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輝く未来への一歩

 数日後。新領主就任の式典が行われる。俺達家族にも出席する様にと要請があった。おかしいな……俺達はごく普通の冒険者な筈だが……というのは無理筋か。アリスを妻(名目上は婚約者)にした時点で、ある程度はそういった式典にも出席するつもりだったしな。

 完成したばかりの真新しい領主館の前で、式典は執り行われた。その主役である新カルディオス領主――グレッグの挨拶から始まった。

 そう、この世界に来て一番初めに出会った人物。町の門番を務めていた男だ。今は兵士の恰好ではなく上品な貴族服を着て集まった人々の前で堂々と演説している。

 何でも彼は前カルディオス領主の甥に当たる人物だそうで、王都の法衣貴族の長男だ。『大氾濫』の後、叔父の後を継ぎボロボロになった町を復興させる事が夢だったらしく、弟に家督を譲り実家を出てこの町にやって来たのだと。見かけによらず熱い男だ。今回正式に王国から「カルディオス子爵」の地位を賜った。是非とも頑張って欲しいものだよ。

 こうして静かにだが、確実に復興が進むカルディオスの町。町民は期待と希望を胸に日々を過ごすだろう。無論、その「町民」の中には、俺達夫婦も含まれるよ。

 就任の挨拶を終え、次は来賓の方々に個別に挨拶をして回るグレッグ。王宮からは勿論の事、国中の貴族が祝いの言葉を贈るべく使者を送っている。それだけこの町が注目されている証左だろう。そしていよいよ俺の番になった。ここは一つ、しっかりとした挨拶をするべきだな。

「領主就任おめでとう御座います、カルディオス子爵様」

 うやうやしくお辞儀をし、かしこまった口調で挨拶をしてやった。半分は真面目な気持ちで。もう半分はからかいの気持ちでね。ちなみに、今の俺の服装はフォーマルスーツの様なピシッとした服装だ。

「いきなりそう畏まられると、違和感が凄いな。お前とは今まで通りの付き合いをしたい、言葉遣いも普段通りでいいぞ」

「そうか? ならば、そうさせてもらうとしよう」

 グレッグの許可も出た事だし、お言葉に甘えて普段通りにするとしようかね。

「むしろ俺の方がお前さんを敬わないとな。何せ『英雄』様だしな」

「……その呼ばれ方は好きではないので、出来れば遠慮したいのだがね」

「はっはっは、それだけお前さんがした事の功績が大きいんだよ。甘んじて受け入れろ」

 お互いに憎まれ口を叩きながらも、終始笑顔だった。うむ、グレッグならばこの町をより良い方向に導いてくれると、信じているよ。




「新しく召喚する『嫁』について、皆と相談がしたい」

 グレッグの就任式が無事に終わった次の日。朝食の席で妻達と意見交換する。話題は勿論「召喚権」について。

「今の私達は非常にバランスが取れていると思います。どのような方がいらしても問題は無いかと」とマリー。

「そうですわね……強いて言えば遠くから攻撃出来る方が来れば心強いと思いますわ」とプリムラ。

「わたしは……マリーと同じ……かな?」とリラ。

「もう一人、魔法が得意な娘がいてもぉ、いいんじゃないかしらぁ?」とソニア。

「ローリエの様に、守りが得意な方を迎えるのも宜しいかと思います」とアリス。

「そうですね。私ともう一人が守りを固めれば、不測の事態にも対処可能でしょう」とローリエ。

「腕っぷしさえあれば、誰だろうと歓迎するさね」とセフィラ。

「あーしはね、ファッションに興味をもってくれる娘がいいな~」と桔梗。

「私は~遠距離攻撃が得意な娘が良いと思うわ~」とエリカ。

「モグモグ……モグ?」とカトレア……ああ、そのまま食事を続けていいぞ。

「妾が楽しめる者だといいわね」とヴェロニカ。

「戦闘の事は分かりません…が、優しい方だと良いです…ね」とシオン。

「新参者の拙者にはよく分かりませんので、皆様方にお任せいたす」と椿。

 やはり皆に意見を募って正解だったな。これだけ多様な意見が出るとは。お陰でとても参考になったよ。一部、参考にならない意見もあったような気もするが……。

「ふむ、今回は「遠距離攻撃」を得意とする者を呼ぶ事にする。これが一番バランスの取れた選択肢だと判断した」

 聞いた中で一番多い意見だったしな。だが、アリスとローリエの意見も気にはなったな。防御方面を強化するというのは、面白い考えだったな。この次はその方向で検討しておこう。

「それではガーベラ、転送を頼む」

『了解しました。『神域』への転送を開始します。』

 俺は目を瞑り、光のエフェクト発生に備えた。来ると分かっていれば対策は幾らでも立てられるさ。


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