願うのは
ルティアと結ばれ、ルルが生まれ、親になる。
源太はこれ以上ない幸せであり、これ以上は望みません、ありがとう神様と感謝した。
それから、ルティアは事情により源太とルルの側から離れてしまったが、源太はルルを必ず守るとルティアに誓う。
(俺はルルの父親で、ルルは俺とルティア、2人の子供だから)
そして源太は自分の父と母の事を思い出した。
(ああ・・・そうだ俺は・・・
俺はいつも両親に見守られていたんだなあ
いつも周りと自分を比べて気づかなかったんだ、俺は
母さんがいないことだけじゃない
父さんが仕事ばかりしていたこともだ
どんなに忙しく働く両親でも、俺にはご飯を毎日用意してくれていたじゃないか
お風呂も入れたし、トイレに困ることもない
いつも何も考えず安心して寝れる家が自分にはあったんだ
母さんはいなくなったけど、最後の夜にゴメンねゴメンねと泣いていたな
謝るなら、居なくならなければいいのにって簡単に考えてたよ
俺が親になって・・・それがどれだけ辛いことか分かった
父さんはいつも仕事で俺に構ってくれなかったけど、俺は不自由だけはしなかったっけ
必要なものは何も言わず買ってくれたし
欲しいものは聞かれなかったけど、言えばだいたい買ってくれた
学校に行かなくなった俺を父さんは叱ったけど、そのうち何も言わなくなった時に、俺はついに愛想が尽きて諦めたんだと勝手に思ってた
だけど・・・普段通りずっと・・・変わらずに側に居てくれたんだよな)
(あぁ・・・)
「叶うことなら、親孝行をしたかったなあ」
ダンはいつしか泣いていた。
女神は悲しそうに俯くと、
「それは・・・申し訳ありませんが・・・」
と否定する。
ダンは慌てて女神を見ると、
「いや、違う、すまん、つい漏らしちまったんだ」
と頭を横に振る。
「ああ、そうだ!女神様、よろしければ俺を見てたようにルゥのやつを見てて下さい」
ダンは微笑むと、そう女神に言った。
「きっと楽しいですよ、なんていったって俺の娘ですからね!」
女神は微笑むと、分かりましたと頷く。
世界を染める白は、時間を得たのか雲が流れるように動き薄れていく。
「ああ、時間みたいですね、ちゃんと何かを願うんだったなあ」
ダンは苦笑いするが、そんなダンに女神が宣言した。
「あなたに願わせてもしょうがないのは分かっていました」
「ですからあなたの言う通り、あなたの忘れ形見を見続け、見守りましょう」
(神様がルゥを見守る・・・)
ダンはびっくりするが、慌てて女神に深く頭を下げた。
「ありがとうございます」
ダンの身体も雲と一緒に薄れていく。
「こちらこそありがとう、轟源太」
「あなたが居た世界は本当に楽しい世界でしたよ」
やがて源太は消えて、一人残された女神が泣いていた。
ダンは、轟源太は、こうして人生を全うしたのである。




