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28. marriaとティアーネ

 marriaがPhiisに告白しようと思ったのがいつかは分からない。

 理亜の記憶を覗いてみても、明確にいつ彼女がPhiisのことを好きだと気付いたのかは分からなかった。


 ただ、理亜にとってPhiisが初めての心の底から気を許せる人だったのだろう。

 それがネットで出会った人というのは、なんとも不思議ではあるが。


 とにかく、その少し焦り気味な感情のままに、理亜……marriaはPhiisに告白した。それがあんな事件を引き起こすとは知らないまま。


『私、フィースさんのことが好きなんです』


『すみません、、。びっくりさせてしまいましたよね、、』


 急に恥ずかしくなって、そんなチャットを打った直後、目の前の画面が真っ黒になる。

 暗くなった画面には、自分の後ろに彼氏が立っているのが見えた。

 背筋が凍る。


 今日は来ないって言ってた……よね?と聞くと、連絡忘れてた、ごめんねと返される。

 慌てて携帯を見るが、やはり連絡はない。

 ゆっくりと後ろを振り向けば、コンセントのコードを持ったままの彼氏が目に入る。つい先ほどチャットの内容を見てしまった彼が、怒ってコードを引き抜いたに違いない。

 やけに表情がないのが、余計に怖かった。


 彼から淡々と質問をされる。様子から見るに、おそらく以前から薄々勘づいていたのだろう。

 連絡を忘れていたというのも嘘だ。理亜もそれに気づいたのか、自分の不注意さを後悔するように唇を噛んだ。

 彼が近づいてくる。

 その目に殺意のようなものが宿っていくのを感じて、理亜は必死に謝った。


 だが、あんな決定的な瞬間を見られた上で、話を聞いてくれるわけがない。あの告白は本音じゃない、なんて言い訳もするが、そんな単純な嘘に惑わされるような人ではなかった。

 むしろ、それが彼を余計に怒らせたのだろう。

 理亜を床に押し倒した彼は、手にあったコードを思いっきり引き寄せると、その首にコードを巻き付ける。

 同時に引っ張られたゲーム機が音を立てて倒れる。理亜には、彼の力に抗うこともできなかった。


『ごめんなさい、ごめんなさい……私が悪かったの。だからお願い、やめて…………殺さないで』


 泣きながら懇願するも、もう遅い。

 彼氏が自分のしたことに気づいて手を放す頃には、理亜はすでに息をしていなかった。


 エドはいつの間にか止めていた息を吐く。自分があんな穏やかな死を迎えた裏側で、彼女はこんなにも辛いことを経験していたのか。

 これで、初めて会った日ティアーネが言ったことは嘘なのだとはっきりしたが、なんとも言えない感情が心に残る。

 嬉しくないと言えば嘘になる。だがしかし、それが結果的に彼女を殺してしまったのだ。


 場面が変わり、舞台は今いる世界へと移る。

 幼い頃のティアーネは、金髪の可愛らしい女の子だった。


 あんなことを経験してなお、ティアーネは優しく素直に言うことを聞くいい子だった。

 いや、むしろあんなことがあったからこそ、他人に嫌われないよう更に慎重になっていたのかもしれない。


 高圧的なところのある新しい母のことは、昔から恐れていたようだ。

 ティアーネは前世の記憶がある分、当然幼子にしては頭がいいので、才能があると思われている分母からの期待も大きかっただろう。

 学問も魔術も、徹底的に叩き込まれた。

 それ自体は、ティアーネにとってそこまで苦になっていなかったように思う。特に魔術に関しては楽しそうに授業を受けていた。


 ティアーネが十六歳のとき、初めて母が付き人であるナビスを連れてきた。ナビスが言っていた通り、ティアーネはナビスを抱きしめて笑いかける。

 二人は良好な関係を築き、ほどなくしてナビスは初めてティアーネのために聞いた神の声を伝える。


 内容は、Phiisがエドという男に転生しているというものだった。

 ここでようやく、ティアーネも千里が転生していることに気づいたのか。

 会いに行けるなら今すぐにでも会いに行きたいとティアーネは願ったのかもしれないが、王女という身分では自由に外を歩くこともままならない。

 神様も残酷なのですね、と小さくティアーネはこぼす。


 しかし本当に残酷なのはこれからだということを、ティアーネはまだ知らなかった。

友人に最近の後書きが雑と言われました。訴訟。

評価・ブクマ登録していただけると作者が今日の夜ご飯にカレーを作ります。

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