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神の間

白い部屋にドンがいる。


見渡す全てが白く、どちらが北で南なのかも分からない。


そういえばどちらが上で下なんだろう、そんなあり得ない疑問をドンが抱く。


やがていつのまにか、ドンの前には女が立っていた。


美しい女だ。


顔も体も整い、非の打ち所がない。


だが何も特徴は無く、均等に整っただけとも言える。


(ここはあれだな、神様の部屋ってやつで、この女性が女神なのだろう)


ドンが不思議と理解する。


美しい女神がドンに、口を動かさずに話しかける。


「あなたに謝りに参りました」


ドンが不思議そうに答える。


「神様が謝る?この世界に無理矢理呼んだと言うんですか?」


女神は表情を変えず、再び話し出す。


「いいえ、あなたはただ落ちてきただけにすぎません」


ドンは、ではなぜ?と促す。


「あなたを元の世界に戻そうと思えば何時でもできたのです」


女神は、おそらくドンが願っていたことを簡単にできたのだと話した。


「それはあなたが謝る事じゃない」


今度はドンが話し出す。


「俺が願って頼むことであり、それを叶えないからってあなたを恨むのは御門違いですから」

「それに、何時でも出来たとしても、何かしら代償はあったのでしょう?」


ドンが女神に頭を下げた。


「あなたに自分勝手に願ったことを謝ります、申し訳ありませんでした」


女神がここで微笑み、表情を出した。


「あなたは本当に不思議な人ですね」


今度は女神が親しげに話してくる。


「謝罪を、謝罪をもって返すなんてこの世界にはなかなかありませんよ」


女神が胸に片手を当てる。


「この世界にあなたが落ちてきてからずっと私はあなたを見ていました」


「あなたが苦しむ姿も、あなたが喜ぶ姿も」


「当たり前にこの世界を生きる者ばかりの中で、あなたはひとときひとときを大切に生きていましたね」


「そんなあなたを嬉しく思い見てるうちに、やがて私はあなたが居ない世界を考えることができなくなりました」


そいつはまあ、光栄だけども・・・ドンが戸惑う。


「しかしあなたが死に消える運命は変えることは出来ません」


胸に置いた女神の手が、苦しそうに胸をつかむ。


「ですのでせめてお礼に何かあなたの願いを叶えたいと思って出しゃばって来たのです」


女神はじっとドンを見つめる。


「少し考えさせてもらっても?」


ドンが聞くと女神は頷く。


ドンは深く深く息を吸い、やがてゆっくり吐き出すと、自身の人生を思い出し始めた。


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