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1「ならば死ね」

 残念なことに今日もいつも通り朝日がカーテンの隙間から俺の目を覚ましに来た。

 気分がいい日も憂鬱な日も、決まって6時45分に起きる。なぜかって?学校があるからだよ。

 

 小さいころから、目覚まし時計は設定しない。音がうるさくて不快だし、そんなことしなくても起きてしまうからだ。


 今日も例外ではない。高校生にしては広い8畳程度の一人部屋。しかし、部屋の角にはすこし小さめのベットがあるだけで他には物はあまりない。中途半端にあった漫画はもう捨ててしまった。


 重たい体を無理やり起こして枕元にあるリモコンで電気をつける。

 今日は雨が降っているらしい。家の屋根に雨粒が当たっている音が聞こえる。


 俺の部屋は2階にあるのでリビングのある1階に階段を下りてゆく。一軒家によくある微妙に螺旋がかった階段を降りる。面積の広い外側を意識して足を出す。内側を歩いたら、足を踏み外して階段から落ちてしまうからだ。


 「おはよう。」


 「あら、もうご飯できてるわよ。」


 おはようって言ってんだからおはようで返せといつも思うのだが、母さん曰くなんだかこっぱずかしいらしい。


 テーブルを見ると、朝食が準備されていた。ピザソースの塗ってある食パンにウインナー、そして別の小皿に缶詰のミカンが置かれている。いつも通りのメニューだ。


 「いただきます。」


 いつも食べている食事に味の感想なんて特にない。あるのは毎日朝ご飯を作ってくれる母さんへの感謝くらいだ。


 朝食を食べ終えたら、学校に行く準備を始める。特殊なことも面白いことも特にないので割愛する。


「いってらっしゃい。」


「いってきます。」


 母さんに声をかけ学校に向かう。俺の高校は少しだけ遠いところにあるので毎日自転車登校だ。都会でも田舎でもない中途半端な街なので、自転車をこいでいても、歩いていても特に面白みはない。あるのは、季節による気温の不快感だけだ。今は春なのでまだましだが、夏になれば暑さで、学校に行く気がなくなるくらいだ。おまけに今日は雨なので、カッパを着ている。制服の上から着るので、ごわごわして不快だ。


 当たり前だが、何事もなく学校の校門についた。校門を通るたびに入学式のことを思い出す。もう木の下で運命的な出会いを待つなんて意味のない行動はしない。運命だなんて幻想だともう気づいている。おそらく俺は一生、平凡でくだらない人生を送っていくのだろう。


 「おっす。」


 「あぁ巡流か。」


 後ろから肩をたたかれたので振り返ると、フツメンくらいの男子生徒がいた

 彼の名前は安藤巡流<あんどうめぐる>。どこにでもいる普通の男子高校生だ。特に顔がいいわけでも、クラスメイトに人気なわけでもない。ただ、俺がこの学校でできた初めての友達と呼べる人物で、今でも仲がいい。身長は俺よりも少し高いのが腹立たしいが、親友と呼んでも差し支えないやつだ。


 「せっかく体育がある火曜日なのに、この天気じゃ無理そうだな。」


 「今日からサッカーだっけ?お前超楽しみにしてたのにな。」


 巡流は中学の頃、サッカー部だったらしい。高校ではのんびりしたいとのことで部活には入らなかったがまだサッカーは好きらしい。


「そうだよ!俺の無双劇をお前にも見せてあげたかったんだけどな。」


「お前一生ベンチだったって言ってたじゃねえか。」


「ベンチメンバーの中では最強だったんだよ!」


 そんな軽口をたたきながら、俺たちは自分のクラスに入った。俺たちは二人とも2組だ。


 朝のホームルームが始まった。担任がドアを開けクラスに入ってきた。


「よーしお前ら席につけー。ホームルーム始めるぞー。」


 あいつは俺たちの担任の赤坂啓二。一見体育会系に見えるが、数学を教えている。身長が高く筋肉質で声が大きいので、廊下でよく他クラスの生徒に怖がられているが、意外と生徒思いの先生である。俺は、あまり一対一で話したことはないがあまり得意ではないタイプだ。本音を言えば女の先生がよかった。


 ホームルームだが、別に面白いことは何もしない。出席を兼ねた点呼をして、少し赤坂先生が話して終わりだ。何か特別なイベントがある日は少し長引くが、今日はもちろんそんなものはないので、ものの5分で終わった。


 体育はなくなり座学となったので、今日は一日中教室で授業を受けることになった。


 ------------------------------------------



 ♪~~


 七時間目の終わりのチャイムが鳴った。

 今日も、いつも通り何もない日だった。今日で入学してから2か月になるので、もうなにも思わなくなった。


「じゃあな。」


「おう、じゃあな。」


 巡流とは帰る方向が違うので、別れの挨拶をして一人で帰るのが日課だ。


 雨が止んでいたので、カッパは着なくて済んだ。


 何のための雨だったんだろう。雨が降った日は何かの前兆かと期待するのだが、いつも杞憂に終わる。ただの雨は呼んでいない。ただ不快なだけだ。


 そうして何事もなく家に着いた。なぜかわからないがため息が出た。


 親はまだ帰ってきていないので家には一人だ。


 俺は帰ったらまず、シャワーを浴びる。シャワーを出ると寝るまでベットにいるか、机に座っている。特にすることもないが。


 その後、母さんが帰ってきて夜ご飯を食べた。いつも通りおいしかった。


 そんな感じで、今日も今日が終わる。高校に入って2か月、この日もいつも通り朝日がカーテンの隙間から俺の目を覚ましに来た。

 気分がいい日も憂鬱な日も、決まって6時45分に起きる。なぜかって?学校があるからだよ。

 

 小さいころから、目覚まし時計は設定しない。音がうるさくて不快だし、そんなことしなくても起きてしまうからだ。


 今日も例外ではない。高校生にしては広い8畳程度の一人部屋。しかし、部屋の角にはすこし小さめのベットがあるだけで他には物はあまりない。中途半端にあった漫画はもう捨ててしまった。


 重たい体を無理やり起こして枕元にあるリモコンで電気をつける。

 今日は雨が降っているらしい。家の屋根に雨粒が当たっている音が聞こえる。


 俺の部屋は2階にあるのでリビングのある1階に階段を下りてゆく。一軒家によくある微妙に螺旋がかった階段を降りる。面積の広い外側を意識して足を出す。内側を歩いたら、足を踏み外して階段から落ちてしまうからだ。


 「おはよう。」


 「あら、もうご飯できてるわよ。」


 おはようって言ってんだからおはようで返せといつも思うのだが、母さん曰くなんだかこっぱずかしいらしい。


 テーブルを見ると、朝食が準備されていた。ピザソースの塗ってある食パンにウインナー、そして別の小皿に缶詰のミカンが置かれている。いつも通りのメニューだ。


 「いただきます。」


 いつも食べている食事に味の感想なんて特にない。あるのは毎日朝ご飯を作ってくれる母さんへの感謝くらいだ。


 朝食を食べ終えたら、学校に行く準備を始める。特殊なことも面白いことも特にないので割愛する。


「いってらっしゃい。」


「いってきます。」


 母さんに声をかけ学校に向かう。俺の高校は少しだけ遠いところにあるので毎日自転車登校だ。都会でも田舎でもない中途半端な街なので、自転車をこいでいても、歩いていても特に面白みはない。あるのは、季節による気温の不快感だけだ。今は春なのでまだましだが、夏になれば暑さで、学校に行く気がなくなるくらいだ。おまけに今日は雨なので、カッパを着ている。制服の上から着るので、ごわごわして不快だ。


 当たり前だが、何事もなく学校の校門についた。校門を通るたびに入学式のことを思い出す。もう木の下で運命的な出会いを待つなんて意味のない行動はしない。運命だなんて幻想だともう気づいている。おそらく俺は一生、平凡でくだらない人生を送っていくのだろう。


 「おっす。」


 「あぁ巡流か。」


 後ろから肩をたたかれたので振り返ると、フツメンくらいの男子生徒がいた

 彼の名前は安藤巡流<あんどうめぐる>。どこにでもいる普通の男子高校生だ。特に顔がいいわけでも、クラスメイトに人気なわけでもない。ただ、俺がこの学校でできた初めての友達と呼べる人物で、今でも仲がいい。身長は俺よりも少し高いのが腹立たしいが、親友と呼んでも差し支えないやつだ。


 「せっかく体育がある火曜日なのに、この天気じゃ無理そうだな。」


 「今日からサッカーだっけ?お前超楽しみにしてたのにな。」


 巡流は中学の頃、サッカー部だったらしい。高校ではのんびりしたいとのことで部活には入らなかったがまだサッカーは好きらしい。


「そうだよ!俺の無双劇をお前にも見せてあげたかったんだけどな。」


「お前一生ベンチだったって言ってたじゃねえか。」


「ベンチメンバーの中では最強だったんだよ!」


 そんな軽口をたたきながら、俺たちは自分のクラスに入った。俺たちは二人とも2組だ。


 朝のホームルームが始まった。担任がドアを開けクラスに入ってきた。


「よーしお前ら席につけー。ホームルーム始めるぞー。」


 あいつは俺たちの担任の赤坂啓二。一見体育会系に見えるが、数学を教えている。身長が高く筋肉質で声が大きいので、廊下でよく他クラスの生徒に怖がられているが、意外と生徒思いの先生である。俺は、あまり一対一で話したことはないがあまり得意ではないタイプだ。本音を言えば女の先生がよかった。


 ホームルームだが、別に面白いことは何もしない。出席を兼ねた点呼をして、少し赤坂先生が話して終わりだ。何か特別なイベントがある日は少し長引くが、今日はもちろんそんなものはないので、ものの5分で終わった。


 体育はなくなり座学となったので、今日は一日中教室で授業を受けることになった。


 ------------------------------------------



 ♪~~


 七時間目の終わりのチャイムが鳴った。

 今日も、いつも通り何もない日だった。今日で入学してから2か月になるので、もうなにも思わなくなった。


「じゃあな。」


「おう、じゃあな。」


 巡流とは帰る方向が違うので、別れの挨拶をして一人で帰るのが日課だ。


 雨が止んでいたので、カッパは着なくて済んだ。


 じめじめしてるし早く帰ろう。そう思って、自転車のギアを1段階上げスピードをアップする。帰りは坂道だ。立って漕がないと進まない。そう思ってサドルから尻を離した瞬間。


 ガシャン


 盛大に滑ってこけてしまった。下に雨でぬれたグレーチングがあったことにこけてから気づいた。

 

「ってぇ」


 制服のズボンが地面と擦れて穴が開いてしまっているし、肘には血がにじんでいた。周りに人がいなかったので誰も助けてくれない。痛みに耐えて立ち上がり、タオ折れた自転車を起こす。カッパがぐちゃぐちゃのまま入れられていた前のかごがへこんで、変な形になってしまっていた。


 足も痛むし押して帰ることにした。


 何のための雨だったんだろう。雨が降った日は決まって何かの前兆かと期待する。だが当たり前にそれはいつも杞憂に終わる。ただの雨なら降らないでくれ。ただ不快なだけだ。


 そうして急いだはずだったのだが、いつもより帰りが遅くなってしまった。家に着いたとたん、翁ため息が勝手に出た。肘と足の痛みが強まった気がした。


 親はまだ帰ってきていないので家には一人だ。


 俺はいつも帰ったらまず、シャワーを浴びる。傷が染みるのは怖いが、洗い流さないと、菌が入ってしまうかもしれない。超染みたが、泣きわめいたりはしない。俺はもう高校生だ。

 シャワーを出ると寝るまでベットにいるか、机に座っている。特にすることもないが。


 その後、母さんが帰ってきて夜ご飯を食べた。いつも通りおいしかった。


 そんな感じで、今日も今日が終わる。高校に入って2か月、起きて学校に行って帰ってシャワーを浴びて夜ご飯を食べて寝るという、この恒常化した日々が続いている。



 

 俺はこのまま何物にもなれずに死んでしまうのだろうか。俺は本気でこの生活が続くのであれば、死んだ方がましだと思っている。どうせ死ぬ勇気も、度胸もない臆病者なのだが。


 ダメだ。この思考に陥ってしまったら止まらない。今日はもう寝よう。


 電気を消し、目を瞑ると、意識が落ち……、

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