輪廻転生
暗いお話です。
腐向けです。
死ネタです。
主人公泣いてばかりです。
苦手な方はバックプリーズ。
大丈夫な物好きな方はどうぞ。
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これは夢。
最近よく見る、全部同じ夢。
餓鬼の頃からちょくちょく見てはいたが、大学生になってから頻繁に見ている。
壊れたビデオのようにリピートされる夢。
「※※様。こちらは日当たりが良いですよ。」
「そうだな〇〇〇〇。ありがとう。」
「いえ、貴方様が喜んでくださるのが本望ですので。」
「ハハッ!そうか。」
顔がぼやけて見えない。
俺の顔も相手の顔も、互いの名前も。
二人して笑い合ってる。
幸せな空間。
主従関係なんだって言葉遣いでわかる。
信頼しあってるって空気でわかる。
お互い好きなんだな、って何となく感じる。
互いの手を絡める指先とか、寄り添う肩とか、何故か俺の胸が温かいから。
けど、ここで映像が一変するんだ。
次は戦場。
※※は泣いていて、〇〇〇〇は腕の中で虫の息だ。
〇〇〇〇は大怪我をしていて、血が沢山流れてる。
二人共鎧を身につけていた。
二人の周りには似たような鎧を着た死体の残骸。
戦争は終わったらしい。
「〇〇〇〇!!しっかりしろよ!何で、俺の前に…」
「※※様、お怪我はありませんね?」
「馬鹿野郎!喋るんじゃねぇよ!!」
「私は、もう死にます。せめて、※※様の笑顔を瞼の裏に、焼き付けたいです。お願いします。笑って、※※。」
「ッヒ、〇〇〇〇…また今度、次は、戦争しなくて済む世界で会うぞ。」
「…フフッ、貴方様のご命令ならば何処まででも。」
「絶対、絶対だぞ!ちゃんと守れよ!!〇〇〇〇!!」
「ありがとう、また、来世で……」
主っぽい人は大声で泣き叫ぶ。
〇〇〇〇は死んだらしい。
彼の腕の中で、幸せそうに涙を流して。
※※は地面に突き刺した剣を泣きながら掴み、心臓に刺した。
幸せだった二人は、戦争で亡くなった。
寄り添いながら眠るように。
俺も何故か涙が止まらないんだ。
――パチ。
見慣れた天井。
ベッドの上に仰向けで寝ていたらしい。
目から流れる温かいものは止まらなくて、胸がズキズキと酷く痛む。
そうだ、大学に行かなくては。
そろそろ家を出ないと遅刻してしまう。
一人暮らしのマンション。
洗面台で顔を洗えば涙は止まり、慌てて家を飛び出した。
スポーツ推薦で入学した俺は毎日走っている。
大学のコーチにスカウトされた奴らは他にもいて、毎日が試合だ。
「夜!こっち来い!」
「日向コーチ。」
走り終わった帰り道、日向コーチに呼び出された。
彼は心配そうに俺を見下げる。
「お前最近目元が腫れてんぞ。何かあったか?」
「いえ、悪い夢が続いているだけです。体調に関係ありませんから、気にしないで下さい。」
「…お前泣きそうな顔してんぞ。周りは気づかないフリしてくれてっけど、コーチとしてメンタル面もサポートしてやる。」
「……大丈夫ですよ。辛くなんかありません。」
嘘ついた。
本当は、あの夢を見る度に全身が泣いている。
愛しい人を失った※※の感情が俺に流れ込み、無理矢理共感させられるんだ。
辛い、痛い、苦しいよ。
あんな夢、もう嫌だ。
嫌いだ。
大っ嫌いだ。
けれど、〇〇〇〇が気になって仕方ない。
どこかで今の〇〇〇〇を探している自分がいるんだ。
※※じゃなく、〇〇〇〇を。
理由なんかわからないよ。
俺が教えてほしいくらいだ。
気づかない内に泣いていた。
心配かけないよう俯く。
下唇を噛み締めて、声を押し殺す。
無意味だけど片腕で顔を隠した。
これで顔は見られない。
「すみません。俺、帰ります。」
「話してみろ。」
「すみません。意味不明な事なんで、本当大丈夫です。」
「大丈夫じゃないから、聞いてんだよ。」
腕を掴まれて走れない。
ぐちゃぐちゃの顔を見られたくなくて、更に顔を下に向ける。
日向コーチはクシャと髪を撫でてくれた。
その優しさが俺には苦しい。
甘えてしまう。
「大学生になって、毎日同じ夢を見るんです。俺は終始傍観している夢。
二人の人間が、恋人同士が、最初は幸せそうに丘の上にいるんです。主従みたいですけど、空気で好き同士なんだなってわかるくらい。けど、場所が一瞬で変わって、そこは戦場で。従者だった人は主っぽい人の腕の中で虫の息で、血が沢山溢れてて。周りは全員死んでて、二人だけで。主っぽい人が『来世でまた会うぞ』って言うんです。従者の人は『貴方様のご命令ならば、何処まででも』って答えるんです。そこで従者は死んでしまって。主っぽい人は泣くんです。周りに響き渡るように泣き叫ぶんです。その人の感情が、俺の中に流れ込んできて、俺も涙を流してて。主っぽい人は剣を握って、心臓に刺して自殺します。けれど、二人共泣いているけど、幸せそうで。また次の世界を夢見ていて。そこで毎回目が覚めるんです。俺は涙を流してるんです。胸が痛くて、凄く辛くて、頭の中は従者の人の事ばかりで。理由はわかんないけれど、今の従者を探している。主じゃない、従者の方を。顔は夢の中じゃぼやけてわからないけど、ずっと探してる。“魂”が、彼を見つけ出そうとしているんです。」
日向コーチに全て話した。
意味不明なのが多いけど、頭が良くない俺にはこれが精一杯。
思っているモノ全て吐き出した。
呆れて、不気味がられて、もう走れないのだろうか。
日向コーチの顔を見れない。
恐くて恐くて、腕を離してほしい。
コーチはずっと黙っている。
夜のグラウンドはとても静かだ。
二人だけの場所。
風が吹き抜け、砂埃が舞い上がる。
日向コーチが顔を歪めて見下ろしてるなんて気づいてない俺は、地面に涙を落とすだけ。
夢の人を思って、恋して、寂しさに耐え切れなくて。
現世に生きている従者を見つけるまで、きっとこれは永遠に繰り返される。
輪廻を独り、走り回るように。
続きは皆様の妄想で補って下さい。
もし少なからず好評だったら、もしくは作者の気まぐれが発動しましたら、続編書きます。
多分ですが、ね(笑)
ありがとうございました。




