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噂の冒険者パーティ

 そんな訳で、家に帰ってきて早々にギルド支部へと足を運んだ。

 さてさて。噂の冒険者は居るかな?

 ギルドの中を見渡してみるが……それらしき者は見当たらず、か。となれば訓練場かな?

 そう思い、練習場へと向かってみる。すると、見慣れない冒険者のパーティを発見。

 ふむ。遠目で見ても、只者ではない雰囲気を醸し出しているのが分かるな。となると、あのパーティがそうか?

 おっ? ルセリアも居るな。丁度良い、彼女に話を聞いてみるとしようか。

「ルセリア殿」

「おお、レオン殿。お待ちしていましたよ」

「はい。早速で申し訳ありませんが、あの方達が例の?」

「そうです。あそこに居る四人組が、Aランクパーティ「砂塵の狼」の面々です」

 砂塵の狼……ね。戦士風の男が二人と、魔法使い風の女性が二人、か。バランスは良さそうだな。

 その四人組だが、訓練場で鍛錬をするわけでも無く、何やら話し込んでいるな。

「彼等は昨日、ダンジョンに挑んだそうです。その時の事を話し合っているのでは?」

 反省会でもしているのか? ふむ、邪魔をしては申し訳ないが……まあ、一言声を掛けるだけだし、問題無いだろう。

 そう思い、俺は「砂塵の狼」に向かって、つかつかと歩いていく。「砂漠の狼」の面々が、俺の存在に気がついてこちらを見た。

「済みません、皆様が「砂塵の狼」の方々ですか?」

 ここはフレンドリーに笑顔で声掛けをしようか。こちらに敵意が無いと証明せねばならんからな。スマイル、スマイル。

「……そうだが、君は?」

 俺の問いに答えたのは、男の内の一人。ふむ、随分と若いな。二十歳そこそこだろうか。

 いや、今は俺の方が若いのか。未だに慣れんなぁ……。

 それにしても……この四人は、俺を警戒している様に見えるぞ? 何故だ? あれだけフレンドリーに話し掛けたというのに……。

「申し遅れました、私の名はレオン。この町を拠点にしている冒険者です」

 そう俺が名乗ると、四人の表情が明らかに変わった。少し目を見開き驚いているな。

「そうか……君が噂のレオン君か」

 噂だと? おいおい、それは悪評ではないだろうな?

「そんな噂になる程、何かをした覚えは無いのですけれどね」

「この国に来てから、君の話を聞かなかった事が無いくらいだよ」

 俺の名前を知ってからは、友好的に接してくれているな。そう思えば、その噂とやらも役に立ったのか?

「俺はフリッツ。それでこっちは……」

「マイクだ。よろしく」

「セーラよ」

「ミランダです」

 フリッツと名乗った男がリーダーなのだろう。赤い髪をした、爽やかな感じの青年だ。

 マイクという男は、野性味溢れる大男だ。豊かな顎髭が特徴的で、年齢は……三十手前くらいかな?

 セーラは、典型的な「女魔法使い」という感じの出で立ちだ。年齢はフリッツと同じくらいか?

 最後にミランダという女性は、教会のシスターが着る服に似ている格好だな。魔法使い……だと思うが、良く分からんな。年齢は……二十歳そこそこだろうか。

 初見の感想は、こんなものだな。

「この町に、有名な冒険者のパーティが来た、という話を聞きましてね。どんな方達なのかと興味を惹かれまして、声を掛けさせて頂いた次第です」

「そうか。だがそれは俺達も同じだ。「英雄」と呼ばれた者が、どんな奴なのかと気になってはいた」

 その言葉の直後、「砂塵の狼」の四人から突き刺さる様な鋭い視線を向けられた。

「英雄などと、恐れ多い評ですよ。私はただ、自分に出来る事を成しただけに過ぎません」

「まあそんな噂話はどうでもいいさ。俺達がこの町に来たのは、新しく見つかったダンジョンに挑む事と、そこに集まる「強い奴」に会う為だからな」

 ダンジョンに挑む、というのは理解するが……まさか「強い奴」に会いたいとはね。

『俺より強い奴に会いに行く』。どこぞの格闘家みたいな台詞だな。

「強き者に会って、如何するので?」

「そんなのは決まっている。互いに持てる力をぶつけ合うんだ。今よりも強くなる為にな」

 成程ね。彼の根っこにある物は、武芸者というか求道者に近い物なのだろう。これは妻達と気が合いそうだな。特にセフィラやヴェロニカ、椿なんかとね。

 だが……俺もその気持ちは分かるよ。多少だがね。

 俺は、自身が「世界最強」に成れるなんて、露程にも思わん。けれども、その「世界最強」に挑む者でありたいとは思っているのだよ。

「それならば、私と手合わせをしてみますか?」

「いいのか? 俺としては願ったり叶ったりだが……」

 こういう手合いは、一度刃を交えるのが一番だ。ソースは俺の嫁さん達だな。

 だが、う~む……俺的には個人の強さではなく、パーティとしての強さを知りたかったのだが……。

「レオン殿」

 さてどうしたものかと思案していると、突如ルセリアに声を掛けられた。

「どうしました?」

「その手合わせ……自分も参加してよろしいでしょうか?」

 何? ここで貴女が出てくるのか。

 いや? むしろチャンスか? これなら……。

「分かりました。そういう訳ですので、こちらは私と彼女の二人でお相手させて頂きます」

 俺のこの宣言で、「砂塵の狼」の四人は再び驚きの表情になった。

「それってさ、俺たち四人を君たち二人で相手する……って事?」

 そう口にしたフリッツの瞳には、明らかに「怒り」の感情が混じっているな。舐められた、と思っていそうな眼だな。

「一つ、お伺いしたいのですが、後ろにいる女性が「誰」なのかは……ご存じですよね?」

「勿論、知ってるよ。かの有名な「Sランク冒険者様」でしょう?」

「では、そのSランク冒険者様と手合わせした経験は?」

「……無い、が。それでも四対二だぞ? 勝負になるかどうかも怪しいな」

 本当に……若いな。Sランクを相手にしても、自分達が負けるとは微塵も思っていない。

 だが、それも仕方なしか。一般的に、Aランクと言えば冒険者にとって「ゴール」に等しいものだ。若くしてそのゴールに辿り着いた彼等は、確かに優れていると言える。

 ふむ、ここで若い彼等に「現実」を教えるのも、年長者の努めだ。

 肉体的には俺も十分に「若い」のだが、精神的には四十を過ぎたオッサンだ。何も間違ってはいないさ。

「なに、実際に戦ってみれば、全て理解できますとも。それでは準備を始めましょうか」

 フリッツがまだ何か言いたそうな顔をしていたが、強制的に会話を終了させた。もはや言葉は不要。


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