12. 隠し事 5
区切りが悪かったので、ちょっと短めです。
なんでそうなった。
一体何があったのか、聞いてみても良いだろうか。男同士の話に口を出すのは憚られるが、この現状は一体何故だ。
空になった缶ビールを潰し、丁度いい高さになった空き缶に腰掛けて、武と談笑するソレイルは、男同士の気安さなのか、気が合ったのか、とても楽しそうにしている。
ついでに言えば、買ったビールの数より空き缶の数が多くなっているし、見たことはない洋酒の瓶・・・・・恐らくジンだろうか。それともう1本、濃い琥珀色の液体はウイスキーかブランデーかその辺りだろう。瓶は2本とも既に1/3位減っている。新しいグラスが2つ程出してあり、氷が入っている分を差し引いたにしても、結構な量が並々と注がれている。
「お、月子!お前の分はちゃんと残してるぞ?で、風呂上がりに悪いんだけど、オツマミをもうちょい追加で。風呂は俺が洗うんで、何でもいいから塩気のやつ頼む!!」
軽く右手を振る武は、ニヤリと笑って缶に座るソレイルのおでこを指先でつついては、こそこそ何か話している。
隠し事は無しでは無かったのか。いや、でもここはやはり男同士の話だからあまり口を挟まない方がいいだろう。どうせ女にはわからない何かだ。
「ツキコ!おフロ、タケルと入る、する」
「ちょっと、2人ともどれだけ飲む気なの!?それにこんなに飲んでお風呂に入るとか、危ないんだからね!?」
「これ位じゃ酔わねぇよ!件の魔法ってのを見せてもらうから一緒に入るんだ。魔法だぜ?!やっぱこの目で見たいだろ??」
「それは、私も、わかるんだけども・・・・・」
確かに自分も初めての時は同じ事を思ってしまつたので、これに関してはあまり何も言い返せない。とても気持ちがよく分かるし、なんならもう一度見てみたい。
「イッショ!」
幼い子供の様に左手を上げて元気に言う小さな男は、確かに酔っていると言う風ではない。しかし、飲んだアルコールはどこへ消えたのか。相変わらずお腹は1ミリも出ていない気がするのは腹立たしい。
色々納得いかないが、2人が仲良くなってくれるのは良いことだ。たぶん。
「そんな睨むなって!お前が長々風呂に入ってる間に、こっちはソレイルに言葉教えてたんだ。こいつおもしれぇよな!ちょっと天然だろ、絶対」
「わかる・・・・・可愛いよね」
「わかる」
「カワイイ、チガウ!」
「まぁ、オツマミの件はわかりました。でも長湯は禁止ですよ?こんなに度数の強いお酒を飲んで、危ないんだから!あと、タケル君はソレイルさんをちゃんと見ててね。あの小さな身体のブラックホールな胃袋にどれだけ入ってるのかしらないけど、急に酔いがまわるかもしれないから」
「わーかってるって!な?ソレイル!」
ソレイルは、返事の代わりに胸に握り拳を当て、物語に出てくる騎士の様なポーズで軽く頭を下げた。
「お、格好いいなそれ!挨拶みたいなのか?」
「騎士、する。ケイレイ。マモル、ヤクソク。命、カクゴ、する。忠誠、チカウ」
「・・・・・うん?」
「うーん。たぶん、命を捧げる覚悟をもって忠誠を誓う的意味・・・・・かな?ソレイルさん騎士だから」
「意味が重い!」
「ここ、ツキコ、城。ツキコ、城主!命令、絶対!」
「???」
「最近時代劇にはまってるのよ・・・・・たぶん、私がこの城(家)の城主だから、命令は絶対だって言ってるっぽい」
時代劇がお気に入りの理由の1つに、ソレイルの世界と近い武士道精神が気に入った事も含まれている。某有名な主君の汚名を濯ぎ、無念を晴らす話や、忠義に厚い内容の物語を、説明しながら見た時には、丸めたティッシュを抱き締めて見ていた。
騎士道と武士道、どちらにも似たところがあったのだろう。
ソレイルの家は辺境の伯爵家で、国の境を護っているのだそうだ。だからなのか、『護る』事には拘りがあるようで、歴史上の内容をドラマにしたもの等を『勉強』と言ってはよく観ていた。
どうやらテレビは良い教材になっているようだ。
「だから、重いって!!」
「オモイ??」
頭を傾け、自分の小さな身体を見下ろすソレイルは、絶対に分かっていない。
「考え方がだよ!あークソ、おい・・・・・とりあえず風呂でまた言葉遣い勉強すんぞ?」
「ベンキョ、する。アリガト」
ペコリと頭を下げたソレイルに、タ
武も満更ではなさそうだ。
「わかりました。それなら、お互い気を付けて2人で入ってもらいます。何かあったら直ぐに呼んでくださいね?」




