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元ネナベの俺と呪い持ちの王女~ネナベしてたら男に転生したので、呪い持ちの王女をナンパしてきました~  作者: 某人間S
第七の信託:得られたものから失ったものを差し引き、残されたものがすべてである
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56. 糸とアステ

「――エドさん?」


 "赤き炎"について悩んでいたはずのティアーネは、突然弾かれるように顔を上げた。


「どうかしたか?」


 心配そうに、ファインがティアーネの顔を除き込む。


「――いえ、そちらの方から、エドさんに名前を呼ばれたような気がして……」


 ティアーネは自分でも不思議に思いながら、入口の方へと歩く。

 念のため扉を開けて外も確認するが、エドの姿はない。


「私、ついにどうかしちゃったんでしょうか……」


 そう言いながら戻ってきたティアーネは、視界の端に何か光るものがあることに気づく。


「これは――」


 ティアーネが掴んだのは、一匹の火妖精だった。

 ティアーネの方を見ていたファインとナビスも、すぐにその正体に気づく。


「よし、これで最初の行はどうにかなったな」


 ファインが嬉しそうに拳を握る。


「そうですね。……ありがとうございます、エドさん」


 ティアーネは手の中の火妖精をそっと胸の前で抱きしめた。たとえ幻聴であれ、エドがティアーネを助けてくれたのは事実だ。

 とりあえず、火妖精が不用意に暴発しないように気を付けながら、次の部分について考えることにした。


「”真昼の宵闇に現れし黒きいばら”は呪いが発動した時にできた痣だとすると……次は”裏切り者の記憶を集めし合わせ”ですか?」


 うーん、とファインから悩むような声が聞こえる。


「裏切り者、と言えば、俺がエドと信託の話で言い合いになったとき、”裏切り者”とは呼ばれた気がするが……俺が知ってることで役に立ちそうなものなんてあるか?」


 ファインは今一度自分の記憶を思い出してみるが、有益そうな情報はない。


「――それにこの文章だと、裏切り者は複数いることになりませんか?」


 ティアーネがそう言うと、確かにな、とファインは首をひねる。


「さて、また詰まったぞ……」


 三人が考え込んでいると、今度は突然扉が勢いよく開いた。


「ただいま~」


 ベルの音と共に、妙に間延びした声でその人物は店にやってきた。


「「――アステさん!?」」


 ティアーネとナビスが驚いて声を上げる。


「どこに行ってたんですか?」


 ティアーネが歩み寄ってアステに聞くと、彼女は本当に大変だったんだよ~、と首に手を添えた。


「……なんとなく分かってると思うけど、カミサマのところだよ。――本っ当、もう二度と行きたくないわぁ」


 一瞬、アステはこれまで見せたことのないような、心底嫌そうな顔をする。


「そんなことよりさ、そっちはどんな感じなんだい?」


 さっきの表情はなかったことと言わんばかりに、アステはにこりと笑って皆に尋ねた。

 突然の状況に驚きながらも、ティアーネはざっくりとアステがいなくなってからの経緯を話した。


「なるほどねえ。……ま、裏切り者と言ったらあたしのことでもあるんだろうけどさ」


 とさらりと重大な発言をしながら、アステはテーブルの上に浮いている火妖精をつまむ。


「これ、よく見てみなよ」


 そう言われて、三人は穴が開くほどその火妖精を見つめた。

 一番最初に声を上げたのは、ファインだった。


「なんだこれ! 糸、みたいな――?」


 ファインの言葉を聞いてもう一度見てみると、ティアーネにも、確かにものすごく細くはあるが、火妖精から細い糸のようなものが伸びているのが見えた。


「本当ですね……」

「……僕には、何も見えないです」


 ティアーネが驚きの声を上げると、ナビスが残念そうに口を尖らせた。


「ま、これ魔力ある人にしか見えないからね。……ちなみに、あたしにも見えないよ」

「それ、先に言ってほしかったです」


 ナビスが頬を膨らませる。ごめんごめん、とアステがナビスの頭を撫でた。


「これ、実はエドに繋がってるんだよね」


 その言葉に、三人は更に驚いた。


「というより、何故それをアステさんが知ってるんですか……?」

「そりゃあもちろん、神に聞いたからね」


 アステが胸を張って答える。まったく不思議な人だ。


「とにかくそれを辿ってけば、エドを見つけられんだろ? 早く行こうぜ」

「こんな見えにくい糸を辿っていく根気強さがあるんなら、それでもいいかもしれないけどね」


 アステは肩をすくめる。ファインはそんなアステに誰かの面影を感じるのか、イラついてきたような様子で口を開いた。


「じゃあどうすりゃいいってんだよ?」

「そりゃあもちろん、この糸を燃やせばいいのさ」


 アステはドヤ顔で言うが、どうにも三人にはピンとこない。


「つまりだ――この糸は導火線で、火妖精は火種ってこと。火妖精に火を起こさせればこの糸が端から燃えていって、最終的には無事エドのところで着けるって話だよ」


 想像してみれば、たしかにそれで行けそうな気もする。


「でも、それって一瞬なのでは……?」

 

 ティアーネが気づいたことを口にすると、アステはニヤリと笑った。


「――――ということで、足の速い人、だーれだ?」

LI〇Eに来た出会い厨にどう対応しようか悩んでたら執筆止まってました。涙は止まらない。

評価・ブクマ登録していただけると作者が"寝るまでは今日だから"という理論で今日中に完結させます。

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