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隔靴掻痒

作者の気まぐれ発動!

いや、それよりもアクセス数が予想を超えてましたので、書いてみました。

皆さん趣味に素直ですね←


暗めです。

腐向けです。

オチなしです。

自己判断でお進み下さい。


では、物好きな趣味に素直な方はどうぞ。






何時も見る夢の内容が変わった。

それは日向コーチに打ち明けた夜から。

今まで同じ映像ばかりだったのが、その夜からずっとこの映像。

やっぱり俺は傍観しているだけ。

名前も顔の殆どもぼやけてわからない。

顔は口元だけしかハッキリしていない。

俺は〇〇〇〇の顔が知りたいのに。


「※※様、私は戦争が終わればこの役職を辞退しようと思います。」

「…何故だ?俺が嫌いになったのか?」

「そんな事、私がもし魔術に操られても、※※様をお嫌いになる事は有り得ません。」

「だったら、辞めるなよ。俺の傍にいてくれよ。」

「ええ、いますとも。私の命が尽きるまで。」

「……矛盾してるぞ?変な物でも食べたのか?〇〇〇〇。」

「私は至って普通です。

※※様。」


広いテラスのような場所に二人だけ。

遠くには煉瓦で造られた街。

更に奥には丘と山などの自然が。

〇〇〇〇は頭を悩ませる※※に優しく笑む。

愛しい者を見つめる時の笑顔。

恋人同士の柔らかく温かい空間。

※※がいるだけで〇〇〇〇は嬉しそう。

無邪気な※※も、〇〇〇〇が傍にいるだけでじんわり胸が温かい。

俺の胸も温かい。

〇〇〇〇は唇を引き締め、きっと真面目な顔をしている。


「私は、戦争の勝利後、※※様を攫います。そして、小さな村で一生二人で暮らす予定です。すると、今までのような豪勢な暮らしは出来ませんし、毎日働かなくてはなりません。主従関係が無くなり、私は『※※』と呼ぶしかありません。

私は、“主従”という鎖で繋がった関係は、もう嫌です。ですから、この犯行予告を聞いて、貴方様がご判断下さい。私を今すぐ辞めさせるか、私をこの場で殺すか、また」

「行く!一緒に、〇〇〇〇と逃亡する!俺を一人にさせるな!お前がいなきゃ、俺は一人ぼっちだ…。政略結婚させられて、好きでもない奴を娶るのは嫌だ!!」

「……後悔しませんか?」

「お前が俺を幸せにしなかったら後悔する。」

「ならば大丈夫です。一生をかけて幸せにしますから。」

「絶対だぞ。」

「はい、※※。」


二人は笑いあって、口づけをする。

〇〇〇〇は※※より高いから※※が背伸びしなくちゃならない。

けれどその苦労さえも二人は愛しく感じる。

抱きしめ合う二人は、これから先の幸せを夢見るように語り合う。


ここで、景色は一変する。


あの戦争が。

二人が死ぬ場面が。

俺が忘れないように。

俺が〇〇〇〇を求めるように。

俺が〇〇〇〇を探すよう促すように。

果たせなかった約束を、今の俺が叶えさせるように。


――パチ。


見慣れた自分の部屋の景色。

ベッドの上で横になって寝ていたらしい。

目から流れるモノは止まらなくて、胸の痛みも治らない。

そろそろ涙を止めないと脱水症状になるから、顔を洗いに起き上がった。


今日は久しぶりに何もない日。

休みの日なのだから、今日は部屋の掃除をしよう。

シーツが涙で染になってしまってるから。

シーツや洗濯物を洗濯機に投入。

乾燥機付きだから干さなくて良い。

重宝してる。

その間部屋の片付け。

散らかってる漫画やゲームを元の場所に移動。

弁当やお菓子とかのゴミを袋に入れてゴミ捨て場所に。

ベッドは除菌スプレーで。

掃除機で掃除してると、携帯電話が鳴った。

メールの音楽。

誰だろ、親友の拓哉かな?

開くと、意外な人からだった。


[日向だ。今お前の部屋の前にいる。]


……へ?

何で日向コーチが?

手にある掃除機を投げ捨て、つまずきながらも玄関の扉を開ける。

扉に体当たりする勢いで開けるがチェーンをしていたのを忘れてて、衝撃が跳ね返る。


「大丈夫か?」

「は、はい…すみません。」

「手土産のケーキ屋のプリン。夜は甘い物好きだろ。」

「わぁ、ありがとうございます。」


箱に入ったプリンを受け取り、日向コーチを家に招く。

部屋の惨状を思い出し、慌てて掃除機を片付ける。

大笑いする日向コーチを後ろに、顔を赤くさせてテーブルを出す。

恥ずかしい。

こんな思いするんだったら、普段から掃除しておくんだった。

拓哉だったら気にしないのに。

まだ喉を鳴らして笑ってる日向コーチは胡座をかいて座る。

俺は羞恥心から正座。

三つ入ったプリンを二つ取り出し、プラスチックのスプーンと共に二人の前に置く。

しかし、何の用で日向コーチは俺の家に?

俺何かしたっけ?

くそぅ、まだ笑ってる。

横目で睨むように日向コーチを見る。

……あれ?


「悪い悪い。笑い上戸で一度笑うと止まらないんだ。

今日は、“突撃日向コーチ訪問”一日目だ。」

「二日目があるんですか!?」

「まあまあ、それはお前次第だ。

で、最近悪夢はどうだ?泣き腫らした跡が無い日に会えるのはまだみてぇだな。」

「はは…すみません。」


その事でわざわざ家庭訪問してくれたのか。

申し訳ない事をした。

講師やコーチの仕事で忙しいのに。

たった一人の生徒に気を遣わせてしまう。

心配かけないよう、出来るだけ明るく笑む。

これだけは完璧なんだ。


「もう平気ですよ。日向コーチに話してから、見なくなりました。ただの疲れからでしょう。

心配かけてごめんなさい。」

「……お前って嘘つく時、絶対笑うよな。」

「へ?」

「心配かけたくないんだろうけど、お前は人に殆ど甘えねぇだろ。

あんまし溜め込むな。体壊すぞ。」

「……すみません。悪夢は、本当は毎日見てます。けど、内容が変わりました。」

「ほう、どんなだ?」


日向コーチはプリンを食べながら話を促す。

俺は拳を膝の上で握りしめ、俯いたまま話す。

同じ二人の男の事。

顔の口の部分だけハッキリ見えるようになった事。

二人の会話。

〇〇〇〇の約束。

※※の返事。

幸せそうな二人。

また景色が変わり、戦場になる事。

これは前と同じ映像という事。

毎朝涙を流している事。

胸が痛く苦しい事。

〇〇〇〇を探したい事。

〇〇〇〇に恋心を抱いている事以外は、全て話した。

日向コーチは、黙って最後まで聞いてくれていた。

意味不明な内容なのに、真剣に。

空気を変えるように、苦笑しながら喋る。


「俺、どうかしてますよね。忘れて下さい。あ、コーヒー煎れます。」

「この話、他の奴には?」

「あ、日向コーチだけです。拓哉や家族には、ちょっと…」

「拓哉には止めておけ。後々面倒になるから。」

「?わかりました。」


拓哉と親友なのを日向コーチは知っている。

スカウトに来た時、拓哉も一緒だったから。

何故かお互い驚いた顔してたけど。

それから拓哉と日向コーチが会ったかは知らない。

ブラックコーヒーを二つテーブルに置く。

勿論インスタントコーヒー。

日向コーチは考える仕草をして、俺は空になったプリンをごみ箱に捨てる。

空を見上げると、青かった空が橙色に変わっている。

大分時間が経っていた。

この橙色の夕焼けは、どこか戦場の時の空に似ている。

寂しくて、切ない気持ちにさせる、色。

ポツリと呟いた。


「この夕焼け、戦場の時と似ています。」

「…確かにな。」

「え?」

「あ、いや、戦場でよくありそうな夕焼けだなぁ、と思ったから。悪い悪い。」

「そうですか。

あ、後一つ。」

「何だ?」

「日向コーチの口元、何だか従者の方に似てます。優しい感じが。」

「………。」


俺が嬉しそうに語ると、日向コーチは驚愕の顔を作る。

俺はその予想外の反応に驚いて、固まってしまった。

お互い、沈黙。

外からは車の音や烏の泣き声。

オレンジの光が部屋に差し込み、夕刻いう事を教えられる。

日向コーチは何か言おうと口を開いて、しかし迷いがあるのか再び閉じられた。

頭をブンブン振り、日向コーチは深い溜息を吐いた。


俺は一つの疑問が頭を過ぎる。

家を知っていたのはまだいい。

名簿に登載されているから。

ケータイのアドレスと電話番号は本人と交換した。

家庭訪問も、きっと他の奴にもしている。

…けどさ、俺は何時、日向コーチに“甘い物が好き”と言っただろうか?

練習中は水分補給しかしていない。

食堂で甘い物食べた記憶もない。

拓哉に貰って食べたとしても、日向コーチは見てないはず。

……どうして?

教えて下さい、日向コーチ。

貴方を見ていると、じんわり胸が温かいです。

〇〇〇〇の笑顔の時みたいに。

隔靴掻痒の感が、今あるんです。

どうか貴方から教えて下さい。

隔靴掻痒(カッカソウヨウ)、意味はご自分でお調べ下さい。


いやぁ、まさか続編を書くとは思っていませんでした。皆さん変わってますね~←お前もだ

一応、夜が気づき始めました。日向コーチは悩め悩め。フヘヘヘ←

拓哉と三角関係だったら美味しい、と思ってみたり。だから名前だけ登場。

まあ、続編を書くかはアクセス数次第。また予想を上回れば、『作者の気まぐれ発動☆』かもしれません。まあ、気長に。



ありがとうございました。

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