第二十三章 『月のプリズム』
28日は二回更新します。
全26章の予定。
一夜明けて――
「眠い……」
昨日、薙は一睡も出来なかった。
「うーむ……」
色々な思いが込み上げて来たのだ。死んでいった同胞達が無駄死にでなかった証の為に――
「どうしたんだ?眠そうな顔して……」
王の間へ向かう途中、ナタルとすれ違った。
「いや、山城中将の墓前に花を添えようと思っていたところだ」
「なるほどな」
あの人ほど情熱的な愛国心の持ち主は居なかった。
「それと――」
「うん?」
薙は思案した後に言った。
「先代のプリシラの命日を、祝日にして今年は記念式典を行う」
今のラティエナ王国は、こういう配慮が行き届いていた。
「それは良い考えだ。姫さんも報われる」
「うむ……墓前で報告せねばなるまい」
次代を担う王家の器が試されている。
「ここから先は、残った者で進めて行くほかない」
「残された人間の務めだな」
感慨深い。あれからどれだけの時が経っただろうか――
「無血開城を果たしたのだからな、大使館も立てねば成るまい」
「これから、色々と大変だな」
色々とは、エリッサリアの空洞化を防ぐ為、四天王を回廊へ配置変更するなども含まれている。
「我が子と離れて暮らすのは、寂しさもあるかも知れないが――」
「いや、別に構わないぞ」
一応、こちらも配慮しておく必要がある。
「如月とルリタニア。二人にはしばらくルイネハンガスに残ってもらう。ゲリラなどを制圧する為だ」
実効支配を行わなければ成らない。
「そうか、分かった」
こうして、薙は再び足場を固めていく事とした。
パワファームに大卒選手を詰める仕事に戻るか……




