王都散策と新たな『武器』
さて、このまま直ぐに家に帰るのもアレだしな、ここは少しばかり寄り道して、ソニアと王都散策デートと洒落込もうか。
「あらぁ? あの子の着ている服、可愛いわねぇ」
「ふむ。こうして見ると、町の人々の服装も随分と様変わりしたな」
王都を散策していてソニアが注目したのは、町の人が着ている服装についてだった。
少し前までは、無地のシャツにズボン、又はスカートというのが一般的な服だったのだが、今は色だったり柄だったりが追加されていて、デザインも豊富で個性が出ているな。俺達の努力が実り始めているのを実感するよ。
まあそれでも、俺とソニアが着ている「制服」は注目の的になっているがね。
最初の頃は、この制服を着ている俺達に、奇異の視線が向けられていたものだ。それは今も変わらんが、好意的な目で見てくる人が増えたのも事実だ。
「あの屋台で売っている物は「ハンバーガー」か?」
王都散策を続けていると、一軒の屋台が目に入った。そこで売られていたのがハンバーガーだったのだ。
調理方法はジャックに売っていたので、近々売り出されるとは思っていたのだが。
折角なので、そのハンバーガーを一つ買い、ソニアと半分こにして食べる事にした。
「ほう? パンズも肉も柔らかくて、美味いではないか」
「そうねぇ。けどぉ、少し高くないかしらぁ?」
ソニアが「高い」と言ったのは、勿論ハンバーガーの値段についてだ。
「それは仕方がなかろう。パンも肉もそれなりの質の物を使っている。むしろ、この値段なら良心的とも言えるよ」
しかも王都は、周辺の町と比べても物価が高い。それを思えば大分利益率は低そうだな。少し心配になってきたよ。
ちなみにお値段は、一個300Gだ。ハンバーガーを食べながら屋台の様子を見ていたのだが、ぽつぽつと買いに来る人がいたな。あの様子なら大丈夫かな? 頑張って繁盛する屋台にして欲しいものだよ。
ある程度王都を散策し、満足した俺達は我が家へと帰る事にした。ソニアも楽しめたようで、散策中は終始笑顔だったよ。
「お帰りなさいませ、旦那様。ソニア」
家に帰ると、間髪入れずにマリーが出迎えてくれた。毎回思うが、マリーの出迎える速度が速すぎやしないか?
それはマリーが有能だから、で済む話なのだが……何故か気になってしまったな。
出迎えに来たマリーを伴い、リビングに足を踏み入れると、何やら良い匂いが漂ってきたぞ?
そうか、今は丁度お昼時だったな。どうやら昼食の準備をしていた所だったようだな。
「おねぇさんも手伝うわねぇ」
そんな事を考えていたら、マリーとソニアが昼食の準備を再開する為に、キッチンへと移動してしまった。
そして、リビングに一人ポツンと取り残される俺。
今日はもう既に、やらなければならない仕事は全て完了している。ふむ、急に手持ち無沙汰になってしまったな。
中庭で鍛錬している妻達の元気な声がここまで聞こえてきているな……様子でも見に行くか。
中庭ではリコリスを始め、多くの妻達が組手に精を出していた……無手で。
本来は、刀やサーベルを持っている筈の椿やアルメリアも参加しているのには驚いたよ。
「見ていて楽しそうだったので、拙者も参加してみたのでござるが……」
「やってみると、思ってた以上に為になるんだよ。何だか強くなれた気がするぜ」
と言うのが椿とアルメリアの意見だった。いやまあ、楽しんでくれているのならば何よりだよ。
さて、肝心のリコリスだが、今はカトレアと組手をしている最中だ。
「そ~れ、ドンドンいくよ~?」
「わっ⁉ ちょっ⁉ ま、待って欲しいであります⁉」
カトレアの猛攻を受け、リコリスが必死に防いでいるな。リコリスも何とかしようと打撃だけでなく、投げ技も駆使して対処しようとするが、カトレアを投げようと仕掛けるが、逆にリコリスが投げ飛ばされる結果となった。
カトレアの恐るべき体幹でリコリスの投げ技を耐え、その隙を突いて逆に投げ返したな。流石だ。
「皆様、昼食の用意が出来ました。リビングにお戻りください」
どうやら昼食の準備が完了したようだな。では、リビングに戻るとしようかね。
昼食は「トマトソースパスタ」だった。「ケチャップ」を作った後に、「トマトソース」も開発していたのだ。その結果、我が家で度々出る料理になったのだよ。
そして、食後のデザートには西の大陸産のフルーツが食卓に並ぶ。うむ、食生活に関しては大分充実してきたな。今後、全国民が、これ等の料理を当たり前に食せるようになれば……その時が楽しみだよ。
さて、昼食も食べ終わった事だし、午後は何をして過ごそうかね。
色々と悩んだ末、俺はルピナの工房にお邪魔する事にした。
「おっ? わざわざこんな所に来て、何の用だい?」
「なに、リコリスの武器を作っているのだろう? どんな仕上がりになるかが気になってね」
「そうかい。そこの机に目的のブツは置いてあるよ。後は細かい調整をして完成させるだけだぜ」
その言葉を聞き、視線を机の上に向ける。そこには俺の良く知る「拳銃」と大型の「両刃ナイフ」が置かれていた。
拳銃の方は、特にいう事は無いな。扱いやすそうで、俺でも使えそうだ。
問題は「両刃ナイフ」の方だ。ナイフの先端部分に「凹み」がある。
「この「凹み」は何だ?」
「ああ。その部分で敵の武器を受け止めるんだよ。そんでそのまま思いっ切りナイフを捻れば……」
「成程、つまりこれは「ソードブレイカー」なのだな。良く考えられているよ」
リコリスの戦闘スタイルを考慮した結果、この機構を付けたのだろう。
彼女の戦闘スタイル的に、敵と真正面から切り結ぶ機会は少ないだろう。それならば「攻防一体」の武器にしてしまおう、という考えだ。刀身は「ミスリル」で作られ、硬度も十分確保出来ているし適格だろう。リコリス自身も、この考えに賛同していたしね。




