魔獣
記録に残っている魔獣には様々な種類がある。
大きな翼で空を駆け、鋭い爪のついた脚で馬ごと騎士を空に掴み上げ、上空より落とす鳥型の魔獣。
水中より鎌首をあげると一瞬で噛み付き、そのまま水中へと引きづり込む水性型の魔獣。
さらに、もととなる獣種さえ分からなくなるほど変貌してしまい、定種して潜む魔族と言われる恐ろしいもの。
獣が魔に狂い、突然変異したそれは、例外なく人びとに襲いかかると言われていた。
国はもっとも魔獣を危険視し、自国の騎士だけでなくハンターギルドや傭兵団にまで破格の報酬を約束し魔獣狩りを要求する。
村だけでなく街まで滅ぼしてしまう恐ろしい魔獣はまさに厄災の象徴であり、人びとはもっとも怖れていたのである。
今ゼクトの街を襲撃し、破壊している魔獣は3体。
その魔獣を一言で表すならそれは巨大な黒き獣。
周りの屋根の軒近くまである姿からして3mはあるだろうか、歩くたびに巨大な体が生む重みで大地に爪跡を残す。
一見すると犬のような体型だが、血のように紅く光る両目がそれを普通の獣ではないとわからせる。
「グギャアァァァーッ!!」
「ゴォォーフッ」
「ギャギャッ!」
3体の魔獣がまるで道端にある邪魔な石コロを蹴飛ばすかのように建築物を破壊し進む。
時折人の悲鳴が聞こえるが、魔獣は足を止めることなく街の中心部へと侵攻していた。
すでにゼクトの街は北の門より中心部に向けて壊滅的な被害をこうむっていた。




