新しいダンジョンは、思っていた以上に手強いな
次のフロアも難無く突破し、五フロア目に到着した。そこに現れた魔物前のフロアとは一線を画していた。
「アレは……「グリフォン」かっ⁉ それに「ミスリルゴーレム」も⁉ それが複数! どちらもAランク魔物だ!」
ライアンが驚きの表情と共にそう騒ぎ散らした。今迄の魔物が精々Cランクだったことを考えると、一気に難易度が跳ね上がったな。恐らく、ここまで攻略してきた者を一網打尽にする為の仕掛けだろう。うんうん。やはりダンジョン攻略は「こう」でなくては。
さて……グリフォンが五匹に、ミスリルゴーレムが三体か。
「ミスリルゴーレムは俺が対応する。皆はグリフォンを頼む。ローリエ、そちらの指揮は任せるぞ」
「「「はいっ!」」」
「承知しました。こちらはお任せ下さい」
妻達から威勢の良い返事が来た。では、俺はこちらに集中しようか。
とは言え、ミスリルゴーレムは以前に倒している。悪いが速攻で片付けさせてもらうぞ!
「潰れろっ! 『重力圧壊』(グラビトンプレス)!」
魔力を高め魔法を放つと、三体纏めて重力の檻に閉じ込める事に成功する。金属が軋む不快な音を奏で、ミスリルゴーレム達は圧壊していった。
「……ふう。こちらは終わったな。さて、あちらはどうかな?」
ローリエ視点
レオン殿から指揮を任されました。ここは一つ、軍で培った指揮能力を披露いたしましょう。それにしても……グリフォンですか。空を飛ばれると厄介そうですね。初めて戦う魔物ですが、私の役目は何一つとして変わりません。
「ソニア殿、アリス、カトレア殿はグリフォンの翼を攻撃して下さい! まずはグリフォンの動きを止めます!」
「ええ、わかったわぁ」
「了解です」
「うん。いっくよー!」
ソニア殿とアリスは魔法で、カトレア殿は円月輪でグリフォンの翼を切り刻む。グリフォンが痛みで大声を上げます。これで空は飛べなくなりましたね。ならば次の一手は、
「リラ殿! 吹雪の魔法で動きを鈍らせて下さい!」
「……任せて」
私が指示するよりも早く魔力を練って待機していたリラ殿。流石ですね。吹雪の魔法がグリフォン達を包み込みました。魔法を受けて明らかに動きが鈍りましたね。
「よし! 一気に殲滅します。私に続けーっ!」
一斉攻撃の号令を掛け、グリフォンに突撃を仕掛けます。右手の魔剣でグリフォンの首元を切り裂き、一撃で首を刎ね飛ばす。やはりこの剣は素晴らしいですね。与えて下さったレオン殿に感謝です。
「プリムラ、合わせて下さい!」
「ええ! よくってよっ!」
マリー殿がグリフォンの背中に大きな傷を付け、そこにプリムラ殿の大剣を突き刺す。見事な連携ですね。
「きゃは♪ お命ちょうだい~ってね♪」
「うむ。御命頂戴致す!」
キキョウ殿とツバキ殿のカタナが、グリフォンの首筋を撫でる様に滑らせると、ゆっくりとグリフォンの首が地面に落下した。あのカタナという剣の切れ味はいつ見ても凄まじいですね。
「あら~? もう死んでしまったのかしら~?」
「見掛け倒しね。つまらないわ」
エリカ様とヴェロニカ殿は、二人でグリフォンをひたすらに切り続け、全身から血を噴き出しながら絶命させた。あのグリフォンには同情します。
「なんだい……ただ図体が大きいだけさね」
セフィラ殿は戦追を軽々と振り回し、グリフォンの頭部を粉砕する。この方に関しては、今更言う事はありませんね。
「これで五体全て倒せましたね。皆様、お疲れ様でした」
さて、レオン殿の方は……既に倒し終わってこちらの様子を見ていました。では、これでこのフロアの魔物は倒す事が出来ましたね。この後の事はレオン殿に任せましょう。
レオン視点
途中からしか見ていなかったが、妻達の流れる様な連携は見事の一言。それにローリエの指示も良かったな。だが今回は小規模な戦闘だったからな、もっと大規模な戦闘でこそローリエの能力が生きてくるだろう。その時が楽しみだ。
「う~む……分かっていたつもりだったが、キミ達の戦闘を直に見るとまだまだ過小評価していたのだと思いしらされたよ」
後方で待機していたライアンが頭を掻きながら、俺達をそう評した。ふふふ、俺達の本気はこんなものでは無いぞ? そんな事よりだ、これ以上先も探索するつもりなのかな? 丁度切も良いが……。
「どうしますか支部長殿。もう少し進みますか?」
「……いや、十分に調査は出来たよ。ここが引き時だと思う、帰還しようか」
妥当な判断だ。特に今回は未知のダンジョン探索、臆病なくらいがちょうど良い。
「では、あの宝箱を開けたら撤退しましょう」
魔物を倒した事で現れた宝箱。プリムラがワクワクした顔で俺の方を見ている。開けたいのなら開ければいいよ。
「あら? これは「鎧」ですわね」
宝箱の中身は鎧だった。分類的には俺の身に着けている「軽鎧」になるか? これも使うかは鑑定次第だな。
「魔石も拾い終わったし、帰るとしよう」
こうして新たに現れたダンジョンの探索は終わりを告げた。
ギルド支部にライアンを送り届けた際に、
「ああ、済まないがレオン君は私と一緒に王都のギルド本部へ来て欲しい。証言する人間は多い方がいいからね」
だそうだ。断る理由も無いのでソニアの転移魔法で王都へと飛んだ。




