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ダメカワピンク救世主伝説/  作者: 人藤 左
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vs『アリアドネの蜘蛛の糸』アンナ・アリア=ドネドミネ/❤︎

「――友達だから、さ。ケンカしよっか、アンナちゃん!」


 説得は無意味だ。だからひとつ、お互い言葉以外でぶつかってみよう! ……って思ったんだけど。


「パ」ル」マ」さ」ん」!」


 アンナちゃんが応えるまでに、ボクは『アリアドネの蜘蛛の糸』の能力の一つ、太さも速さも長さも細さや硬ささえも自在だという糸の攻撃によって、六度の致命傷を負った。


 ……え? 能力の一つ? で出たやつでボク生身(や、生身っちゃ生身なんだけど)だったら六回だったの?


「全然効かないよ、アンナちゃん!」

 虚勢である。


 細かい観察や分析は『ラプラスの魔』に任せて、ボク本体は何かの間違いで死んじゃわないように死ぬほど痛いのを我慢して意識を保つ。


「ぎ、ぃっ」


 指先から細々と、左半身だけが細切れにされる。幸い断面がキレイなので回復も早い。


 アンナちゃんに近付こうにも、啖呵切ってからこっち足首には常に切断判定がある。離れてはいないが、繋がっているわけでもない。これではロクに歩けない。


「糸を……血で――!」

「無駄ですよパルマさん。それも対策済みです!」


 ボクの血が付いた糸は、その端からはらはら解けて、アンナちゃんまで届かない。それに質量もないから、「吸収しようにも重さがないですから」……、

「もちろんもちろんもちろん、パルマさんが何を企んでも、わたしにはわかります!」


「っ……」

 ボクに絶え間なく触れている、ただそれだけの赤い糸。これだけはアンナちゃんと繋がっていて……糸電話? なにそれ? 

 『ラプラス』からの報告によると、これでボクの心を読んでるらしい。



 作戦タイム!


 ……アンナちゃんに心が読まれてる以上、作戦らしい作戦は通じない。


 ……わかっててもどうしようもない攻撃をしようにも、『ラプラスの魔』で引用できそうなものはないようだ。


 ……質量を奪っての力押しはさせてくれない。


 ……なんとかして触れて、地竜みたいに爆破するのは、多分できるけど当然ダメ。


 ……『統一言語論』は――すでにアンナちゃんが交渉の立場に立っているし、無理やり命令する使い方はヤダ。



 打つ手なし、である。

「打つ手がないなぁ……」

 声に出た。


「で、も、さぁ!」

 転げながら前に出る。


「悪いことしようとしてるのを、止めるのが友達だから!」

 毎秒毎秒細切れにされながらも、右耳で揺れるイヤリングは無事だ。


 ボクの相手はアンナちゃん。だから、そこに甘えさせてもらう。


 意味ありげに中空にかざした右手。もちろんブラフ。二の腕あたりから絞るように切断され、ひときわに吹っ飛んだ。


「――パルマさん……⁉︎」

 傷口は塞がらない。腕も戻ってこない。


「ぜんぜん、痛くない」

 今度は虚勢ではない。


 『スワンプマン』のキモは、それがボクかボクじゃないか……だ。地竜のときも試したように、ボクの身体の一部なら痛いし治るけど、その逆もあるってことだ。


「ぜんぜん痛くないよ、アンナちゃん……」

 そして。


「まさか……っ!」


 いっつもダメージはすぐ回復させてたから、もしこのまま腕がないままだったり、他のとこも切られたままにしておくとどうなるのか。それはボクも知らないことだから、どれだけ心を読んでもわかんない。


「そのまさか! ちょっと命、張らせてもらうね!」


 腕一本、されど一本。瓦礫の上を走ろうにも、バランス感覚が崩れて転げ回ってしまう。受け身も上手く取れないので傷が増えていく。


 不恰好ながらも、あと数歩のところまできた。


「またそんな簡単に、命だなんて!」

 アンナちゃんの手のひらから、無数の糸が放たれた。それらは蜘蛛の巣の形を作って、ボクを取り囲む。


 進みは止めない。包囲網に触れた端から切れて、血が流れ出た。


「ホントのほんとの本当に、死んじゃいますよ⁉︎」

 網がほどけて、今度は鞭だ。二、三度しなって、ボクに振り下ろされる。


「な、んで……」


 目をつむりもしないボクに対し、鞭打は鼻先で解除される。それに続いて、アンナちゃんを吊り上げていた糸も緩やかに(ゆる)んでいった。


「そりゃボクも、誤魔化したりウソついたりしちゃうけど。でも、アンナちゃんにそうするのは違うから……」


「パルマ、さん……」

「だから、友達とくらいはちゃんと向き合おうって。それだけ」


「ふ、ふふっ」

 地に足をつけたアンナちゃんはそのまま座り込み、手を口元に当てて笑いをこぼした。


「なんだよ。笑うなよ」

「笑ってませんよ、ふふ……っ。ただ、その、おかしくって、嬉しくって……」

「笑ってんじゃん」

「えぇ、えぇ。そうですね。パルマさんも笑っときませんか?」


 両頬をつままれ、ちょっと持ち上げてくるアンナちゃん。


(いひゃ)(いひゃ)い……」

「ふふふふ、可愛らしいですよ、パルマさん……」

「ちょっ……切り傷も広がってめっちゃ痛いから待ってって」


 ……あ。


「ぃ、っ……」

 痛いって認識した途端、全身に電気が走るような感覚がして、『スワンプマン』が発動。


「ぅ、あああああ! めっちゃ、痛い? のかこれは! なんかヘン!」


 溜まってた痛みも返ってきて、ボクはアンナちゃんの胸に抱かれてしばらく悶えることになった。

 これは友情なのか? 百合なのか? 頭脳戦放棄して気合いで何とかするピンク髪ちゃんが書きたくて書けました


感想、評価、ブックマーク、最後に頬をつねったあたりなどいただけましたら幸いです

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