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*急募 面倒事の方からこちらに近付いて来る場合の対処法

 うららかな午後の日差し降り注ぐある日の事。この日は家族全員、仕事を休みにして家でまったりと過ごしていた。一部の者が中庭で鍛錬をしているが……自主練なのでセーフ。という事にしておこう。

 俺はというと、リビングにてマリーの淹れてくれた紅茶を飲んで休暇を満喫していた。その時、

 ドンドンドンッ!

 少々乱暴な感じで家の扉がノックされた。はて? 何事だろうか。

 ノックの音が鳴り続ける中、マリーが素早く玄関へ向かいノックの主を出迎えに向かう。

「はぁはぁはぁ……すみません! レオンさんはいますか?」

 扉の先には息を切らせたハンナの姿が。つい先日にも同じ事がなかったか?

「ギルドで少々問題が起こって……レオンさんにどうにかしてもらおうと……」

 いや、俺は冒険者なのだが……ギルドのトラブル解決業者ではないぞ? まあ、信頼の証だと思っておこう。はぁ……ギルドには世話になっているし……仕方ない、行くとするか。

「少し出てくる。家の事は任せたぞ、マリー」

「はい。行ってらっしゃいませ、旦那様」

 綺麗なお辞儀で俺を見送るマリー。やれやれ、どんなトラブルなのか。はぁ……気が重いなぁ……。




「だから! 責任者を出せって言ってんのよ! 何度言わせるの‼」

 ギルドに入って早々、耳を塞ぎたくなる様なキンキン声が響いて来た。あれがトラブルの元か……。

「失礼、どうなされたのですか?」

 極めて丁寧な態度で「元凶」と応対する。ふむ、中々に美人ではないか。妻達程ではないがね。胸もそれなりの大きさで、十分「巨乳」と言える大きさだ。それに傍には別の女性が二人いる。パーティメンバーかな?

「誰よ、あんたは? 見た所同業者みたいだけど……まあいいわ、私は今忙しいの。用があるなら後にしなさい」

 怒り心頭、と言った感じだな。折角の美しい顔が怒りで歪んでしまっているよ。

「ですが、私ならば貴女の悩みを解決出来るかもしれませんよ?」

「……ふぅ~ん。面白いわね、あんた。じゃあ折角だから、私の悩みを聞いてもらうわよ?」

 どうにか宥める事には成功したか。では、大声を出していた原因を聞いてみるとしよう。

「私達三人は「雪月花」という名前で冒険者をしているの。聞いた事あるでしょう?」

「いいえ、知りません」

「そ、そう……ま、まあこんな田舎町じゃしょうがないか。と・に・か・く、私達は『特級ダンジョン』の探索許可を取りにきたの。そうしたら「今、支部長がいないので後日お越し下さい」とか言って追い出そうとするの! 失礼だと思わない?」

「……支部長は今、お仕事で王都に出かけているんですよ」

 隣にいるハンナが小声で補足してくれる。

「それでしたら、普通に待てばよろしいのでは? それとも何か待てない特別な事情がお有りで?」

「ええ、勿論。その待ってる間に先を越されたらどうするのよ? 『特級ダンジョンを世界で一番早くに攻略した冒険者』の栄誉をね」

「……」

 彼女の説明を聞いて、俺は思わず唖然として固まった。えっ? どういう事だ? 彼女の言葉が一ミリも理解出来ないぞ。

 特級ダンジョンをクリアする? 世界で一番早く? 無理に決まっているだろう。今現在で攻略されている特級ダンジョンは「ゼロ」だ。それ程の難易度なのだよ、特級ダンジョンというものは。

 ああ、後ろにいるパーティメンバーの二人が頻りに頭を下げて謝罪の意を示している。どうやらおかしい事を言っているのは目の前の女性だけの様だな。

「一日程度待っても、何も変わらないと思いますよ?」

「変わるわよ! 私の気持ちがね! それに私達「雪月花」程、優秀な冒険者には優先して許可を出すべきでしょう?」

 ああ……これは、あれだ。鼻が伸びきった自分の力を過信する愚か者の類だ。自分が特別であるのが当たり前だと考えるね。これは話し合いで治めるのは難しいか。ならば、

「でしたら、私の推薦する冒険者に勝てたのなら、私の持っている許可証をお譲りします。それでどうですか?」

 俺はニコニコ笑顔でそう提案した。

「いいの? 折角手に入れた許可証なのに?」

 案の定、食い付いて来たな。こうなればもうこちらのペースだ。

「ええ。ハンナさん。俺は家に行って妻達を呼んで来るので訓練場で待っていてくれますか?」

「わかりました……すみません。お手数をお掛けして……」

 ハンナに笑顔で挨拶をして、家への道を急いだ。ああいう手合いは、待たせると余計に面倒臭くなる。


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