の問題を解決するのが、正しい選択のように思えます」

 最初に意見を述べたのはアリスだ。

「そうね~、あまりこの件に時間を使う訳にはいかないものね~」

 アリスの意見に追従するように、エリカが口を開いた。ふむ、この二人は今の俺達に「一番大切な物」が分かっているようだな。

「どういうこと?」

 二人の話を聞き、首を傾げながらそう口にしたのはカトレアだった。分からない事は素直に分からない、という姿勢は、非常に好ましいな。

「目下の所、我らの敵はあの『魔導を極めし侵略者(アビス・ディザスター)』の連中だ。そして今、連中の魔の手が世界各地に広がろうとしている。このまま一つの事柄に時間を要してしまうと、連中による被害が世界中に広がる恐れがあるのだ。我らはそれを阻止する為に、素早く敵の基地なり拠点なりを潰さねばならん」

 カトレアの疑問に答えたのはネリネだ。うむ、俺が説明しようと思っていた事は、殆ど言われてしまったな。

「つまりだ、連中の世界征服が早いか、それを防ぐ俺達が早いか……速さと時間が鍵となる。そういう話だという事だな」

 特に「時間」だな。こればかりはどれだけ大金を積んでも買う事が出来んからな。

「それならば、手分けをして急ぎで世界各地に向かうのが宜しい、という事ですの?」

 俺の台詞に反応したのはプリムラだ。そう、彼女の言い分は大体において正しい……が。

「そうしたいのは山々だが、少数で行動中に連中とかち合ったら面倒な事になる。安全面から見ても、その方法を取るわけにはいかないさ」

 急ぐあまり、安全マージンを確保するのを怠るわけにはいかん。その所為で妻が犠牲にでもなったら……想像しただけで吐きそうになるよ。

「だから、世界中の国と国交を持てるように急いでいるって事かい」

「ああ、アルメリアの言う通りだ。我々が世界中を隈なく探索する……それ自体は可能だろう。だが、それを完遂する為には、年単位の時間が必要になってしまう。最低でも五年、長ければ十年以上かかると見ている。そんな悠長に構えている暇は無い」

 その一番時間の掛かる部分を、各国に負担してもらう。おれが俺の狙いだ。世界の危機を救うのだ、各国もこの程度の負担は当然と言えるな。

「それに、今取り組んでいる『天都』の話も、何かここが怪しい、ここに何かあるに違いない……そんな思いで調べているわけだが、本当に連中に関する情報があるのかも不明なんだよな……」

 俺はそんな言葉と共に、大きく溜息をついてしまう。そうなんだよなぁ……有るか無いかも分からない物を探す時が、一番辛いのだよ。

 無いなら無いで良いのだ。その時は次の国・地域に足を延ばすだけだからな。だが、調べが甘く見逃してしまった時が最悪だ。

 まあ、そうならない為のリコリスなのだがね。

「善は急げ、だ。今日これから『天都』に向かい、探りを入れようと思う。メンバーは俺、ソニア、桔梗、椿、アルメリア、そしてリコリス。この六人で行く。今回の探索は、後程行われる本格的な調査の前段階のつもりだ。よって、短時間で戻ってくる予定でいる」

 リコリスの能力を試すのに、丁度良い機会だ。

 留守番を言い渡された幾人かが文句を垂れていたが……君達は次の機会に連れていくよ。本当さ、楽しみにしていてくれ。



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