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双子の魔力

 家に帰ると、中庭から威勢の良い声が聞こえてきた。ふむ、様子を見てみるか。

 中庭に着くと、リアスとリリスの双子がヴェロニカと組手をしている所に出くわした。

「リリス!」「うん!」

 リアスとリリスが、得意のコンビネーション攻撃でヴェロニカに襲い掛かる。

「その攻撃、散々見て慣れてしまったわ」

 しかし、その攻撃はヴェロニカによって綺麗に捌かれてしまう。

「あっ⁉」「キャッ⁉」

 その勢いのまま、ヴェロニカの反撃でリアスとリリスの二人は吹き飛ばされてしまった。

「おっ? 殿ではござらんか。殿も鍛錬をしていくでござるか?」

「まあ、たまにはな。それで、あの二人についてどう思う?」

 事の顛末を眺めていた俺に声を掛けてきたのは椿だ。そのまま椿と、先程の手合わせについて意見を交換し合う。

「そうでござるなぁ……動き自体は良いでござるし、技術も魔力も人並み以上でござる。ただ、良くも悪くもあの二人の真骨頂は、その『連携力』にあるでござるからなぁ。連携出来ぬ様に、二人を少し離して戦ったり、先程のヴェロニカの様に、慣れてしまえば簡単に対処できてしまうでござるよ」

 う~ん……それはなぁ。それがあの二人の強みだし、そこを強化する方向性は間違っていない筈だ。

 更に言えば、そこに関しては少し考えがある。

 と言う訳で、俺は一旦家の中へ「ある人物」を呼びに戻った。その人物とは、

「それでぇ、おねぇさんに聞きたい事ってなにかしらぁ?」

 お呼びしたのは、我ら家族の中でもトップレベルで魔法に見識のあるソニアだ。彼女に聞きたい事が、あってこの場に呼んだのだ。

「以前、ネリネが言っていたのだ。あの二人の魔力の「質」が、極めて似通っているという話を。その事を改めて君に聞きたいのだよ」

 そう。俺が気になったのは、どの程度魔力の質が似ているか、についてだ。

「そうねぇ。魔力「だけ」を見れば、同じ人間が二人いるように見えるわねぇ」

 ふむ、俺の「眼」で見た感想と同じだな。これなら……、

 ここで『魔力』について、少し補足を入れておく。

 魔力という物は、「指紋」や「声紋」の様に個々人で全く違うのだ。確かに親兄弟で似通る事はある。双子なら尚更だ。

 だが、あの二人の様に「瓜二つ」なんてことは極めて珍しい事例だ。少なくとも、俺が調べた限りでは存在しなかったよ。

「ソニア、少々聞いて欲しい事があるのだが」

 俺はかねてより考えていた事をソニアに相談した。

「……へぇ、それは面白そうねぇ」

 俺の話を聞き終えたソニアが、興味津々といった表情でそう答えた。

「可能だと思うかい?」

「ええ。試してみる価値は十分にあると思うわよぉ」

 そうだな、何事も試してみないことには始まらんか。

「リアス、リリス。済まないが、ちょっとこちらへ来てくれないか?」

「「?」」

 俺の呼びかけに反応し、リアスとリリスがこちらへ歩いてきた。

「取り敢えず、二人で『手を繋いで』みてくれ」

「「えっ?」」

 こいつ何言ってんだ? みたいな顔で俺を見ないでくれ。これも真面目な実験なのだから。

「手を繋いだな? それでは先ずリアス。魔力を高めてくれ」

「わかった」

 未だに良く分かっていない感じだが、それでも俺の言う通りに魔力を高め始める。

「よし。次はリリス、繋いだ手からリアスの魔力を感じ取れるか?」

「……はい。感じます」

「ならば、その「リアスの魔力」を使い、魔法を唱えられるか?」

「えっ? ……や、やってみます!」

 俺の指示に、一瞬戸惑ったリリスだが、直ぐに気を取り直し、空に向かって「竜巻」の魔法を放つ。

 ゴウッ‼ という風を切る音と共に、竜巻が青空へと消えていった。

「リアス、魔力はどうだ?」

「……うん、あたしの魔力が減った感じがする」

「リリスはどうだ?」

「はい。わたしの魔力はほとんど減っていませんね」

 ふむ。第一段階はクリアか。

「じゃあ次は、逆のパターンを試すぞ。リリスが魔力を高め、その魔力をリアスが使うのだ」

 続けて逆のパターンも試し、こちらも問題無く成功した。これで、第二段階もクリア。さあ、次が最終段階だ。

「では最後に、リアスとリリス、二人共に魔力を高め、高めた「二人分」の魔力を使って魔法を放ってみて欲しい。最初はリリスからで頼む」

 自分の魔力+他人の魔力を同時に扱う術。これこそが俺が求めた技術だよ。

 実は以前に、ソニアとこの技術について試したことがあったのだ。俺の魔力とソニアの魔力が合わされば最強じゃね? そんな単純な考えからな。

 だがしかし、結果は散々なものだったな。ソニアの知識と技術をもってしても、成功する気配すら感じられなかったよ。

 その結果を踏まえて、現時点では「不可能」であると結論付けた。

 それ以来、この話題に触れる事は無かったのだが……、まさかここで再び検証する事になるとはね。

「リリス、大丈夫?」「うん、大丈夫だよ」

 二人分の魔力を操り、リリスが再び空に向けて「竜巻」の魔法を放つ。

 ゴゴウッ‼ と、先程よりも大きく激しい音を立て、放たれた「竜巻」は、大空へと飛翔していった。

 これは……ご近所迷惑になってないよな? もしそうなら済まない事をしたな。

「凄いわねぇ」

 隣にいるソニアが、空を見上げながらそう呟いた。確かに、物凄い竜巻だったな。

「だが、想像よりも大人しめな感じだったような気がするが?」

「それはですね、いきなり全力で放つのも怖かったので、少し手加減しました」

 俺のちょっとした疑問に答えたのは、実際に魔法を放ったリリスだ。成程、確かにそれは考慮しなければいけなかったな。下手に制御をミスって暴発……なんて最悪だしな。

「ひとまずは、成功した事を喜ぶとしよう。それでは次、リアス。頼むぞ」

「任せてよ!」

 続けてリアスが挑戦した。リアスは「身体強化」を選択。

 二人分の魔力で強化されたリアスは、驚くべき事にセフィラと互角の戦いを演じたのだった。

 だが、そんな素晴らしい「身体強化」も、決定的な弱点をさらけ出す事になる。

 それが「持続時間」だ。二人分の魔力を使って「身体強化」の魔法を使用した訳だが、当然その魔法を維持するにも魔力を消費する。当たり前の話だが、戦う時は繋いだ手を放している。それ故、新たにリリスから魔力を供給する事が出来ないのだ。

 以上の経緯から、リアスが「身体強化」の魔法を行使していられる時間は「一分間」が限界となる。

 まさか戦闘中に手を繋ぎ続けるわけにもいくまい。一分間が事実上のリミットだ。

 ふむ、名付けるなら『一分間の双極強化(クロッシング・ハート)』とかどうだろう? 我ながら自信作だ。

 リリスの方も、しっかりと修練を重ねれば、ソニア並みの魔法攻撃力を得る事も可能だろう。これからが楽しみな二人だよ。

 ちょっとした好奇心から始まった話だが、思った以上の成果を出せたな。

 今日は大満足な一日だったな。さて、明日はどう動こうかな?


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