レオン&ルセリア VS 砂塵の狼
「それで、レオン殿。どの様に戦うおつもりですか?」
「砂塵の狼」との戦闘に備え、準備体操をしていた俺に、ルセリアからの質問が飛んできた。
「そうですね……では、こういうのは如何でしょう?」
……。
「……ふふふ、面白い作戦ですね。分かりました、それでいきましょう」
俺の提案に笑って答えるルセリア。どうやらお気に召したみたいだな。じゃあ、これで決まりだ。
諸々の準備を終え、ルセリアと並び立ち「砂塵の狼」と対峙する。
「先手は譲ってやるよ。そっちから攻めてこい」
そう言うフリッツは、未だに不満げな表情を崩していない。その表情も、戦闘が始まってからも保てるかな?
「そうですか。では、遠慮なくいかせてもらいます……よ!」
わざわざ先手を譲ってくれたんだ、ありがたく頂戴しようではないか。
作戦通りに、先手は俺の魔法で始める。使う魔法は『散雷弾』だ。
雷の弾幕が「砂塵の狼」達へ襲い掛かる!
「「「「なっ⁉」」」」
突如として現れた弾幕に、驚く四人。そこまで驚いてくれたのならば、撃った甲斐があるというもの。
だがしかし、そこは流石のAランク冒険者達。魔法使いの二人が、咄嗟に魔法で障壁を作り出し弾幕を防ごうとした。
まあ、ソレこそが俺の狙いなのだがね。
雷の弾幕が魔法障壁に激突した瞬間、雷球が激しく発光し眩しい閃光が辺りを包んだ。見事な目つぶしの完成だな。
「「うわぁっ?」」
前衛の二人は、この目つぶしをモロに喰らい大きく怯んだ。
「手筈通りですね。お見事です!」
その隙を逃すルセリアでは無い。怯んだ二人に対し、鞭状に変化させた「連節剣」を振り抜き大きく吹き飛ばした。
「ぐぁっ⁉」「うおっ⁉」
十メートル程吹き飛んだ二人を追いかけるように、ルセリアが突撃を敢行する。
「俺も負けてはいられんなっ!」
何が起きたのか理解出来ずに、呆然としているセーラとミランダの懐まで潜り込み、愛槍を振り回し二人を吹き飛ばす。
「キャッ⁉」「あうっ⁉」
フリッツとマイクが吹き飛んだ方向と真逆に吹き飛ばした事により、「砂漠の狼」の陣形を崩す事に成功した。
「なっ、なんだとっ? お、俺たちの連携が、こうも簡単に……?」
手合せを開始してからたったの数秒間。その僅かな時間で俺たちを取り巻く状況は一変した。
四対二で始まった手合わせは、気がつけば二対一が二か所で発生している。これが俺の考えた「作戦」だ。
「何やら皆様方は、四対二の状況に不満を持っていたご様子。ですので、早々に状況を変えてみました」
今回の手合わせの目的。それは彼等の「チーム」としての強さを測る事。なので、こうやって初手に連携を崩して、その後どう立ち回るかを見たかったのだよ。
「それでは、お二人には暫しの間、私のお相手をして頂きます。念の為に言っておきますが、拒否権はありませんので」
では、俺は俺の役割を遂行しますかね。
ルセリア視点
自分の目の前にいるのは、フリッツ殿とマイク殿の二人。自分に課せられた使命はただ一つ。彼等に己の力を余す事無く見せつける事。
レオン殿は思っていた以上に厳しい殿方ですね。下手をすれば、彼等はここで心が折れてしまうかもしれないというのに。
……いえ、恐らくレオン殿は、彼等が心折られる事無く、前に進むとお思いなのでしょう。
面白いですね、レオン殿は。厳しさの中にも優しさや慈悲の心を持ち合わせている。実に私好みですね。
今回の手合わせも、元を正せば「砂漠の狼」の面々にもっと上を目指して欲しい……そんな思いから始めた事でしょうからね。
そんな事、一介の冒険者がする事ではありませんが、レオン殿達は一介の冒険者ではありませんからね。
まあ、今はそんな事よりも、目の前の事に集中しましょうか。
「はぁっ‼」
フリッツ殿とマイク殿に、連続でそれも絶え間なく攻撃を繰り出します。
「くっ⁉」「フリッツ、今は耐えろ! こんな激しい攻撃、いつまでも放てるわけがない!」
二人は自分の攻撃を、武器で防いだり躱したりと、中々良い動きをしていますね。ですがマイク殿、その予測は少しばかり甘いですよ?
期待に応えまして、今度はより強力な攻撃をプレゼントしましょう。さあ、これは耐えきれますか?
「おいっ‼ これ以上は耐えらんねぇぞ⁉」
「ば、馬鹿なっ⁉ こ、こんな……っ?」
おやおや、もう音を上げるのですか? この程度の攻撃、レオン殿は軽くいなしていましたよ?
……フリッツ殿が、頻りに離れた位置にいる女性陣に視線を向けていますね。彼としては、何とか彼女達と合流して体勢を立て直したいのでしょう。
ですが、それを許す自分ではありませんよ? もうしばらく付き合ってもらいますよ?




