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ダメカワピンク救世主伝説/  作者: 人藤 左
15/35

後方強火理解者お嬢様(寝言とか全部聞いてるタイプ)/♡❤︎

「なんも解決してないんだけどね」


 お酒では片付かない問題もある、ということだ。


「あの、そろそろ家に帰りたいのですが……」

「うん? ダメだよアンナちゃん」

「それは、その……どういう……?」


 たまに変な圧力発するなこの子……。


「もし、もしもしもしもパルマさんさえよければ、私のところに食客にいらっしゃいませんか⁉︎ それでしたら、私たちは一緒ですよね!」


「いや、そうじゃなくて……」

 勢い立ち上がったアンナちゃんを、肩を掴んで座り直させる。


「……っ」

 キュン顔をやめなさい。


「そういえばパルマさん、どうしてフードを被ったままなんですか?」

「恥ずかしいから」


 あとちょっと目深に被ってると、アンナちゃんの育ちに育ったアンナちゃんをチラ見してもバレないから。


「せっかく『庭』から帰ってきたってのにこのザマじゃ、笑われて終わりじゃん。何より、朝からずっと、ゲゴのとこの奴らがウロウロしてる。変な恨み買っちゃったみたいだし、アンナちゃんはできるだけボクから離れないで」


「ですから、わたしの屋敷にと……」


「やだよ。かっこ悪いじゃん」

「見栄っ張りなんですね、パルマさんって」

「そんなんじゃないよ。あ、お姉さん、おかわりちょうだい」


 それからずっと、アンナちゃんはニコニコ笑っていた。


 問題は片付かないが、気を紛らわせることはできる。そうして心機一転、うまくいくよう考えるために、今のうちに酔えるだけ酔っておく。



「それでねそれでね、イザヤったら本当はやたらめったら話すんだよ。でもいつもの調子だから、子守唄みたいになっちゃうんだね、これが。

「撫でるのも好きだよ、絶対。ボクも顔を合わせるたびに触られるし――もちろん当たり障りがないとこだよ? 腕とか髪とか足首とか。当たるところも触れるところもなくて悪かったな!

「結局優しいのがズルいんだよね。昨日もなんかボクの分みたいなクッション増えてたし。あれでボクが帰ってなかったらどうするつもりだったんだろうねぇ。えへへ」


◆◆◆


「……………………」

 なんで昨晩あんなにお酒飲んだんだろう。


「おはようございます、パルマさん」


 なんかよく覚えてないけど、あのあとアンナちゃんと同じ部屋に泊まったらしい。そのアンナちゃんといえば、風景画のように美しい微笑みを貼り付けるばかりだ。


「お酒、弱いんですか?」

「好きなのと合わないのとはまた別なんだろうね……」

 飲み始めると楽しくて、その楽しさが今のつらさより勝っているのが悪い。


 …………そうだ。仕事ないんだった。


「今更なにして暮らせっていうんだよ……」

 頭を抱えるのは、将来への不安からだけではない。二日酔いだからだ。


「そうだ、アンナちゃん。このハンカチに見覚えない?」

 やれることをやろうと、ポーチからハンカチを取り出して、アンナちゃんに手渡す。


 ボクと同じく『庭』送りになったお兄さんから借りた、豪華な刺繍の使いにくい逸品だ。 


「これは……シトナイン家の家紋ですね。なぜこれを?」


 事情を話すと、今日初めてアンナちゃんは表情を変えた。それが悲しそうに目を伏せるものだったから、ボクも少し悲しくなる。


「そういうことでしたら、案内いたしますけれど」

「さすがに昼間から堂々とやらかさないだろうしね、ゲゴの部下も。お願いしていい?」

「はい、パルマさんのためなら」


 ……昨日とは違う圧を感じるな。ま、いっか。

 お酒でうだついてるピンク髪ちゃんもいいなぁって思って書きました


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