第二十二章 『魂の鞍』
フィールドを歌うわ♪
二月――
ラティエナ国は沿岸諸国連合の中立地帯【ルイネハンガス】にシェロ・ガノッサス部隊を進行させた。
「――これにより、外洋各国の反発が予想されます」
「うむ」
薙は御前会議で重臣を招集した。
「先遣部隊には、如月八房中尉と秋雲ルリタニア少尉――」
薙が言葉を遮った。
「いや、二人とも二階級特進だ」
「では、如月少将とルリタニア大尉。麾下の部隊が大坂より、旗艦ローレンバルトに乗艦及び、出発――」
ルイネハンガスはジステッドの西方面に当たる。
「ふむ。二人とも、帰還すれば英雄だな」
「間もなく、ルイネハンガスへ到着します」
伝令が世話しなく御前へ出入りする。
「報告致します。クックルーン法王様より伝令――」
「何と?」
柿寄が使いを寄越したらしい。
「作戦を成功されたし。貴軍の奮闘に期待する……以上!」
この軍事行動は、ミッドガルズ大陸全てが見守っていた。
「特に敵対行動に打って出る国もないようです」
「そうか。それは助かるな」
間もなく絶対防衛圏に差し掛かる。ステルス迷彩【アトランティス】を展開する際、フリートエルケレスはこの辺りで中距離ミサイルの洗礼を受けた。
(ここから先は、魔科学の未踏の領域だ……)
「陛下、外洋は目前です」
「喜ばしいな」
ざわ……ざわ……
重臣達は口々に勝利を確信し始めた。
「――外洋より急報!ルーラシアン元首【マザーグース】は、拒否権の発動を見送る見通し!」
『おお!』
一斉に感嘆の声が上がった。
「これも、我が軍を恐れての事かと存じます!」
「ならば、由し!」
後は、吉報を待つだけの情勢と相成った。
「ここからは、誰もが気を引き締めて事に当たる様に――」
薙は冷静に指示を出した。
「そして、我が軍団の精強さは目覚しい……諸君等の働きに感動している!」
皆が円卓の席を立ち上がり、薙に敬礼をした。
数時間後――
旗艦ローレンバルトはルイネハンガスの港に到着した。フリートエルケレスが寄港してから、五年以上が経過していた。之により、ラティエナ王国は悲願の外洋進出を叶えたのだ。
そろそろ終わります。




