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轟源太

ドンこと轟源太は、団塊世代の両親のもとに生まれた。


両親は親のもとを離れて地方都市へ集団就職し、2人はその地方都市で知り合い結婚した。


2人はとても仕事熱心で、源太は物心つく前から保育所に入れられて育つ。


小学生になったある日、母と父がけんかをしていて、母は次の日家を出ると二度と帰って来なかった。


淋しさから母を想うことを辞めると、源太は5年もしないうちに母の顔を忘れてしまう。

思い出したくても思い出せない悲しい思い出だ。


中学にあがった源太は、他の小学校から統合されて大きくなったクラスで同級生に虐められた。


特に暴力を振られたわけでなく、ただ誰にも相手をされなくなっただけ。

母がいないこと、仕事ばかりの父は法事など近所付き合いが悪いこと、他の家庭と違う源太がいじめられるきっかけはいくらでもあった。


源太はやがて病み、学校に行かなくなる。


父は最初は無理にでも源太を学校に連れて行こうとしたが、源太が本気で嫌がるとやがて何も言わなくなった。


ある日、源太が気づくと、中学の卒業証書が玄関にあった。


中学を知らずうちに卒業した源太は、少し遠くの飲食店に勤めることになる。


父が店主と知り合いで、店主がどうやら送り迎えをしてくれるらしい。

時給は500円と最低賃金すら下回っていたが、自分のお金として誰にも気にしなく使えることが今までのひきこもりから自由を得たようで源太は嬉しさを覚えた。


やがて原付や車の免許を取ると、いろいろな仕事をして、いろいろな出会いを経験し大人になった。


20代前半、仲良くつるんでいた友達から突然騙される。


源太は見たこともない借金を抱えると、当時付き合っていた彼女も、他の友達も、周りからは誰も居なくなった。


そんな時に異世界に落ちる。


最初は助かったと思った源太は、やがて簡単に絶望した。


言葉が通じないのである。


街の外に出れば見たこともない動物に突然襲われて逃げまどうことになり、死に物狂いになりながら街に帰ってもどうして良いのか分からない。


お腹が空いて身体が動かなくなる。


死ぬことに恐怖を感じることは、生きたいと願うこと。

死にたくない源太は生きるために物乞いに近い生活をし、やがて売られた。

食べ物をもらい、優しくされ、ついて行った先は訳の分からない集団が訳の分からないことをさせられている場所だったのだ。


ただ穴を掘り、ただ石を運ぶ、それだけ。


何を作っているのか、いつまで続けるのか分からない。

日が昇り、沈むまでひたすらだ。


源太は、初めこそ泣き叫んで働くことを拒否したが、振られた鞭の痛さが泣くの忘れさせるくらい痛く、誰かに泣くのは辞めるしかなかった。


みるみる体重は減り、身体はボロボロになり、夜中、声を出さずに泣いた。


どうして俺がこんな目に!

神様!

もとの世界の神様でも、この世界の神様でもどちらでもいい!

助けて!

助けて下さい!


源太は、毎日毎日祈り、願い続けた。


5年間も。


だが不衛生な環境で周りの人達が次々と消えていき、源太自身も身体中に発疹が広がってただれて膿むと立つこともできなくなる。

ここまで外見が悪くなるとうつるのが怖いのか、誰も構わなくなった、源太に今まで働かせていた者さえも。


そして。


ああ死ぬんだと思ったところで源太は救われたのだ、

ルティアに。


ルティアに出逢った源太は、まるでファンタジー小説の主人公のように華麗だった。


やる事なす事が全て上手く行く。


たまの不幸すらヒロインのような彼女が側に居るだけで幸福に感じていた。

世界が色づくどころではない、源太自身も別の何かになったように感じていた。


今までの不幸が帳消しになり、逆に源太を、自分はなんて幸せなんだろうと思わせた。


やがてルティアとの間に子供が生まれる。

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